ドイツ郵政民営化の破綻

2008年09月03日 | 政治 経済
【経済妄説事典】東谷暁 ドイツ郵政民営化の破綻

FujiSankei Business i. 2008/9/2

 郵政民営化の成功例として語られてきたドイツポストが、子会社の銀行ポストバンクを売却する算段をしているというので注目を集めている。買収する側として、ヨーロッパの巨大金融機関の名前が登場しては消える。いずれにせよ売却の方針は決まったようで、いまやどこが買うかが問題の焦点なのだ。

 民営化のさいに、いったんは分離したドイツポストを買い戻したのは、郵便局のサービスが低下するのを避ける狙いがあった。それがまた、売却を企てているという理由はただひとつ。ドイツポストが経営的に危機に陥っているからなのだ。日本の郵政民営化のさい、ドイツポストの「成功」が派手に報道され、物流会社DHLを買収して傘下に収めたことが、その成功の象徴のように語られた。

 しかし、そうした成功物語には多くの神話があり、日本での報道にもかなりのバイアスがあったことがいまでは明らかだ。そもそも、私が2005年の郵政選挙の前に調べてみると、営業利益の65%は郵便事業から得ており、ポストバンクなど金融が21%、DHLなどのロジスティクスおよび宅配便は、それぞれ7%程度にすぎなかった(『民営化という虚妄』)。物流部門は、すでにこのときから苦戦していたのである。

 いまのドイツポストの苦境も、巨大な資金で買収した物流のDHLが足を引っぱった。04年にはDHL米国支社が赤字に転落。去年からは米国の経済の落ち込みで回復がますます困難になった。こうしたなか、今年の2月には、郵政民営化の輝ける星だったドイツポスト前会長のツムヴィンケル氏が、巨額の脱税容疑で逮捕されるという事件が起こる。ただでさえサービス低下に不満を持っていたドイツ国民は怒るというより呆れた。利益至上主義のドイツポストが、馬脚をあらわした事件と指摘する人も多い。

 いまやドイツポストはポストバンクの売却益によって、経営を何とか立て直そうとしているが、このポストバンクについても「サブプライム問題で内情は火の車」などという噂が絶えない。日本でも全国郵便局長会が民営化の見直しを求めているが、こうしたドイツポストの惨状を見れば、けっして覆水を盆に戻そうとする試みだとはいえないだろう。(ジャーナリスト)

http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200809020006a.nwc







英揺れる民営化先進国 閉鎖次々郵便局が激減

「民営化先進国」の英国が郵便局の閉鎖で揺れている。自由競争でサービス向上のはずが、郵便局は激減。地域社会は衰退の危機にさらされ、規制緩和路線をまい進してきた労働党政権の支持基盤も危うい。 (英中部マンチェスターで、星浩)

「えっ、きょうで閉まるの?」。イレーヌ・ランキンさん(58)は下りかけたシャッターを見て嘆いた。「遠くの郵便局まで行かなくちゃ。でも、年寄りが歩ける距離じゃないわ」

マンチャスター郊外のレベンシャム地区。労働者階級の住宅地にあるバーロー・ロード郵便局は、九月二十三日に閉鎖された。

後片付けをするスニ・アフメッド臨時局長(27)が浮かぬ顔で口を開いた。「利用者の八割はお年寄り。でも、どうしようもない。僕も失業だ」

労働党政権は競争原理でサービスと経営の改善を図ろうと、二〇〇一年に郵政を民営化し、〇六年に完全市場開放に踏み切った。

だが、株式会社となった郵便会社「ロイヤル・メール」は〇七年度、初めて約百万ポンド(約二億円)の赤字に転落。参入した十七社に大口ビジネス郵便市場の40%を奪われた。

「同一料金による全国一律サービス」で経費がかさみ、利益の少ない地方への小口郵送や郵便局網の維持は負担に。政府は今年、二千五百局の閉鎖を決め、一九九〇年に約二万局あったのが年内に一万二千局に減少。維持のための再国有化論まで出ている。

バーロー・ロード郵便局の閉鎖反対運動をしてきたパット・ウォルシュさん(47)は「民営化、利益優先で公共サービスは低下するばかりだ」と憤る。「政府は金融機関の救済には巨額を投じるくせに地域社会の破たんにはあまりに無頓着だ」

2008年10月2日 朝刊 東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008100202000099.html



郵政民営化の先にある恐怖のシナリオ
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<現在しのびよる最悪の法案>
泥棒国家日本と闇の世界権力
《郵政民営化は多国籍企業の陰謀?》






米金融危機は前FRB議長とブッシュ政権の責任=スティグリッツ氏
2008年 04月 28日 10:51 JST
 [ウィーン 27日 ロイター] ノーベル経済学賞受賞者で世界銀行の首席エコノミストを務めたジョセフ・スティグリッツ氏は、オーストリアのニュース誌プロフィルとのインタビューで、米国の金融危機は連邦準備理事会(FRB)のグリーンスパン前議長とブッシュ現政権の責任が問われるべきだと指摘した。

 同氏は「この人物(グリーンスパン氏)は不幸にも多くの過ちを犯した。最初の過ちは、ブッシュ政権下のすべての減税を支持したことだ。これらの減税策は景気を大して刺激しなかった。その後、金融政策に目が向けられ、(グリーンスパン氏は)低金利で信用を大幅に拡大させた」と述べた。

 グリーンスパン氏は今月、CNBCテレビとのインタビューで米経済はリセッションに陥っていると指摘したが、議長時代の政策の誤りが現在の金融危機の下地を作ったとの批判に対しては、これを退けた。

 スティグリッツ氏は、大幅なイラク戦費などで経済の回復力が削がれたと述べ、ブッシュ政権も責められるべきだとの考えを示した。

 また、「ドル安で欧州の輸出が影響を受けるため、欧州経済は引き続き打撃を受ける」と述べ、欧州と米国の非連動性は可能との見方を退けた。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-31541620080428




~米国は、経済の原理に沿わない論理矛盾の政策を選択~

世界的ベストセラーをいまだに続けているコロンビア大学スティグリッツ教授がTVに出ていたが、その時の発言は……

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 米国財政は極めて短期間に巨額の赤字を出すようになり、景気対策の名のもとに必要以上の減税が行われ、戦争と言う財政の大盤振る舞いが続いているが、こんなことが長続き出来る訳がない。米国の絶頂期の1960年代ですら、ベトナム戦争でバターも大砲もといった大盤振る舞いが「ドル暴落」のきっかけとなった。双子の赤字問題がいつまで表面化せずに続けられるのか分からないが、いずれ第2のニクソン・ショックが日本を始め世界に衝撃を与える。福井日銀総裁がドルを買い支えているうちに、出来る人は外債をドルからユーロ債に切り替えておいたほうが良いだろう。

 米国もやがてはアルゼンチンのようになり、ラテンアメリカ化し、米国債の利払いも滞るようになり、債務不履行も避けられないだろう。福井日銀総裁は今年だけですでに(為替介入を通じて)13兆円もの金を米国に貸し付けている。借りた米国は借りた金で日本の株を買ったり日本の自動車やテレビを買ったりしている。それで日本はそれだけ豊かになったのか、むしろ貧しくなっている。円がいくら高くなったところで米国から買うものは食糧や飛行機などの限られたものでしかない。

 日本の巨額な赤字財政を続けられるのはなぜか。日本の巨額な預貯金と、巨額なドル建て債券が、国家の財政赤字の穴埋めに使われているからアルゼンチンのように円は暴落することがなく、かえって高くなっている。日本が経常収支で黒字の間は財政も破綻することはない。しかし米国が経済破綻してドルが大暴落した場合、日本経済にも破綻がやってくる。中国も対米黒字国だが日本とは違ってユーロへのシフトは確実に進んでいる。対米黒字をユーロでヘッジしておけばドルの暴落も回避できるが、日本の政府・日銀は米国の脅しによってシフトができない。ならばせめて民間だけでもドルからユーロへシフトしておくべきだ。米国はそれを警戒して日本の金融機関を米国の資本で買収しようとしている。小泉首相や竹中金融大臣が日本の銀行や生保を米国に売り渡そうとするのも、日本の民間資金のユーロシフトを恐れているからだ。最終的には最大の金融機関である郵貯も民営化して米国へ売られる。しかしそんなことをしてもその前に米国は破綻する。

http://www.gcams.co.jp/stock/mkt/0311_1.htm
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