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中村天風の悟りのエピソード-天の声は声なき声-

2005-08-05 | インド文化(ヨーガ・ガンジー・中村天風)
今日は、中村天風先生が悟りを開いた瞬間のエピソードをお贈りします。

中村天風先生は、結核を患ってそれを治すために
世界中を旅しました。
アメリカ、ヨーロッパ etc
しかし、どんな医者も天風先生の病を
治す事は出来ず
「死ぬのなら日本で死のう」と帰省の船の中で
運命の師匠カリアッパ師に出会います。
「お前はまだ死ぬ運命にはない。
治す方法はある。」と言われ、インドの山奥に
着いて行ってヨーガの修行を行なうのです
それは、滝に打たれて瞑想したり
師匠からの課題を幾日も考え続けたり
というヨーガの修行でした。
      ※
(「地の声を聞け。」という課題を見事クリアした天風。
今度の課題は「天の声を聞け。」とのことだった・・・。)
      ※
天風「あなたの言った天の声というもの少しも聞こえません。」
カリアッパ師「聞こえないかい。」
天風「ええ。」
カリアッパ師「そんな筈は無いなあ、本当に天の声を聞こうとしてみたかい。」
天風「ええ、しょっちゅうしているんですよ、
自分でも驚く程真剣にやってみるんですけど。」
カリアッパ師「真剣にねえ、その時水の音は勿論、
鳥の鳴く声その他一切の音も聞こえてるかね。」
天風「さあ、そいつは気が付きませんでしたなあ。」
カリアッパ師「ほんとから言うとねどんな音を耳にしていても
心がそれを相手にしないとその時天の声が判って来るんだよ。」
天風「えーーー!そうですか、心が相手にしなけりゃいいんですね。」

その翌日から言われるままに心が一切の音の相手をしないように
一生懸命やってみたがこいつは駄目だ、
聞くまいと思えば思う程聞こえてきやがる。
こりゃ難しい行だなあ、と思ったけれども
相手にしまいとすればするほどいけない。
その相手にしないと思うことの方が心へどんどん食い込んでくるんだ。
なかなかうまくいかない。
こりゃずいぶん困ったよ。
私もねえ、およそ3ヶ月ぐらいこういう状態だったなあ。
半分神経衰弱に罹った。
口惜しいけどどうしてもうまくいかない、
しょうがないから降参しようと思ってね。

天風「なかなか、心と耳を別々に使い分けるってことは難しいことですなあ。」
と言ったんだ、そうするとね
カリアッパ師「そうねえ、難しいと言えば難しいねえ、
しかし、易しいと言えばやさしいねえ、
お前さんはその難しい方のことを考えているから難しいんだよ。
まともに心と耳とを使い分けようとしてやいないかい、
それじゃとても難しいぞ。」

こういう風に意味ありげな事を言うんでね、
その意味が分からないもんだから
天風「それは難しいですねえ、その意味は。」
って尋ねたんだ。
カリアッパ師「こうやって私と話をしている時耳に私の声の他に
やっぱり何かの声や音が聞こえているんだけどもねえ、
でも心はそれを少しも相手にしていないだろう、
私の声とだけ取り組んでいるんだろう、お前の心は。
それと同様の心持ちになればいいんだよ、
そうすればまともに使い分けていないことになる。」
天風「ああ、そうか。」と思ったよ。

言われりゃ判るからねえ、
何となく判ったような気持ちになったんでそれから、
ああでもない、こうでもあろうかと文字通り千思万考したって
いうのが嘘でない本当で、
やってみたけどどうも相変わらず駄目なんだ。

そこでもう、心も根も尽き果ててフラフラして
「こりゃ、難しいことやったって駄目だ、
こんな事止めた天の声なんか、天の声なんか聞かなくったっていいや、
今までだって天の声聞かなくったって生きてられたんだ、
もう止めだ、こんな難しい事。」
やけくそみたいな気分になっちまったんだ。
いきなり仰向けにひっくり返って目を半眼にして空を見たんだ。
日本の初秋のように晴れた空にちぎれ雲が所々フワー、フワーと漂っている。
その雲の様々なのに思わず興を感じてフワーっと見入っている内に
フッと気が付いてみると耳にいろんな鳥や獣や、
虫の声が滝の音と共に絶え間なく聞こえていても
私の心は見ている雲にフーっと繋がっている事に気づいた。
全然それらのものとは離れて漂う雲の中に私の心が入って無心でいる
自分に気づいたんです。
何にも考えていない。
あっ、これじゃねえかしらんと思ってね。
刹那の悟りでしょうなあ。
思った途端にボロボロ涙が出てきてね。
人が居ないんですから大きな声出して泣いちゃったよ私。
ああ、こういう心持ちの中に天の声というのは聞こえるんだな。

聞こえました。もう、その時は駄目だ。我に帰っているからね。
何も聞こえない。やっぱり駄目じゃねえか。
何だかへんてこになっちゃってね。
我が身で我が身が判らない気持ちになっちゃって、
その帰りがけ質問したんです。経験したことをつぶさに説明したんです。

天風「ちぎれ雲を見ている時に、フッと無心の自分に気が付いて、
その時に天の声が聞こえると思って天の声を聞こうとしたら
聞こえませんでした。」
と言ったら
カリアッパ師「それが天の声だよ。」
って言うから
天風「エーッ!」
カリアッパ師「天の声というのは声なき声だよ、絶対の静寂、absolute stillbess,that is・・・。」
天風「あっ、そうか、その絶対の音の無い世界に心が入った時が天の声を聞いた時?」
カリアッパ師「そうだよ。」
   
天風「そんな状態になりゃどうなるんです。」
カリアッパ師「人の命の中の本然の力が沸き出るんだ。」
天風「沸き出りゃどうなるんです?」
カリアッパ師「一切の全てを頼もしく自分の心が受けとってくれる
ような心が出来るんだ。」
天風「えっ!えっーー!」

カリアッパ師「判らないかい、今現在お前が患っていることも、
現在お前の心の中に絶え間な食いついている
”死にやしまいか、死にやしまいか”という心も
全然消えちゃって見るもの、聞くもの全てが楽しみと
なってお前の心の中に表れてくれるようになるんだ、
今のお前は苦しみの方へ心が飛び込んでいって心の中で
もってそれを掴まえたくない時でも無理に掴ましているような
ことをやっているじゃねえか?
どうだ、悟れてみれば、お前が苦しんでいたのが、
自分の心の中で苦しんでいたので、本当から言ったら、
病のある時の方が病の無い時より、
本当の楽しみを感じられるということを感じないかい?

俺がお前に初めて会った時にお前は腹を立てたなあ、
その時こう言ったろう、お前が頭が痛かったり、
熱があったり、何時死ぬか判らないような苦しみを持って
何が幸福ですと言ってお前が俺に突っかかった時俺はそう言ったね。
”それでもお前は生きているじゃないか、
生きている以上に楽しいことがあるか?”

今、判ったろ、無心の時には、事があっても、
事が無くても全て人間の心の本然は歓んでいる
楽しんでいるんだからそこに苦しみも何も無かろう、どうだい?」

天風「成る程なあ、雲を見てフーとなっている時何にも無かったなあ、
私には、考えている事が。」
カリアッパ師「そうだろう、全然考え無かったろう。」
天風「ええ。」
カリアッパ師「雲の中にお前の心が溶け込んで
その雲の中に漂っている間、
お前さんは肉体にある病があっても無いのと同じ様な人生に
生きているじゃないか、そう思わないかい?」
天風「そうです。」
カリアッパ師「そうですと判ったら、今後出来るだけそんな気持ちに
なる時を多く味わいなさい。」

   ※
この天風先生の悟りの場面の事実を知ったとき、
本当にそうだなと思いました。
私は、それまで人間は感情(心)を制御することは
無理なんじゃないかとどこかで思っていたからです。
しかし、その思いがすでにこころに負けているのを
気付いたのです。

今だって、よくへこたれる。
がんばりすぎて、倒れることだってある。
心が弱くなって、泣くことだって私はあります。

それでも折りに触れ、
このエピソードのことを心から思い出すのです。

そして、また与えられた人生を歩き出す・・・。
常に、光の中に自分を置くことをイメージしながら・・・。

※長い文章を読んでいただき、ありがとうございました!

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10 コメント

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これによく似た (scops)
2005-08-05 22:50:40
経験はしたことがあります。・・・と言っても悟りとかのすごいものではなく、ただボーっとしているだけの時に一瞬何も感じなくなるような気分(どこかへ気持ちが飛んでいる?)になったことが何回かありました。



最近では「ぬえの鳴く夜」 http://blog.goo.ne.jp/tbinterface.php/d9239d05e378f7bd3543ff46b15c00f7/18  に書いたような気持ちに似ているのでしょうか?

声を聞いているうちにどこまでも平坦でまっすぐな感覚を味わいました。このときの気持ちは、今までの中で一番はっきりと「無心」になったのかなと、あとから思いました。
何度もすみません (scops)
2005-08-05 22:55:59
うまくリンクが貼れていないようですので、「ぬえの鳴く夜」にトラックバックさせていただきました。
scopsさんは、すごいですよね~? (うめもも)
2005-08-06 09:30:06
こんにちわ!

「ぬえの鳴く夜」を以前、拝見しました。

今、あらためて読み直しましたが、

自然が私たちの心のアンテナをクリアにして

くれるのですね。

無意識の意識・・・というのでしょうか?

不思議な感覚ですよね?



実は、私も似た体験があります。



それは瞑想中にあったんですが、

全く心がカラになった状態で、

自分の中のもう一人がはっきりわかるんです。

そのもう一人は、全く感情もなく

善悪もなく、常に冷静で物事の本質しか見ない

のです。(いることとその感じしかわからなかったけど。)

耳から外部の音は聞こえていますが、

まるで静寂の中にいるようでした。

直感で「これが自分の核なんだな。」と感じました。

その感覚が離れていってからも、そう不思議と元気なんです。力がみなぎるというか・・・。

なにか神秘なものにふれた感じ・・・。

あれが、天風先生のいう本心(霊性)なのかなと

思っています。



TBもありがとうございました。

こちらからもTB貼っておきますね。



scopsさん、自然から感じたことや体験を

これからもまたいろいろと教えて下さいねっ。

楽しみにしています。
いやいや、私のは (scops)
2005-08-06 21:25:59
うめももさんのようにすごい体験じゃないですよ。一瞬それらしきものを・・・と言う程度です。でも不思議な感覚でした。



上のコメントでボーっとしている時に・・・とありますが、その多くは天風師のように空を見ているときでした。
何となく。。。 (rroundd)
2005-08-06 21:25:59
うめももさん、こんばんは!

私も何となく感じることがありますよ。

それは、そう、今感じました!というモノではないのだけれど。。。

例えば、それは、ポジティブな時。。。

仕事中にふとアイデアが浮かんだ時や、

上司に叱られて負けまいといろいろ模索している時、

クリエイティブに物事が運ぶ時、



私達は生活の中で、嬉しいことや怒っていること、哀しいこと、楽しいことなど、いろいろの事柄をパラレルに感じながら、自然にバランスをとっています。

このバランスが取れなくなった時に、心の病を患ってしまうのでしょう。。。

私の周りでは心のバランスを失った人が多くいます。

でも、みんな一生懸命に生きようとしています。

ただ、強く生きられるかどうかだけの差なのでしょうね。。。

生き生きとチャレンジしようとする気持ちを称えたいです!



中村天風先生のお話は勉強になります!!!
scopsさんったら、なにをおっしゃる! (うめもも)
2005-08-08 17:06:12
その不思議な感覚っていうのが、すごいんじゃないですか?

自分なりのパワーポイント(場所)もお持ちですしね。

原生林に行った時のscopsさんは、きっと瞑想のような心持になっていらっしゃるのかもしれませんね。



そんな場所があるなんて、うらやましいです。

(少し返信が遅れて、スミマセン。)

rrounddさん、誉めていただいて・・・。 (うめもも)
2005-08-08 17:22:16
ありがとうございます。

中村天風先生の体験からくる言葉は、

ヨーガの教えなのですが、ヨーガを知る知らないに関わらず、

とてもわかりやすいですよね~。



rrounddさんは、ひらめくと頭の中で音が聞こえるんでしたよね?(たしか?ピンポーン♪って。)

なんとなく感じるなにかによって、心にも身体にも

力がみなぎるなんてステキです。

理屈で霊性を読み解くのも大切だと思いますが、

”FEEL”(感じる)ことが一番それを知る近道のような気がします。



心の病の人は、現代は多いですね。

rrounddさんは職業柄、出会うことが多いのでしょうね。

でも、おっしゃるように人間として基本的に変わりはないと私も思います。

病を抱えながら、生きる人もたくさんいます。

そういう人の痛みが、他の人々の心を癒すということもあります。

(傷に入るには、傷を知らなければいけませんよね?)

rrounddさん、お仕事がんばって下さいね!



※返信遅くなって、スミマセン。

何度も読ませてもらいます (未歩)
2005-08-20 16:17:52
うめももさん、こんにちは。

とにかく、すごい方ですね。

これからも、読ませてもらいます。



特に、

「どうだ、悟れてみれば、お前が苦しんでいたのが、

自分の心の中で苦しんでいたので、本当から言ったら、

病のある時の方が病の無い時より、

本当の楽しみを感じられるということを感じないかい?」

と言う文章・・・私もそう感じます。



悟りはないですが、ずっと今のほうが楽しいです。

それだけは、断言できます。

だから、意識の持ち方ひとつだなぁって

実感しています。

いい記事を書いてくださって、ありがとうございました。
未歩さん、ありがとうございます! (うめもも)
2005-08-21 12:28:49
私も悟りはわからないけれど

心の使い方を意識した時、無意識の自分を

認識した時の方がずっと楽になりました。



理屈ではないんですよね?



だから、天風先生の「天の声を聞く」にいたる

体験は非常にわかりやすく

見えない力を感じさせてくれます。



大好きなシーンです♪





Unknown (直澄)
2015-05-17 03:15:25
いいエピソードだなぁ

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