週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

「まんぷく寺でまってます」を読んで。

2016年11月03日 | ☆文学のこと☆


  「まんぷく寺でまってます」
   高田由紀子著 木村いこ絵 
   

【山寺のブランコ揺らし秋の暮れ】 哲露

 
 週末、高田由紀子氏の新刊を読む。

 佐渡の情景が全編に溢れる力作だ。

 郷土愛に満ちた筆致で、そこに暮らす人々の営みを丁寧に描いている。

 家業であるがゆえのリアルがすごい。

 私の町も寺が多く、中学時代は寛永寺の墓地が延々と続く道を通っていた。

 部活のあと、暗闇を歩くと確かに薄気味悪い。

 美雪の素直な言葉に共感したが、寺が自宅の裕輔にとってはそれが日常なのだ。

 亡くなった人は空でなく、お墓から語りかけてくる。

 掃除をする裕輔を労う声は異界との交信というより、人を想う愛に満ちている。

 この作品の中で最も好感を持てたくだりである。

 彼女の故郷という舞台設定も相乗し一気に高みに上った感がある。

 謙虚の中で貪欲に学ぶ姿勢を貫いた証だろう。

 そしてここでも継続の力をまざまざと考えさせられる。

 書き続けたものだけが得られる愉悦。

 地元では静かなブームとして飛ぶように売れているらしい。

 未だ知らぬ佐渡のお話し、仲間の筆で読めるって幸せだな〜。

 お祝い会の時は未読だったので今更なんだけど。 

 高田さん、おめでとう。

 次作が楽しみだわ。 



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (魔女っ子マッチ)
2016-11-06 20:08:01
大会、お疲れ様でした。
推薦作、おめでとうございます。
私は、かなり悩みました。
推薦作は目標でしたが、自分の作品を思うと、心が縮みそうなくらい、悩んじゃいました。
高田由紀子さんしかり。出版している作家さんて、ほんと凄いです。
まだまだ先は長〜いです。
海光さん。久しぶりに書いて推薦作は凄いです。
来年の季節風に掲載になりますよね。楽しみにしています。
Unknown (海光)
2016-11-07 15:05:15
魔女っ子マッチさま
大会はお疲れ様でした。
魔女っ子様の方が先に読まれましたね。ご推薦作おめでとうございます。
自信を持ってください。並み居る方がいる中で、貴女の作品が選ばれたのです。自分の為に、選んでくだすった方々の為に、最後まで仕上げてくださいまし。
お言葉ありがとうございます。私も微力ですが、書き続けたいと思ってます。
いつも励ましてくださり、感謝いたします。
頑張りましょうね。

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