週刊浅草「江戸っ子瓦版」 -のんびりHiGH句な日々-

文学と食とRUNの日々を、PHOTO5・7・5で綴るエッセイ♪

大川の花火♪

2012年07月29日 | ★江戸っ子エッセイ★

   


    「水浴びて まだかまだかと 空あおぎ」
                         海光


 7月28日(土)午後6時を過ぎた頃、花火大会を知らせる号砲が鳴った

 享保17年(1732年)大飢饉、疫病とたくさんの方が犠牲になった歴史がある。

 ときの将軍第8代吉宗が、慰霊と疫病退散を祈り、水神祭を行う。その際に、両国橋の料亭が公許を得て花火を上げたのがはじまりとされる。

 その名残で、昭和36年まで「両国の川開き」と呼ばれ親しまれていたようだ。交通事情から翌年には中止になる。この時に5尺玉の歴史も幕を閉じた。

 場所が両国から上流の桜橋、駒形橋の2ケ所に移して復活したのが昭和53年。

 そう、現在の「隅田川花火大会」のはじまりだ。

 物心ついた10歳のことである。

    
    
             すみだ花火とスカイツリーの初競演

 音楽業界で活躍するいとこが遊びにくるという。

 エアコンも入れず、大量の汗を流して、大きな中華鍋を振るった。

 部屋の温度が36度を記録する。家族もよくぞ我慢して片付けをしたものだ。

        

 暑い夏、冷えたビールに合うものはなにか。

 激辛麻婆豆腐。ひき肉を使わずロース肉を包丁で刻むひと手間が味を深くする。花山椒をすり鉢で擦ってできあがり。

 生で食えるヤリイカをたっぷり、ニンニクと唐辛子でじっくりと炒める。決め手はナンプラー。タイ風炊き込みご飯は、これまた夏にぴったり。

 オイスターを効かせた塩やきそばに、ハチミツで寝かせたローストポーク。

 家族みんなで水浴びして、やっとエアコンをON!

 あ~、やっぱりビールが旨い!

   
            クライマックスの大迫力  

 下町に花火が咲く。

 小さい頃から、夏の風物詩として、火照った心を優しくしてくれる。

 朝のランニングでは、猛暑のなか、場所取りをする若者が寝そべっていた姿をみた。

 浴衣姿の男女もあちらこちら、団扇片手に涼しげだ。だけど、あっしは知っている。浴衣は見た目、回りは涼しいけど、当の本人は暑いったら暑いのだ。

       

 こんな時に先日登った高尾山を思い出した。

 山から下りてくる静謐な冷水に、足を浸らす優越。

 正しい日本の夏が、閉塞した日本を救うかもしれないよ。

 簾に、朝顔、江戸風鈴に、蚊取り線香。

 季節の旬という大切なものを失くしてしまった我々は、ようやくそれに気付き始めたのかもしれない。

 29日午後、国会を大包囲しようという。毎週金曜日のデモが発露だ。16日の大江健三郎氏の「個人の意思によって集まっている」という言葉の重さを偽政者に届けねば前に進まない。

 昨日28日、日本版「緑の党」が結成した。直接民主主義を目指す彼らは、新たな出口を求める市井の民の受け皿となりうるのか。

 終戦記念日を前に、脱原発の声が大きくなる。

 封建の吉宗将軍は慰霊のために水神祭を行い花火を許可した。民を思いやる政治だ。

 現代の首相は犠牲者を、民を忘れ、大飯原発を再稼動し、危険な買い物をする。

 大量消費型の文明に疑問を抱き、経済成長を第一とする価値観を不安に思う。

 前に進めるか否かではなく、前に進む言動がいまこそ求められている。

 快楽に酔う、苦しみに喘ぐ、立ち止まるか、戻るか、それとも覚悟をもって進むか。

 長く伸びた光りの塔と、丸く咲いた光りの輪を眺めながら考えた。

 いろんな意味で、暑く、熱い夏がきたと云える

 

   


天狗のお山

2012年07月22日 | ★江戸っ子エッセイ★

   

 ミシュランガイドの☆ももらい、いまや関東屈指の観光地である、高尾山

 1年ぶりに、仲間と日本一高い場所にあるというビアマウントに繰り込もうと行ってきた。

 ただ飲むだけではつまならい。仲間たちは小仏バス停から目指す。

 あっしは秋のアクアラインフルマラソンに向けて、高地トレーニング。高尾山口~陣馬山を往復し、高尾山頂で合流しようとひと足早くスタートした。

    
       
   

 まずは、高尾山6号路びわ滝コースを遡上していく。水ッ気が好きなあっしはいつもこのルート。町の喧騒を離れ、標高があるといっても、この日は蒸した。

 まるで、ミストサウナにいる中で、ダイエットトレランしているようだ。首筋から始まった汗の放出が、額、髪のなか、背中から腰、脚にかけて流れる。これぞ汗滝コース。

        

 毒々しいキノコも、目に鮮やか。艶美な悪女といったところか。

 釣られて食べた旅人は無残。季節遅れの山紫陽花や野花など、緑と土色のなかに、自然の彩色が見事な一例だ。

   

 順調に登り、走り、辿りついたは景信山。

 ここでハプニングが発生。一気に汗も止まり、やる気も止まる。

 とにかく、どうにもならじと走りだすも、道で出会ったトレラン仲間の勘違いもあり、陣馬山に向かうはずが、小仏峠を下っていた。

 登山サークル、ローゼンピークスの仲間たちとは、城山もしくは高尾山頂で待ち合わせする予定である。仕方なく、快調に飛ばした下り道を、逆に辿って登りなおす。

    
   

 文明の機器を失い、道に迷っても、小仏、一丁平からみる峰峰は小憎らしいほど美しい。

 遙か稜線に、スカイツリーまで眺められた。

 人智を尽くした現代のバベルの塔は、ここでも人気ものだった。

    一丁平
   
   

 10名ほどの仲間と合流。通信手段のない中の奇跡。

 思えば、人の勘と感ほど、不安定で確かなものはない。

 山で吸った大気が、あっしの野生を呼び覚ましたものか。

 まあ、会えてよかった。

 仲間のひとりS氏が頑張って背負ってきたビールで、お握りを流し込む。

 あ~、まさに山登りの醍醐味なのだ。

    高尾山頂
   

 1年前の雨の行軍とは打って変わって、ピーカンの高尾山頂は地獄の蒸し風呂。

 それでも、三連休。小さい子供や外国人、カップルが軽装、重装備で賑やかだ。

 薬王院で、昨年のお礼参り。

 年末は初詣とご来光見たさに、寒さに打ち震えながら、たくさんの参拝客が訪れるという。

       高尾山ビアマウント

  

     「初蝉にノドが鳴るなり山ビール」
                       海光


 日本一標高の高い山も、この日は暑かった。

 暑いからこそ、飲み放題のハイネケンやハートランドがみるみる胃におさまっていく。

 びしょ濡れのトレラン着を、わき道で汗を拭って着替えた。

 ぷっふわぁぁ~~。精気が蘇る。

 冷えた麦酒に、生き返るたぁこのことだ。

    
    

 何杯飲んだかな。

 眼下には、彼方に江戸がみえる。

 思えば遠くへきたもんだ。

 最後はケーブル組と、歩き下山派に別れて、駅で合流。

  

 たいした怪我もなく、みな無事に登山と麦酒を愉しめた。

 H隊長、誘ってくれてありがとう。

 山中に潜む、憐れあっしのケータイはいずこ。

 20ん年、ポケベルから始まって縛られてきた機械の小さな箱。

 GPSでも探知できないのに、データにはガードができたという。なんという摩訶不思議。

 しばらく、昭和に戻って、生活してみるのも悪くねえな。

 ってことで、あっしのお知り合いの方がございましたら、どうぞケータイへのメール連絡はしばしお控えなすってくだせえまし。

 ご不便、ご迷惑面目なく

 
 


ほおずき市

2012年07月14日 | ★江戸っ子エッセイ★

   
   

 今週9、10日はほおずき市

 金龍山浅草寺に夏が来たのだ。

 橙色の実が境内中で今宵は主役と輝いている。

    
   

 毎月功徳日の10日だが、7月のこの日は「四万六千日」。

 1日お参りするだけで、なんと四万六千日のご利益があるということだ。

 仕舞いの早い浅草だが、この夜は22時まで煌々と照明が灯る。

 お線香の煙がもくもくと焚かれる中、階段まで参拝者の列が続いていた。

       

 祭り半纏のお兄さん、お姐さん、そして小さな売り子まで境内に威勢のいい声がコダマしている。

 屋台も繁盛、六区も大盛況と景気が盛り返している。

 行き交う人の笑顔に、心がゆるむ。

 夏の縁日は汗ばむ胸を高まらせるね

        

 本堂、五重塔、三社権現さま、ライトアップされた寺町の賑わいは華やかだ。

 くぐつ師がついそこで演芸をしている錯覚を覚えるほど、夏祭りの幻影は江戸に住まう人々を魅了する。

 2012年の皐月に完成した東京スカイツリーとほおずきのツーショット。

 平成のほおずきもまたいいもんだ。

 あと、2週間で浅草川に花火が咲く。

 一番蝉の輪唱もきっともうすぐだな

        

 
     「下駄の音鉢持つ袖のご縁かな」
                      海光


朝顔と夕顔

2012年07月09日 | ★江戸っ子エッセイ★

    

 7月7日は七夕。この日を前後して、毎年入谷では朝顔市が開催される

 昨年は震災で中止されたので、2年ぶりの風物詩である。

 いやあ、ウキウキしやすな。
 
    

 朝顔といっても出勤前の慌しさで、早朝花開いているのをついぞ観たことはない。

 この綺麗な紫は、夕顔の艶がのったもの。

 江戸に夏が来たのでござる。

      
    
    

 言問橋に通じる目抜き通りは、かつては観音さまから坂本村への一本道。

 恐れ入り谷の鬼子母神の前に、爽やかな柄を纏った浴衣美人がちらほらいやんした。

         

     
   

 かつて暮らした町、入谷。子供の成長を鬼子母神さまに拝む。

 わが子可愛さは神様も同じなのだ。

 たくさんの子連れが、お鉢片手に参拝している。

  

  

 下町の人はお祭り好き。

 浅草界隈は年がら年中賑やかな土地でござんす。  

 そのまま上野方向、合羽橋本通り商店街に向かえば、そこでは七夕祭りがやっている。

       

 夕方近くだったので、炎天下の曲芸も終えお猿さんもお役御免。

 陰陽説によると、猿は水。鳥越から今戸(新鳥越)へ。ご神君のお声がかりの猿曳きよろしく、猿回しの芸達者たちは浅草に訪れる人々の顔をほころばしている。

       

  子供たちが未来へこめる夢は届くだろうか。

 七夕さまに願う短冊に、心が緩む休日である。
   
   

 ってことで、あっしもお願い。

 どうか夢が叶いますように…。。

 粋な兄さん、姐さんが颯爽と歩く町。

 そろそろ浴衣が着たくなる季節ですな

       

 浅草寺境内では、今日9日~10日にかけて、ほおずき市。

 オレンジ色の実をくゆらして、夜10時ごろまで幻想的な夜祭が開催される。

 四万六千日(126年)の功徳のあるありがたい参拝日。

 浅草の夏を感じにおいでなさいまし



  「ひしゃく水 小袖濡らすや 朝顔市」
                       海光


鳥越町の千貫みこし

2012年07月07日 | ★江戸っ子エッセイ★

  
   
 紫陽花もそろそろ見納めにはいった

 太陰暦でいう水無月はこれからが本番。

 入谷では朝顔市もご盛況。季節の風物詩を愛でるゆとりが、文学を育むのだ。

 汗ばむ首筋に、水汗滴るラガー瓶を煽りながら、団扇の風をあてるのもまたいい。

             

 新暦水無月の鳥越町の活況をご紹介。

 浅草のお隣であり、川に向えばお蔵前の首尾の松があったところ。

 庶民の台所、おかず横丁から神社につづく道々は、屋台がひしめき合って客を奪い合っている。この活気が下町ならではなんだ。



 小学校に通っていた頃、千貫あるお神輿は伝説のように憧れだった。

 地元でないので、神社を参拝し、屋台を冷やかして、つづら歩いた。

 鳥越神社の歴史は古く、白雉2年(651年)に創建されたとある。当時は白鳥大明神といったそうな。

 また、地名も浅草鳥越町といい、かの車善七が住んでいたことでも知られる。

 かつて、お仕置き場があったことから、地獄橋と呼ばれる通りを知ってか知らずか、現在の鳥越町の担ぎ手が渡っていくのだ。

     
                   鳥越神社

     
                    千貫みこし

 煌びやかな装飾は、胴も太くてご立派のひとこと。

 祭りはいい。人を元気にする。

 悪政と権力が蝕む日出ずる国の閉塞感。ようやく立ち上がろうという光りがみえる。

 皆さん、力を合わせて元気にまいろうではござらんか。

 潜んでいた創作の思いが、ふつふつと泉に湧いてくる今日この頃。

 今日は七夕、おそれ入谷の朝顔市も明日まででござる


    「夕顔や 滴るほどに 月朧」
                    海光


紫陽花革命6.29レポート!

2012年07月01日 | ★江戸っ子エッセイ★

     

 ついに朝日新聞の一面を飾った

 「大飯原発再稼動反対デモ」が5万人を越してやっと一面に掲載される時代なのだ。

 スポンサーやら政治的なんやらに遠慮や逡巡していたマスコミだったが、明らかに流れが変わったきた。

 これが無名の民衆の蜂起によって起ったことなんだ。

       
     
     

 6月29日(金)18時半。仕事を途中で放って、国会議事堂前駅へ向った。

 駅に降りると官邸に一番近い3番出口はすでに一杯だと、別の出口を誘導する人々がいる。

 地上に出るとすごいことになっていた。

     
     
       
          
     

 人々の口から連呼されるのは、安全な暮らしを望む願い。

 外国人の方も大勢見かけた。若い女性もたくさんいる。会社帰りのおじさんやOLさん。親子連れやベビーカーの方も多い。戸惑いながらも「再稼動反対!」と叫ぶご年配もたくさん。
 
     
       
     
     

 先週は歩道だけで45000人(主催者調べ)40000人(朝日新聞調べ)集まった。

 この夜は溢れる人垣に押され、官邸前の車道も埋まった。

 2倍とも3倍とも言われる人々。

     
              朝日新聞6月30日一面記事

 帰宅してTVをつけると、報道ステーションで古館さんと鳥越俊太郎さんがこのデモに共感すると語ってくれた。

 共鳴するジャーナリストがカンパ資金でヘリコプターを飛ばし、上空から撮影を試みた。ツイッターで知った民衆は、ペンライトや懐中電灯で夜空を旋回する同志にサインを送る。

    
              ヘリコプターが数機

 鳥越さんがおっしゃっていたように、組合の幟は見られない。

 政府の無謀に黙っていられない市井の民衆が声という武器を手に蜂起したのだ。  

        
     

 普段目立ったイデオロギーを持たざる一般民衆が怒っている。

 国を二分する大事なことを、世論とは反対の方向へなし崩しに進む不可思議と脅威。

 子孫へ残す大切な国作り、未来像を描かずして国民は納得すまい。

 今ここには民主主義のもたらす義はない。

 『紫陽花革命6.22』をテレビ朝日が報じて以来、沈黙していたメディアもダンマリを決め込むことができなくなったようである。

 6月30日の朝は、ついにNHKのニュース深読みでもこの日のデモに触れていた。

 市井の民衆の行動が、国を変えようとしている。




 お坊さんも太鼓を叩き、小さな女の子はお母さんとライトで空を照らしている。

 動きだした流れであるが、他人任せにしたら大量の清い水も堰きとめられる。

 誰かがやるだろう、誰かがなんとかしてくれるだろう、もう大丈夫だ、という慢心がいちばん怖い。

 他力本願が、この政権の暴走を招いたのだ。

       
 
 国民の切なる願いに対し、

 「大きな音だね」

 と記者に返す野田首相。

 この貧困なるお耳には国民の声が雑音としか聞こえないようだ。

 約束を反古にするどころが真逆の嘘を、「国民のため」命懸けで全うすると胸をはる。

 これが我々が選んだ一国の首相なのだ。

 清志郎が叫ぶ! 「ふざけんじゃねー!」

    

 平和な暮らしを諦めてはいけない。

 願いを、行動を続けること。

 これこそがいちばんたやすく、いちばん難しい道ではあるけれど。

 権力に立ち向かうには、ひるまず、怠けずそれしかあるまい


    「紫陽花や 止まらぬ流れ 国中咲き」
                         海光