王者・拳四朗選手の一日追う 山道はって鍛錬

2017-11-30 08:19:25 | 士 cerebrity
 京都府城陽市出身で、年末に2度目の防衛戦が決まったボクシング世界WBCライトフライ級王者の拳四朗選手(25)。京都のジムから初めて誕生した世界チャンピオンは、普段どんな練習をしているのだろう。気になって、彼の背中を追いかけた。

 拳四朗選手の一日は、ランニングから始まる。城陽市役所を起点に府道69号を往復したり、宇治橋西詰に構えるジムから宇治川沿いを走ったり。その日の気分でコースを変え、40分ほど汗を流す。

 午後は父永(ひさし)さんとジム近くの大吉山へ。観光客らを横目に、山道を一歩一歩スクワットで登る。スパイダーマンのように、地面にはいつくばる動きもあり「人に見られると恥ずかしい」。永さんは「足腰や体幹が鍛えられる。マシンと違い、自重なのでけがをしにくい」と話す。

 山頂付近では筋力アップのため、背丈ほどもある巨大な丸太を持ち上げ、前方に倒しながら進む。4年前から毎日1時間半行う「山練習」について、拳四朗選手は「本当にきついけど、精神的にも自信になる。こうした環境が近くにあるのはありがたい」と語る。

 夜はジムでボクシングトレーニングを2時間ほど行う。中学時代にここで初めてスパーリングを行った時はボディーにパンチを食らい、泣いた。その相手だった南川賀昭さん(44)=城陽市寺田=は、世界王者になった姿を見て感慨深げに言う。「どんな選手が練習相手でも、どんと構えて手を抜かず、後のフォローも忘れない。人間的にも成長し、頼もしい限りです」

 「年末の試合は注目される。うれしい」。12月30日の防衛戦は、今月初旬に急きょオファーが届き実現した。10月22日に試合をしたばかりで、その祝勝会も数件キャンセルする羽目になったが、拳四朗選手は前向きだ。

 5月に世界王者に上り詰め、街で声を掛けられることやメディア取材が増えた。地元後援会も広がりを見せるが、「まだまだぺーぺー。ボクサーは注目されてなんぼなので、勝ち方にもこだわりたい」。日常の様子を写真共有アプリ「インスタグラム」で発信し、自己PRも欠かさない。

 「拳四朗」は本名で漫画「北斗の拳」に由来するが、本人は少年のような顔立ち。「これで相手を油断させられたら」とはにかむ。

 身長164センチ、普段の体重は58キロ。これから試合に向け、約10キロ落とす。複数のグルメ番組をチェックするほど、おいしいものが大好きな身に減量は苦しいが、「試合後に何を食べるか、今から考えている。ご褒美があるから頑張れる」。

 来年1月6日に26歳になる拳四朗選手。注目の一戦はKO勝ちし、「最高の正月と誕生日を迎えてみせる」と誓う。

■拳四朗 本名・寺地拳四朗。東城陽中から奈良工業高(現奈良朱雀高)に進み、関西大4年時に国体優勝。2014年にプロデビューし、15年に日本ライトフライ級王者。16年に東洋太平洋、今年5月に世界タイトルを獲得した。11戦全勝(5KO)。父永さんは、元東洋太平洋ライトヘビー級王者。

【 2017年11月20日 17時20分 】


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