第2は、「解放」を体験することです。
自分を「解放」することです。
自分の感じた苦しみや悲しみ、怒り、などを
こころのうちにためて置くのではなく表現することです。
カウンセリングセラピーの中で、
プレイセラピー(遊びを通してなされる療法)とうのがありますが、
その中で、自分の受けた虐待体験を表現しながら、
悲しみや怒りに包まれることがあります。
その怒りや悲しみを表現することが「解放」につながるのです。
第3は、「再統合」とは、トラウマ体験をもう一度、自分の人生の中に、
過去の出来事として位置づけることです。
多くは、自分のこころの中にあるトラウマ体験を遠ざけ
自分をつり上げているために、本当の自分ではないようです。
本当の自分を取り戻すためには、虐待を受けた子どもであれば、
「自分はかつて親から暴力を受けた」ということを
自分の人生の物語に組み込んでいくことが大切のようです。
つまり、過去の出来事は変えることはできませんが、
その事実をしっかりと認め、
自分の人生のストーリーの一部として、
削除することをせずにしっかりと組み込んでいくのです。
その時に、こころに、どうしょうもない、
悲しみであり怒りであり感情がこみ上げてきて
自分ではコントロールできない状態になるのです。
その際に、大切なのは、
「ありのままを受け止めてあげる存在」
としてのカウンセラーであり、
聴き手となる人々が必要になるのです。
そこには、「信頼」という結びつきがなされていく時に
回復に導かれていくのです。
現在は、日本には虐待の専門家は少ないといわれています。
その中でも西澤哲先生は
「トラウマ治療の権威者」と言われていますが、
心理療法や精神医療だけではなく、
社会全体がトータル的に子どもに働きかける必要がある時代となってきています。
他人事ではなく、自分のこととして受け止めていくこころを培ってまいりましょう。
「こころの傷からの解放2」(了)