はあどぼいるど・えっぐ

世の事どもをはあどぼいるどに綴る日記

ブラパ THE BLACK PARADE(1)

2012-09-08 22:29:52 | マンガ
ブラパ THE BLACK PARADE(1) (ヤングガンガンコミックス)
クリエーター情報なし
スクウェア・エニックス


「ブラパ THE BLACK PARADE(1)」緑のルーペ

 河野留美(男)は、変わり映えしない日々にいら立っていた。自分が何をしようが、何をしまいが、現実は変わらない。変えられないことも、変えられない自分も気に食わなくて、日々腐っていた。そんな留美の唯一の楽しみは、どこか遠くへいくことだった。といって、そんな遠くへ行くわけじゃない。自分の生活範囲からそれほど逸脱することなく、ほんのちょっとした小旅行を楽しむ。あの山を越えたら、あの川の上流には……そんな些細な逃避行の先に、その場所はあった。とあるトンネルをくぐると、そこには打ち捨てられた廃工場があった。高い煙突と、用途の想像もできない様々の設備、路面電車と思われるものまで。
 フジノという名の少女との出会いは、唐突に起こった。いきなり向こうからつっかけてきて、間接を極められ、鼻血を出させられ、一方的な決闘を申し込まれた。
 怒る気にはなれなかった。エキセントリックで、暴力的で、どこまでも理不尽で、でも彼女は美しかった。わくわくした。自分にはない何かを持っていた。だから、留美は彼女と共にあることにした。
 フジノは、廃工場の各所に様々な名前をつけた。路面電車にはブラックパレード、工房跡にはククルカン……まるで昔のRPGの冒険を地で行くように、各地を旅した。食料を携え、火を起こして煮炊きをし、路面電車に寝泊まりし、不良軍団をも撃退する。
 そんな無敵な彼女にも、弱点はあった。なんといっても彼女は女の子で、暗闇や人間関係を恐れた。留美はそんな様々な彼女の表情にいつの間にか惹かれていた……。

 僕も、小学生の頃には近くの駅舎の片隅に新聞広告や割り箸なんかで構築した貧弱な秘密基地を作って遊んでいた口なので、2人の行動指針には大いにうなずけました。高校生にして「まだ」そんなことやってんのか、という冷静な意見はあるかもしれないけど、だからこそ2人が羨ましく感じました。それぐらいの年齢で、しかも男女の垣根を越えて大真面目な妄想を共にしてくれる友達なんていないです。絶対に。男じゃだめなんです。女の子だからこそいいんです。
 とまあ鼻息荒く語ってしまいましたが、いま僕が語ったようなフレーズがちょっとでもひっかかった人は迷わず買うべき。
 ちなみにこの作者さんはエロマンガ畑の人なんですが、そんなことをまったく感じさせないようなストーリーテリングのうまさでした。次巻にも期待です。

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