自分の音楽的ルーツを探求しようという企画、その第1弾。今回は甲斐バンド。
小学校高学年の頃、巷で流行っている音楽にやたらと興味を持つようになった。「ザ・ベストテン」のランキングや、ローカルラジオ局の音楽番組のヒットチャートを毎週ノートに記録していたりなんかした。まずは世間がいいというものから聴き始めて、次第に自分の好みが明確になっていく。これは何をするにしてもそうだと思うのだけど、僕の音楽的趣向もそのうち明確になっていく。中学生になり「好きなミュージシャンは?」という質問が友人達との会話に上るようになると、僕は迷わず「甲斐バンド」と答えていた。
思えば甲斐よしひろの詩の世界は、中坊には早すぎる(笑)。でも僕はそこに流れる70年代的な大人の空気をものすごく魅力的に感じていた気がするのだ。
♪あなぁたに抱かれるぅのは、今夜ぁ~あ、限りねぇ(きんぽうげ)
♪あの娘は一世紀前のぉ、セックスシンボルぅさぁ(一世紀前のセックス・シンボル)
♪あたしを捨ててぇ行っちまたぁ、ああぁんたぁのせぇなかにぃ(そばかすの天使)
それにロックバンドなんだけど、どこか歌謡曲なんだよね。
♪北へぇ向かう夜汽車は、オレのぉなぁかのぉ~、心のようにぃすすりぃ泣いてたぁ(安奈)
人生に疲れて北へ向かうという構図は演歌っぽいじゃない?この辺り、僕がマセたガキになっていった原因のひとつとも思われるのだ。
中学時代、好きだった女の子と音楽の話をしていて、僕が甲斐バンドが好きと言うと彼女は言った。
「あの人歌うまい?今度の新曲(♪ビューティフル・エネルギー)で歌っているドラムの人の方が歌うまいじゃない。」
・・・お前にはわからねぇ!甲斐バンドのよさはそんなとこじゃねぇんだよ!。あの哀愁、男の静かなるやさしさが根底に流れる歌詞の良さがさ!。なーんてことを彼女に言い返すこともできずにおりました(笑)。NHK-FMの「サウンドストリート」は中学時代夢中になって聴いた番組だった。そこで流れた数々の曲も僕の興味をかき立ててくれたものさ。今回選んだ「甲斐バンドストーリー」は初期も初期、♪HERO(ヒーローになる時、それは今)までの代表曲を集めたベスト盤。FMの番組で全曲流していたのをエアチェックして繰り返し聴いた。バンドの歴史を網羅したベストも多々あるが、これ程聴きこんだものは他にない。オリジナルアルバムで一番好きなのは、 ♪感触(タッチ) を収めた「マイ・ジェネレーション」だな。
甲斐よしひろ氏の詩は映画にインスパイアされたものが多い。♪男と女のいる舗道、♪3つ数えろ、♪地下室のメロディーなど映画のタイトルからとったものも多い。
♪君はいつまでぇも、銀幕のぉ~ヒロイン、ラストぉシーンは悲ぁ~しぃく
と歌う名曲 ♪シネマクラブ。この後、
♪舗道に影だけを、舗道に影だけを、残してはぁ~
と続き、「第三の男」のラストシーン、歩き去るアリダ・ヴァリを思わせる。
また名曲中の名曲 ♪ポップコーンをほおばって も映画好きでなきゃぁ書けない詩。
こんなところも今の僕を作りあえげた要素となっているのは間違いないだろう。
私の学生時代のバイブル的存在でした。
それでもって、今でもたまに聴いていますよ。
アルバムタイトルもイカシテますよね。
私のお気に入りのアルバムは、甲斐のアルバムは全て好きですが、
初期では「ガラスの動物園」(そのなかの"悪いうわさ"が好きでした)
「この夜にさようなら」「誘惑」。この3作が良いですね。
今「誘惑」の "手" のジャケット探してます(笑)。
”悪いうわさ”って渋いですねぇ。「ガラスの動物園」は僕も初期では好きなアルバム。ベストである「甲斐バンドストーリー」を挙げたのは最初に聴き込んだアルバムだったからで、「マイ・ジェネレーション」が実は一番好き。「破れたハートを・・・」の頃には、甲斐バンドからしばらく離れていた時期でした。でも改めて聴くといいですよね。
甲斐さんの詞の世界を最も凝縮した名曲は、実は明石家さんまに提供した「サンキュー」だと信ずる私です。そういえば、かつて松田聖子に提供した曲を、最近セルフカバーしたという話を聞きました。どんなだろ?。
甲斐バンドで独り盛り上がっちゃいました(笑)。
「マイ・ジェネレーション」では"港からやってきた女"がいいですね。
ラストギグのときに、中島みゆきが飛び入りしてこの曲デュエットしてましたよね。
>>明石家さんまに提供した「サンキュー」
昔、さんまの番組に甲斐サンがゲストに出たとき
さんまとデュエットしていました。
あれ、ビデオに録っておけばよかったです。
因みに松田聖子のは、
"赤い靴のバレリーナ"という曲で、いつくらいか忘れましたが、
確か "ロックン・ルージュ"あたりじゃないかと思います。
甲斐ヴァージョンは「翼あるもの2」に収録されていますよ。