Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

特出しの真相

2020年07月18日 | 日々、徒然に

名作や傑作だらけの森崎東監督だけど、

特に印象に残っているのが、

東映で撮った「喜劇  特出しヒモ天国」かな、と。

 

 

ストリップ小屋にうごめく

怪しげなヒモ男たちと、腐れ縁でつながったストリッパーたち。

彼ら彼女らの阿鼻叫喚なエピソードを、

サラリーマンからドロップアウトした支配人で

のちヒモになる男(山城新伍)の目で描く。

 

その視点は限りなく優しいけれど、

ふだん虐げられた人たち、今の言葉で言うと

エッセンシャルワーカーな人たちの

悲惨な状況を笑い飛ばそうとしながらも、

笑ってる場合じゃねえよ、と突っぱねるような演出の凄み。

森崎作品に通底する、

世の中への怒りというか。差別への反発というか、

大きな権力に対する嫌悪感みたいなもの。

 

でも、そうしたテーマが声高になる前に、

映画としてとにかく面白すぎるわけで。

登場人物が逸脱した魅力に溢れていて、

泣いて笑って、ああ楽しかったなあという幸福感。

 

松竹から干されてフリーとなった監督が

慣れない東映で撮った本作は、

山城新伍や川谷拓三の大活躍で一気に東映テイストになりつつ、

にっかつロマンポルノの名花とも言える

芹明香のストリッパーぶりが、なんとも哀切でたまらない。

 

ということで

森崎作品の中でも「特出しの一本」かな、と。

 

実はもう一本、

森崎監督にはものすごい傑作があるのだけど、

それはまた追って書きます。

 

コメント
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