クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

忘れ去られたもの2 アクセルフィール

2012-06-14 12:50:59 | なんでもレポート

現代の車は、そのほとんどにアクセルケーブルは無く、アクセルペダルのところに
ポジションセンサーが組み込まれていて、エンジンとは配線でつながっている。
電制スロットルと呼ばれるそれだ。
構造上は一見簡単になったように思えるが、良いアクセルフィールを作り込むのは
実はとてもむつかしい。

以前に、とあるメーカーのテスト車両で、従来からのアクセルペダルにポジションセンサーを
組み合わせただけ、というのをドライブしたことがある。
無論エンジンの出力はコントロールできる。
アクセルペダルを1mm踏み込めばポジションセンサーの電圧が変化し、エンジン出力が上がる。
1mm戻せばその分、出力が下がる。
レスポンスが良いといえばそれだが、一定で走らせるには、1mmも動かさずに
同じアクセルポジションを保つ必要がある。
この時のアクセルペダルはリターンスプリングはついているものの、指一本で軽く押せるスカスカのもの。
一定位置で足を止めるには足の両側の筋肉を使って“固定”するから、10分も走らせると
右足がつってくる。

この時の様子を振り返ると

1 エンジンが応答し始める位置をアクセルペダルで感じ取れるか。
  →スカスカで何もなく、いきなりエンジンが吹け上がります。

2 足の筋力を踏み込み方向に使って、アクセルペダルの反力にバランスさせる事ができるか。
  →ペダルが元に戻るだけのリターンSPだから、反力にしては乏し過ぎる。

3 一定のポジションに止める(保持する)には、アクセルペダルに相応の動きの渋さ(フリクション又は、
  動きの悪さに近い抵抗となるもの)が欲しい。
  →ポジションセンサーもアクセルペダルも皆無に近い。

4 1mm踏み込んでも1mm戻しても、ペダルの動きがそのまま電気信号の変化になってしまうと
  敏感すぎて扱いづらい。
  →ポジションセンサーは正確さが売りだから、あいまいさは無い。

こいつは困った。
従来の車両では当たり前だった事が、いきなりとんでもなく扱いづらいものになってしまった。
そこで対策したのは、アクセルワイヤーを元の位置に戻し、先端に長いコイルSPを入れて
擬似的にスロットルバルブを動かしているようにしたのだ。
これでなんと、1,2,3がおおよそだが解決した。
4はこの時点で手を入れられなかったが、この対策で足の筋肉がピリピリするのは
2~3時間連続して走った時くらいになった。

アクセルフィールにはスロットルの状態が足で探れることと、ポジションの保持が“足の動き”と
釣り合うことがもっとも筋力を使わずにコントロールできる条件だと思うのだが、
最近の車、1,2,3,4どれも気になる。
エンジンも相変わらず低速にネバリが無いから、どうしようもなく扱いにくく感じてしまう。

コストの問題以前に、技術センスが・・・と言いたい。
昔の話ばかりして恐縮だが、以前のアクセルケーブルには、
テフロンチューブがインナーケーブルに使われていた。
適度なフリクションとなめらかさ。
アクセルオンオフ時の動きのヒステリシス。
実にうってつけの特性を持ち合わせていたのだが、いつの日かテフロンチューブが
コスト○○○で廃止されてギクシャクとした動きになり、そのまま電制スロットルに突入。
これではよいアクセルフィールを叫んでも、誰も知らん顔していられる!?



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kuwahara)
2012-06-15 12:09:47
現代のマトモなクルマランキングを・・・。

自分でG=BOWLで練習ですね、ハイ。

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Unknown (tmori)
2012-06-17 11:35:45
ヒスが無い?そりゃ扱いにくいでしょう。普通は設計要件に入ってますね。
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書き込みありがとうございます (くにまさ)
2012-06-17 23:22:04
この時のそれは、本当にポジションセンサーをつけただけでしたから
ご想像の通りです。
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