現代の車は、そのほとんどにアクセルケーブルは無く、アクセルペダルのところに
ポジションセンサーが組み込まれていて、エンジンとは配線でつながっている。
電制スロットルと呼ばれるそれだ。
構造上は一見簡単になったように思えるが、良いアクセルフィールを作り込むのは
実はとてもむつかしい。
以前に、とあるメーカーのテスト車両で、従来からのアクセルペダルにポジションセンサーを
組み合わせただけ、というのをドライブしたことがある。
無論エンジンの出力はコントロールできる。
アクセルペダルを1mm踏み込めばポジションセンサーの電圧が変化し、エンジン出力が上がる。
1mm戻せばその分、出力が下がる。
レスポンスが良いといえばそれだが、一定で走らせるには、1mmも動かさずに
同じアクセルポジションを保つ必要がある。
この時のアクセルペダルはリターンスプリングはついているものの、指一本で軽く押せるスカスカのもの。
一定位置で足を止めるには足の両側の筋肉を使って“固定”するから、10分も走らせると
右足がつってくる。
この時の様子を振り返ると
1 エンジンが応答し始める位置をアクセルペダルで感じ取れるか。
→スカスカで何もなく、いきなりエンジンが吹け上がります。
2 足の筋力を踏み込み方向に使って、アクセルペダルの反力にバランスさせる事ができるか。
→ペダルが元に戻るだけのリターンSPだから、反力にしては乏し過ぎる。
3 一定のポジションに止める(保持する)には、アクセルペダルに相応の動きの渋さ(フリクション又は、
動きの悪さに近い抵抗となるもの)が欲しい。
→ポジションセンサーもアクセルペダルも皆無に近い。
4 1mm踏み込んでも1mm戻しても、ペダルの動きがそのまま電気信号の変化になってしまうと
敏感すぎて扱いづらい。
→ポジションセンサーは正確さが売りだから、あいまいさは無い。
こいつは困った。
従来の車両では当たり前だった事が、いきなりとんでもなく扱いづらいものになってしまった。
そこで対策したのは、アクセルワイヤーを元の位置に戻し、先端に長いコイルSPを入れて
擬似的にスロットルバルブを動かしているようにしたのだ。
これでなんと、1,2,3がおおよそだが解決した。
4はこの時点で手を入れられなかったが、この対策で足の筋肉がピリピリするのは
2~3時間連続して走った時くらいになった。
アクセルフィールにはスロットルの状態が足で探れることと、ポジションの保持が“足の動き”と
釣り合うことがもっとも筋力を使わずにコントロールできる条件だと思うのだが、
最近の車、1,2,3,4どれも気になる。
エンジンも相変わらず低速にネバリが無いから、どうしようもなく扱いにくく感じてしまう。
コストの問題以前に、技術センスが・・・と言いたい。
昔の話ばかりして恐縮だが、以前のアクセルケーブルには、
テフロンチューブがインナーケーブルに使われていた。
適度なフリクションとなめらかさ。
アクセルオンオフ時の動きのヒステリシス。
実にうってつけの特性を持ち合わせていたのだが、いつの日かテフロンチューブが
コスト○○○で廃止されてギクシャクとした動きになり、そのまま電制スロットルに突入。
これではよいアクセルフィールを叫んでも、誰も知らん顔していられる!?
自分でG=BOWLで練習ですね、ハイ。
ご想像の通りです。