クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

ロータスエリーゼのサスペンションセッティング その14

2016-03-27 23:14:50 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
リヤスタビライザーが出来上がってきました。

先ずは取り付けブラケット制作と、ボディーの加工です。

リンク側も取り付けるところが用意されているわけではないので作ります。

元からスタビライザーの設定がない車両なので、面倒な作業になるのは仕方ありません。

取り付けたらテスト走行です。

今回、径違い二種類を準備したので、必要な太さ(剛性)を走らせて選択します。

バネレートが低めの乗り心地仕様なので、リヤスタビライザーはほどほどの効きにとどめます。

「ほどほど」というのが難しいところです・・・

スタビライザーは、付いていることを意識させないほどの利かせ方で、スタビライザーを外すと、付いていないことがわかるくらいがちょうどいいのです。

市販車のしつけがそうです。

ロールが明らかに少なく、太いスタビライザーが付いていることがはっきりと分かるほど効かせると、切り返し時のテンポがスタビライザー主導になるので、
ロールスピードのコントロールが思うように行かなくなります。

同じく左右輪の関連が強くなりすぎると、独立懸架のいいところがなくなり、乗り心地が悪化したり、落ち着いたトラクションが期待できなくなったりします。

ミッドシップカーの重いリヤに取り付けるのでそれなりに効かせるにしても「しなりのあるロール感」の範囲を探します。

狙い通り、軽い車体を生かしたヒラリヒラリのロールの切り返しが軽快に、かつコントロール下に。

オーナーの期待通りだといいのですが・・・










NEWTON BRAKE DAY その2

2016-03-23 22:18:20 | NEWTON BRAKE
申し込みを締め切らせていただきました。

時間厳守できっちり申し込まれた方、パソコンの前に張り付かせてしまって申し訳ありません。

どこぞの最終列車のチケット並み!?にわずかの時間で規定台数に達しました。

ニュートンブレーキDAYの内容はブレーキ練習が主なものですが「外の条件」に合わせることが意外に難しいことがわかります。

さらにブレーキとハンドル操作の合わせ技になるとさらに難易度が上がり、
そのとき発生する「G」と走行軌跡「ライン取り」を加味すると、それはもう・・・初心に戻れます。

といったこともあるのですが、踏力一定ブレーキの練習を1日やって、それを持ち帰ることができれば十分です、練習会の目的もそこにあります。

ところがやっているうちに自分で何かに気が付いてしまうと・・・ほっとけない人は気になって気になって、
次回練習会があったら参加したい、でどんどん参加者が増えて今回に至っています。

なので、初参加の人も何度目かの人も、同じ練習メニューでやります、初心者コースとか上級コースなどといった気の利いたものはありません。

もう一つ。
練習会の中で必ず同乗走行をするように進めています。
同乗走行にはいろいろな意味があります。

言葉とか、カタチで伝えられる運転もあるのですが、こんな感じ・・・の操作で発生するGは体感しかありません。

助手席の人が、自分の操作次第で不快に感じたり、優しい気持ちが操作によって伝わることを知ると、良い運転を心がけるきっかけにもなります。

ということで、当日いかに多くの人に乗せてもらうか、あるいは乗ってもらうか、滅多にないチャンスです、人との交流にもチャレンジしてみてください。





タルガタスマニアラリー 2016 その2

2016-03-19 22:52:07 | イベントレポート
気がつけば三月も後半、もっと先だと思っていたタルガタスマニアラリースタートまで三週間!

今回はコースレッキ(6日間)も予定に入れているので、さらにもう一週間手前から出かけます。

で、もしもペースノートに書き込むならをイメージしながら、ここのところワインディング路通勤をしています・・・サンバートラックで。

タスマニアラリーで使うペースノートと言っても、自分が作るものはWRCだとか全日本ラリーで使われているものとは比較にならないほど簡素なものです。

右に曲がっているのか左に曲がっているのかは当たり前ですが、タスマニアラリーの場合、
向こう側が全く見通せない、かつ高低差の大きい「たて」のブラインドコーナー(クレスト)が多くあり、
その先がどうなっているのか、安全確保の意味でペースノートは欠かせません。

今日は、オリジナルボックスHPでも紹介している、会社までのワインディング路のペースノートを使ってみました。

ふむふむです。

S氏のそれはかなり細かく表記されているのがわかります。

時間の取れる方は是非ペースノート走行体験をしてみてください。

その道を知っていても、知らなくてもいろいろな発見があると思います。

自分だったらこう作るみたいな話もありです。

ペースノートはそれぞれのドライバーの記憶ノートなので、自己流が当たり前です。

さて、今回のタスマニアラリーのペースノートに何を盛り込むか……飛行機の中で考えよう。

NEWTON BRAKE DAY

2016-03-15 21:35:47 | NEWTON BRAKE
検証バランススロットル練習会を今年も予定しています。

イベント名称が「検証バランススロットル練習会」から「ニュートンブレーキDAY」に変わりました。

これまでやってきた検証バランススロットル練習会の内容をまとめたものがニュートンブレーキ本なので、
イベント名称が変わっても練習メニューは同じです。

これまでと違うのは、ニュートンブレーキ本を手にした人が、トライしてみたいことを用意して練習会に参加できることです。

踏力一定を頭で理解したら、次はニュートンブレーキDAYで「体内センサー」を覚醒させましょう。

自分で走らせるのはもちろんのこと、助手席で踏力一定を体感することで、ああなるほど‼と納得することがあります。

自分の「尺」の精度も確かめられます。

募集要項は次の通りです。

http://unten.mine.nu/OBFC/20160507/




工作の時間 2016

2016-03-11 22:21:04 | セッティングレポート(SUSPENSIONDRIVE)
フォーミュラSAE用のオーリンズダンパーが、オーバーホールに入ってきました。
専用ダンパーで小型です。

TTXと呼ばれるタイプです。
内部構造は、オーリンズ、フォーミュラSAEで検索できます。
減衰力の伸び側縮み側それぞれの低速高速が独立してアジャストできます。

大きな特徴は、ピストン部にはバルブが無く、オイルが通過しないこと。
どちらの方向に動いても油を押し出すだけで、その先を堰き止めるように減衰力バルブがある外部コントロール方式。
ツインチューブ構造になっていて、伸び側圧側の通路が独立しています。

バルブを通過して減衰力を発生した後、ピストンの背圧側にチェックバルブを通過したオイルが戻るようになっていて、双方向に同じです。

ピストンの背圧側に戻る通路は、減衰力の影響を受けないので(高圧にはなりません)ここに別タンクが設けられています。

減衰力発生バルブ部がユニット化されていて、外部から取り外すことができるので、減衰力値を大きく変えたい時などに、
わざわざ本体を分解せずとも作業できるのが大きな特徴です。

構造の説明はこのくらいにして・・・TTXダンパーは実作業での組み立てがとても難しいというお話を。

一つ目はエア抜き・・・シリンダー内と別タンクのフリーピストンまではオイルで満たしたい、
ところがピストン部をオイルが通過しないことから、組み付け時にエアーが混入していると、
逆さに向けても正常な向きにしてもエアーが逃げ回って抜きようがありません。

二つ目はオイル量のコントロール・・・小型のダンパーで各部の寸法はミニマムに設計されています。
別タンクのガス室容量も余裕がなく、決められたフリーピストン位置で組まないことには正常に作動しません。

ところがフリーピストン位置寸法で組み込めば大丈夫かといえば、今度はガスの溶け込みと呼ばれる現象があって、時間が経つとオイルが目減りするのです。

さらにオイルの温度依存性⋯⋯⋯温度が上がればオイルが膨張、下がればオイル量が減ります、なので組み込み時の温度管理も。

対応方法は、しっかりとエアー抜きをすることと、最低でも24時間以上置いて再度オイル量の確認作業を行うこと。

今回入庫した四本のうち一本がオイル量不足で、フリーピストンが底付きしていました。
少し前に入庫したものは4本中三本がオイル量不足。
メーカーで組んだものでも不安定ということです・・・。

話が長くなりましたが、ここで工作の時間。
組み立てがスッキリとできるように専用工具を作りました。

一部オーリンズ製、他は内製。




ロータスエリーゼのサスペンションセッティング その13

2016-03-02 22:44:19 | ガレージレポート(オリジナルボックス)



ロールセンター高考

ロールセンターの求め方はサスペンションについて書かれている本を開けば、必ずと言っていいほど出てきます。

ロールセンターとは瞬間回転中心、サスペンションの幾何学中心。
フロントとリヤのロールセンターを結んだものがロール軸。

クルマがロールするときに、そのポイント(軸)を中心としてロールする・・・
ロールセンターは横移動をするとか、急激な変化をすると良くないとか、その動きについての解説も時々あります。

正面視のアーム配置図があれば作図してロールセンター高さを出すのは簡単です。

ところが、先にロールセンター高さを決めて、アーム配置を検討したらどうなるでしょう。

仮に、地上から10cmにドットを入れてタイヤ接地中心から線を引きます。

ロールセンターを求める作図の中にアーム長の条件はありません、取り付けポイントもボールジョイントの位置も自由に決められるので、
この線上に集結するロワーアーム、アッパーアームの配置は無限にあります。

アーム配置の違いによる操縦性の差を検討するためのロールセンター高さのはずなのに、
一つのロールセンター高さの中にいくつものパターンがあるとしたら、何を導き出そうとしているのかわかりません。

他にも、作図ではタイヤ接地中心から線を引くので、タイヤ径が変わればロールセンター高さが変わります、しかしアームのレイアウトはそのままです。

この時、操縦性に影響がでるのでしょうか?出ないのでしょうか?・・・いよいよロールセンター高さの意味がわからなくなってきます。

さらにはサスペンションの上下動を説明するときに、ボディーを固定、タイヤを上下させて見せるのも気になります。

旋回中の姿勢を考えるのならタイヤを地面に固定して、ボールジョイントを中心にロワーアームを揺動させるのがより現実的です。

ということで、世間で使われているロールセンター高さを求める方法では、不確かなことが多すぎます。

この疑問にもう何年も前に突き当たりました。

そこで、自分が求めているものは何か、というところを掘り下げていって。
「再現性があること」「理由が明確であること」「安定を作り出すことができること」「共通性があること」の条件を満たすことのできる見分け方を延々と・・・
さらには、従来からのロールセンターを求める方法では言われていない、アーム角よって「動きが反転する」ことも見えてきました。

ということで「ロールセンター高」考よりも、揺動軸を中心に刻々と変わる「アーム角」考・・・に。

以前、フォーミュラフォードのオーナードライバー相手に、実車を目の前にしたサスペンション講座を開きました。

エンジニアがいるわけでもなく、個人で走らせている方がほとんどなので、自分でできるサスペンションセッティングのお話を。

教材車両を提供したドライバーは、何かに目覚めたように次のレースでいきなり自己ベスト更新!!・・・それも秒単位で。