クルマのサスペンションと長いお付き合い

サスペンションの話、試乗記、旅の話、諸々・・・。

ヒストリックラリー参戦プロジェクト

2012-06-30 12:03:35 | イベントレポート

東京大学と関東工大との共同プロジェクト(授業です)の3年目のキックオフに参加してきた。
ヒストリックラリーモンテカルロに2年連続で参戦。
リタイヤなくゴールできたことと、事故も無く授業が終えられたことに、
ひとまずホッとしているところだが、3年目もある。
参加するラリーが変わるが、授業内容は同じ。
受講する学生が一段と増えて、両校合わせて30名!
候補に上がっているラリーが3つ(3ラリー参加と言う意味です)。
車両も1台は日産車。
もう一台は三たび!トレノになるかも知れないことが、およそ決まっている。
ドライバーは1名は決定しているが、他はまだ何も決まっていない。
ラリーの形態、ライセンス、車両準備など(安全面)によるが、
学生のコ・ドライバーも考えられる。
ひょっとして私もどこかのラリーのハンドルを握るかもしれないが、
今年も運転訓練合宿のお手伝いをやる事は決まっている。

そこでふと考えた事がある。
海外ラリーに日本から参戦した事のある日本人の数は
エベレスト登頂の日本人の数よりも少ないのでは?と
思ったりしているのだが、どうだろうか?
この疑問に答えてくれる人居ませんか?


スバルレガシー 2.0GT DIT

2012-06-28 15:45:25 | 試乗レポート

久々にスバルの新車試乗会に参加。
受付の始まる少し前に到着。
試乗の予約を済ませて、まずはホットコーヒー。
そのあとたっぷりと時間を掛けた新型車の説明を聞いたあと、いよいよ試乗。
最初の車両は2.0GT DIT。
直噴、ターボ、CVT・・・他にも何やらいっぱい付いていて、全てが新しい(らしい)。
試乗コースは富士山のふもと。
道は上っているか下っているか、平らなところが無い。
一般車にはさまれて移動するも、この時の速度の管理(コントロール)が実にやりやすい。
アクセルペダルを操作する右足の動きの通りに駆動トルクが付いてくる。
加速だけではなく、減速側も切れよく駆動が落ちる。
エンジンブレーキもMT車とほぼ同じといっていい程、うまく効いてくれるから
信号停止もフットブレーキを上乗せする効かせ方で止められる。
従来型ATの、アクセルを離しても後ろから誰かに押され続けているような空走感が無い。
こいつはいい。実にいい。文句ナシだ。
しかし、乗り心地とハンドリングは???
乗り心地はそこそこと言っていいけど、ハンドルの手応えとロール感はいただけない。
18Jのタイヤと言うのもナゼ?としか言いようがない。
せっかく駆動系に関しては、世界でも指折りと自慢できそうなのに、走りのまとめはね~。
でもスバルのエンジンがこんなにも元気になって、素直にうれしい。
燃費も良さそうだし、言うこと無し。


TE27

2012-06-21 14:00:24 | イベントレポート

車好きの仲間がTE27モンテ仕様に試乗した。
“自動車ってこんな乗り物だったんですね”と、感慨深げだった。
・最近の乗用車ではもう見られなくなったボールスクリュー式と呼ばれるステアリングギアボックス
 (パワーアシスト無し)
・ブレーキもマスターバック無し
・エンジンにはキャブレターが・・・
と、若い人たちは、まず触れた事がないだろう昔の車である。
当然、運転も初めて。

筋力を使い、機械と対話する。
体に伝わってくる速度感、音、振動、G、におい・・・!?
現代の車ではあまり感じられない「走らせている実感」が1/1で存在している。
出したスピードは右足の筋力に置き換えて車を止める。
スピードを出すにしても、前の車との車間を判断する時も、右足と相談しながらだから
自ずと冷静になれる。
“車は人が止めるのだ”
“正しい動作かどうかは車が知らせてくれる”
とは、試乗した何人かが口にした言葉。
手応え、足応えを頼りに操作できるのも、この時代の特徴ともいえるが
これは“素の道具感”とも表現できる。
パワーアシストが思いっきり効いて、全ての操作がお手軽傾向の現代の車には
この道具感がない。
正しい操作かどうかを車が知らせてくれることもない。
これでは運転がむつかしくて当たり前だ。
気軽に走らせられるかもしれないが、安全に運行できるのはTE27の方である。
エントラントの1/3がリタイヤする超難関の雪のモンテカルロラリーを2年連続して
ほぼ無傷で完走している事でも説明がつく。

          

“道具感”が正しい操作、判断力を導いてくれる・・・とは少し言い過ぎかも知れないが
“良い緊張感の持続” “走らせている実感と楽しさの素”でもある。
スポーツカーの原点って、ここだよね~。


NA6 ロードスター  お~っ 危ないアブナイ

2012-06-17 13:55:52 | ガレージレポート(オリジナルボックス)

知人にお願いしてNAロードスターを2週間ほどお借りした。
代車にはNBロードスター。
「じゃ、すみません・・・サーキット走行した直後なのでエンジンオイルの交換と
 ディスクパッドのチェックと○○○○お願いします・・・あと、エンジンの調子も
 今ひとつなので点検を・・・、一緒にやってください。」とのことだった。

そこで元ロードスター乗りからのアドバイスをもらって見ていくと、なんとなんと恐ろしいことに
オルタネーターの取付け部がゆるんでいるではないか。
確認のために外してみると、写真のように丸穴が、ガバガバの長穴に成長!している。
取付けボルトも長い間にもまれて、きれいにやせている!

          

修復のしようが無いから、これはリビルト品を探すしかない。

直列4気筒エンジンは回転振動が大きいから、エンジン本体に固定されている補器類は
みな、強烈な振動にさらされる。
そのなかでも質量の大きいオルタネーターは、おもりとなってエンジンとの結合部に
負担が集中する。
今回のダメージはその結果だろう。
見つかったから良かったけど、通常の点検では、まさかの箇所だけに、見ない。

距離を走っているロードスターのオーナーさん、チェックしましょう。
ちなみに預かっているNAロードスターの走行距離は、16万キロ少々。



忘れ去られたもの2 アクセルフィール

2012-06-14 12:50:59 | なんでもレポート

現代の車は、そのほとんどにアクセルケーブルは無く、アクセルペダルのところに
ポジションセンサーが組み込まれていて、エンジンとは配線でつながっている。
電制スロットルと呼ばれるそれだ。
構造上は一見簡単になったように思えるが、良いアクセルフィールを作り込むのは
実はとてもむつかしい。

以前に、とあるメーカーのテスト車両で、従来からのアクセルペダルにポジションセンサーを
組み合わせただけ、というのをドライブしたことがある。
無論エンジンの出力はコントロールできる。
アクセルペダルを1mm踏み込めばポジションセンサーの電圧が変化し、エンジン出力が上がる。
1mm戻せばその分、出力が下がる。
レスポンスが良いといえばそれだが、一定で走らせるには、1mmも動かさずに
同じアクセルポジションを保つ必要がある。
この時のアクセルペダルはリターンスプリングはついているものの、指一本で軽く押せるスカスカのもの。
一定位置で足を止めるには足の両側の筋肉を使って“固定”するから、10分も走らせると
右足がつってくる。

この時の様子を振り返ると

1 エンジンが応答し始める位置をアクセルペダルで感じ取れるか。
  →スカスカで何もなく、いきなりエンジンが吹け上がります。

2 足の筋力を踏み込み方向に使って、アクセルペダルの反力にバランスさせる事ができるか。
  →ペダルが元に戻るだけのリターンSPだから、反力にしては乏し過ぎる。

3 一定のポジションに止める(保持する)には、アクセルペダルに相応の動きの渋さ(フリクション又は、
  動きの悪さに近い抵抗となるもの)が欲しい。
  →ポジションセンサーもアクセルペダルも皆無に近い。

4 1mm踏み込んでも1mm戻しても、ペダルの動きがそのまま電気信号の変化になってしまうと
  敏感すぎて扱いづらい。
  →ポジションセンサーは正確さが売りだから、あいまいさは無い。

こいつは困った。
従来の車両では当たり前だった事が、いきなりとんでもなく扱いづらいものになってしまった。
そこで対策したのは、アクセルワイヤーを元の位置に戻し、先端に長いコイルSPを入れて
擬似的にスロットルバルブを動かしているようにしたのだ。
これでなんと、1,2,3がおおよそだが解決した。
4はこの時点で手を入れられなかったが、この対策で足の筋肉がピリピリするのは
2~3時間連続して走った時くらいになった。

アクセルフィールにはスロットルの状態が足で探れることと、ポジションの保持が“足の動き”と
釣り合うことがもっとも筋力を使わずにコントロールできる条件だと思うのだが、
最近の車、1,2,3,4どれも気になる。
エンジンも相変わらず低速にネバリが無いから、どうしようもなく扱いにくく感じてしまう。

コストの問題以前に、技術センスが・・・と言いたい。
昔の話ばかりして恐縮だが、以前のアクセルケーブルには、
テフロンチューブがインナーケーブルに使われていた。
適度なフリクションとなめらかさ。
アクセルオンオフ時の動きのヒステリシス。
実にうってつけの特性を持ち合わせていたのだが、いつの日かテフロンチューブが
コスト○○○で廃止されてギクシャクとした動きになり、そのまま電制スロットルに突入。
これではよいアクセルフィールを叫んでも、誰も知らん顔していられる!?


NA/NB 6.8ロードスター

2012-06-12 13:26:20 | ガレージレポート(オリジナルボックス)

アクセルペダルがおかしくなった!
と言われて調べてみたら、ここが壊れていた。

アクセルペダルを支えているブラケットに亀裂が入っていて
アクセルペダルを踏み込むと、アクセルワイヤーを引っ張るより先にペダルの支点が奥に逃げる。

ブラケットが変形しきったら、アクセルワイヤーがおもむろに引っ張られてエンジンが吹け上がる。

踏み込んだ位置から軽くアクセルを抜きたい時には、先にブラケットの変形が戻ったりするから
アクセルレスポンスがややこしい事になる。
伸び縮みするゴムバンドで、アクセルペダルとスロットルを結んでいるようなものだ。

修理はカンタン。
ブラケットを取り外して(これはややメンドウな作業)、溶接すればOK。
ついでに補強も入れたので、もう壊れる心配はない。
最近アクセルペダルの様子が、とかエンジンの応答が今ひとつかな?などに
心当たりのある方、足元をのぞいて見ましょう。
明るく照らして、手でアクセルペダルを押してみれば、すぐに見つけられると思います。


G-BOWL練習会5 ハヤイかウマイか~その2

2012-06-07 16:51:15 | G-BOWL

安全運転をしましょう。
スピードの出しすぎに注意しましょう。
交通ルールを守りましょう。

・・・耳タコなフレーズです。
具体的にどうするの?と、問いたいところもあるけど
車のうまい走らせ方、正しいコントロールの仕方などといった話は、まず聞いたことがない。
乗り方を説明しないで、スピードを出すと危ない・・・は説得力があるようで
実はまったくもって説明になっていない。
本音はスピードを出すと危ない・・・から、乗るなと言っているのだ。
これは確かに車を走らさなければ事故は起きないから正しいけど、バカバカしい。


その昔に国内ラリーで高速のダートサーキットのSSを走ったとき、
直線で160km/h出して、ハッと気がついた。
次のコーナーに向けて、ブレーキングをしなくてはいけないのに
ダートで160km/hからのブレーキングの経験がないことに!

ブレーキングをしている間の時間の長かったこと!
みっともないブレーキにはならなかったが、自分の中に
次の練習テーマが浮かんだ瞬間でもあった。
もっとむつかしい条件を課して練習しようと。
今でも高速域からのブレーキングは緊張する。
しかし高速だから特に、というところはない。
減速技術は、例え低速でも正確にこなすには、とても難しいから
常に緊張している。
冷や汗をかかないブレーキングが出来るように訓練を積めば
自動車は楽しい乗り物である。

良い運転は自分を守ることでもあるが
他の車の動きを読み、うまく交流する技術でもある。
どう走らせ、どう止めるのか。
運転技術の基本をしっかりと身に付けたいものです。

 


G-BOWL練習会4  一人練習会

2012-06-06 16:58:23 | G-BOWL

昔々の話になりますが、普通免許を取って乗用車に乗り始めた頃
バクゼンと運転が上手くなりたい、と考えてはいたものの
何をやればよいか解らないまま、最初に気をつけたのは“発進”と“シフトワーク”。
助手席に大先輩が乗ることがあり、“オマエ危ないぞ”とか“ヘタダナー”と思われるのが嫌で
注意深く手足を動かした。
一人で出張の時は、助手席の足もとに清涼飲料水の“ボトル”を立てて、倒さないよう走らせた。
当時は車の流れも少なく、ゆっくりと加速しても、クラクションを鳴らされることはなかった。
次にやったのはブレーキング。
これは一人練習会とも言えるし、訓練といってもいいくらいのハードな練習をやった。
田舎道であったり、広場であったり、人目を避けて真剣に取り組んだ。
繰り返して出来るようになれば、Gの強さを変える。
遅くからやる・スピードを上げてやる、と徐々にハードルを高くしていき
出来ないことがなよう、塗りつぶすがごとく、減速技術を身につけようとガンバッタ。
理由もわからずガムシャラに走り回るのではなく、細かくパートに分けてシンプルに焦らずやった。

G-BOWL練習会のメニューも、検証バランススロットルの練習メニューも
実はこの頃にやった一人練習会の一部を再現したものなのだ。
その甲斐あってか、その後の安全なドライビングにつながっていると思っている。
一人練習会は、今思い出しても楽しく面白かった。
練習は楽しくやるべし、もこの頃に気付いたことだ。


G-BOWL 練習会 3

2012-06-05 16:32:52 | G-BOWL

書き込みありがとうございます。

何度も読み返しました。
どれも考えさせられる内容です。
そして今回も「ハヤイかウマイか」の話のつづきです。

いきなりですが、空を飛ぶヘリコプターの操縦と自動車の運転と
比べてみたらどうなるか?を考えてみたいと思います。

空中を飛ぶヘリは着陸が大切、というのは説明するまでもなく
きっと難しいだろうというのもイメージできます。
これは“位置エネルギー”を地上に降ろして、ゼロにする作業とも言えます。
これにあたるのが自動車の“運動エネルギー”をゼロにする作業。
つまりブレーキを使って行う減速停止です。
ヘリは落っこちるから、その技術は絶対でなくてはと、誰でも考えます。
では同じように自動車のブレーキングも考えられているかと言えば
4輪でドッシリと地面に接している姿から、危なっかしさもさほど感じられないところがあって
特別な技術が要るなどとは、おそらく考えられていないでしょう。

しかし何度も説明しているように、何秒か先の予見(予知)が要るブレーキングは
ヘリの着陸と同等の難しさがあり、正しい操作方法と訓練が必要です。
しかも自動車のブレーキングで難しいのは、“安全停止”ができることはもちろん
“快適なブレーキング”も考えなくてはいけないところです。
タダ止めるだけで、不快なブレーキングかどうかも解らずにやっているのは
とても残念なテクニックといえます。


G-BOWL練習会3  ウマイかハヤイか

2012-06-02 15:56:04 | G-BOWL

G-BOWL練習会の各参加者に配布されたパンフレットには
「講師はこの人」と、私のことが紹介されている。
全日本ダートラをやっていてチャンピオンをウンヌン、とにかくすごい人なんだから
運転の先生として納得してください的な扱いで、競技ドライバーであることが書かれている。
確かに過去にダートラをやっており、たくさん勝利したから紹介されている内容に異論はない。
しかしこのことをごく一般の人、わかり易く言えば、モータースポーツに縁遠い人が聞いたときに
私のことを、どう理解するだろうかということだ。

モータースポーツで勝つことは、タイムを競うのだから自動車を速く走らせることが出来る・・・。
運転がヘタな訳がない・・・。
とでもイメージしてくれるだろうか。
サーキットドライバー、ダートラドライバー、ラリードライバー・・・タイムを競うドライバーは
全てタイムで評価される。
運転の内容がどうであれ、速さを示すことが出来れば良いドライバーであるが、
ここに落とし穴、ないしは勘違いの元がある。

このときの速さはサーキットの中でのみ評価されるもので、サーキットの外に出てしまえば
意味のないもの、又は比較するものなど何もないことを知っておくべきだろう。
国政さんはね~、自動車競技をやっていて、運転がすごい人なんだよ~と、
飲み屋のおかみさんに紹介されたとき、例の“へ~え、車の運転が上手なんだ~”が、でた時思った。
このおかみさんはスピードと運転の上手を結び付けているな・・・と。
こうなると説明できないことがでてくる。
ゆったり走らせるだけのドライバーに上手という言葉は一生掛けられないのか、という事だ。
これはいくらなんでもおかしい。
といったとこらあたりから、上手い運転って何だろう?を考えていけば
サーキットもスピードも関係なく、強引かもしれないが、Gコントロールに行き着く。

自動車を正しく走らせる、ウマク走らせる、はスピードをたくさん出すことと
切り離して考えてみるのが良いと思うのだが、皆さんはどの様に
“ウマイ”を考えているのでしょう。
ぜひお聞かせください。