クルマのサスペンションと長いお付き合い

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ロータスエリーゼのサスペンションセッティング その11

2016-02-14 23:07:17 | ガレージレポート(オリジナルボックス)
LSD

ミッドシップカーとLSD

サーキット走行を考えている人、あるいはジムカーナドライバーなら、絶対にいります⋯⋯でしょう。

迷う人はいないと思うのですが、一応検証してみましょう。

ハンドル据え切りの状態からLSD付きのクルマを発進させようとすると、エンジン回転を上げ気味にしないと、エンストします。

上手くクラッチをつなげたとしても今度は、内輪がザッザッザッ。
断続的にドライブシャフトがネジられるハジけるを繰り返し、トランスミッション内のギヤもガチャガチャ大騒ぎします。

低いギヤで走っている時は、駆動抵抗の影響は少ないのですが、中、高速コーナでは邪魔モノです。

大きな駆動抵抗は、エンジン出力から引き算。

定常円旋回(コーナリング)の速さをLSDの有無で比べたらどうなるでしょうか。

旋回外側のタイヤと内側のタイヤでは回転数が違います。
この回転差を吸収してくれるのがデファレンシャッルギヤの役目なのですが、LSDはその差動にブレーキをかける仕組みなので回転差が拘束され、
内輪には、外輪から速く回れと駆動方向の力を受けます。
外輪には、内輪から遅く回ってくれと制動方向の力が伝わってきます。

旋回グリップを最大限発揮させるには、タイヤに「横方向の力だけ」かけるのがいいのですが、
そこにLSDのせいで発生する「回転方向の力」がかかると、摩擦円の約束からコーナリングフォースが減少します、
つまりコーナリングスピードが落ちるということです。

定常円(コーナリング)だけを言えば、オープンデフの方が速く回れます。

そのオープンデフの場合、駆動力はどんな場面でも左右輪均等です。
つまり、常に車体の中央を押しているということです。
後ろに一輪、前二輪の三輪車です。

LSDを組み込むと、今度は荷重の大きい側の駆動力が大きくなり、真ん中にあった車輪がコーナーごとに外側に移動する変則的な三輪車になります。

車体の片側で押すことになるので、駆動力に余裕のあるスローコーナではオーバーヨー(あるいはオーバーステア)になります。

このときスロットルをオフにしてエンジンブレーキを効かせると、片側で引っ張ることになるので、一気にアンダーヨーとなります。

ただし荷重移動が大きいとき(旋回スピードが速いとき)に限ります。

では荷重移動が少ないときどうなるかと言えば、「両輪同回転」でクルマを押します。

分かりやすく言えば曲がりにくくなりアンダーステアが強く出ます。

安易にLSDを組み込むとこういったデメリットがついてきます。
「ハイグリップタイヤ」と「効くLSD」の組み合わせはより顕著な結果になります。

もちろん、駆動輪が空転してアクセルコントロールが必要なスピード領域では、
アクセルターンとか、内輪空転を抑えてトラクションロスを減らすといったメリットがあります。

つまりアベレージの低い場面では「一瞬の」効果あり。

その他の場面では乗りずらさと、駆動抵抗の大きさが「常時」マイナス効果。

ミッドシップとLSDの組み合わせはこういった条件を踏まえてLSDの選択から話が始まります。


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