同性愛への嫌悪？～マン・ヘイティング～

(注)
生理的嫌悪感の詳細を追求する文章なので、気持ち悪いものとかに弱い人は読まない方がよい。ちなみに俺自身は、書きながらあまりの馬鹿馬鹿しさに笑ってしまった。




以前同性愛に関する記事やフラグメント3において「同性愛が気持ち悪い」と書いたが、この表現が不適切であることに気付いた。同性愛にはゲイとレズがあるのは言うまでもないが、自分はゲイを気持ち悪いとは思う一方でレズは気持ち悪いと思わないからである。とするならば、(ゲイもレズも含む)同性愛そのものを嫌悪しているとは言えないし、またレズについては抵抗を感じないわけだから、ゲイについても「自然に反する」といった道徳的観念によって否定したり嫌悪しているわけではないと考えられる。


ではなぜ、レズは問題ないのにゲイには拒否反応を示すのだろうか？
以前狂気のフラグメント1で書いた「他人の精液が気持ち悪い」といった個人的な事情、そしてフラグメント5で書いた「男がスカートを履くと気持ち悪い」といった社会的通念を考えると、その理由はおそらくマン・ヘイティング(＝男性嫌悪)だろう(※)。もっとも、別に男性恐怖症のようなものはないので、単に「男の持つムサさにイライラする」ということなのだろう。つまり同性愛そのものに抵抗があるというより、野郎の身体そのものをムサイくてウザイと感じるので、それが絡み合っているゲイをより気持ち悪いと感じるのだと考えられる。

※
例えば女性がズボンを履いても抵抗はないが、男性がスカートを履いた姿は気持ち悪がられる、といったことが挙げられる。そのわかりやすい理由の一つは、スネ毛などが見えて気持ち悪いというものだろう。もっとも、「それなら半ズボンはなぜいいのか？」といった反論が可能なので、生理的嫌悪感だけで全てを説明できるわけではない。


このマン・ヘイティング、いやもっと言えばムサイのが嫌いというのが見えると、二次元の「ふたなり」が好きなのも別に不思議ではなくなる(まあ以前書いたように、「ふたなり」はあくまで女性なのだけど)。しかしそれ以上に重要なのは、ショタにもそれほど抵抗がない(※２)理由も説明がつくことだ。というのも、二次元のショタは男性的なムサイ身体(スネ毛とか？)といった男性性が排除されているため、マン・ヘイティングの対象にならないからである。そして逆に、現実のふたなりなどには(おそらく)拒否反応を示すだろうことも推測される。男根(が持つ男性性というよりそのムサさ)に生理的嫌悪感を抱くからである。

※２
ここでの「抵抗がない」というニュアンスを正確に伝えることは難しそうだが、さしあたって食べ物に関する感覚を想起してもらえばよいと思う。おそらくほとんどの人にとって、食物は「好きなもの」「嫌いなもの」そして「食べれるけど特に好きではないもの」の三つに分けれると思う。私の場合、「ふたなり」が「好きなもの」、ゲイが「嫌いなもの」、ショタとレズが「食べれるけど特に好きではないもの」に位置づけられる。


この辺を突き詰めていくと記号論とかの話になるが、とりあえず二次元が都合よく生々しさをカットできることを指摘しておけば十分だろう。例えばアナルセックスを題材に考えてみよう。ニ次元における尻の穴は、スカトロジーを求めるのでなければ、せいぜい「もう一つの穴」程度の意味合いしかない。ゆえに、尻の穴に突っ込んでいてもそこまで抵抗を感じない(結局のところ膣に入れてるのと同じだから)。しかしながら、現実の場合尻には汚物が詰まっているわけで、膣と同じとは思えないし、感じられもしない。試しに自分のイチモツを排泄物の中に突っ込んでいると考えてみよう。あなたはたちどころに萎えるに違いない。まあ現実にはアナルセックスに向けて色々と準備(笑)をするのだろうが、そのような手間のかかるものが二次元のインスタントでコンビニエントな「もう一つの穴」と同義でないのは明らかである。かような二次元と現実の違い(生々しさや手間)があるゆえに、二次元の方が幅広い領域を受け入れることが可能であり、また二次元で受け入れられるからと言って、現実でも同様だとはいかないのである。


以上マン・ヘイティングを軸に書いてきたが、内容をまとめると

１．
同性愛そのものが気持ち悪いのではなく、ゲイ(より正確には野郎同士の絡み)が気持ち悪い。その理由はマン・ヘイティング(男性嫌悪)にある。

２．
それゆえ、たとえペニスがあっても男性性(＝男性的なムサさ)が欠落した、もしくは排除された存在、すなわち二次元のふたなりやショタは問題なく受け入れることができる。

となる。これで生理的嫌悪感の中身が明らかになり、茫洋としていた境界線が多少は見えるようになった。もし機会があれば、今度はマン・ヘイティングそのものについて考えてみたいと思う。