菅原貴与志の書庫

A Lawyer's Library

判例会社法

2017-02-13 00:00:00 | 菅原の著作

 石山卓磨先生古希記念『検証・判例会社法』(財経詳報社近刊)「株主総会」の章を担当し、このたび(締切りに遅れて)寄稿させていただきました。
 本稿では、会社法施行以降後の株主総会に関する裁判例のうち、理論と実務の両面において重要な3件について検討しております。
 東京高判平成27年5月19日金判1473号26頁(HOYA株主提案権侵害損害賠償請求事件)は、最近問題となっている株主提案権の濫用的行使につき、初めて権利濫用と判断したものであり、今後の法改正にも大きな影響を与えたという意味においても、重要な裁判例です。また、株主総会実務では当日の受付事務が重要であるところ、非株主の議決権代理行使をめぐる東京高判平成22年11月24日資料版商事法務322号180頁(大盛工業株主総会決議取消請求事件)は、総会事務局にも多くの示唆を与えたものです。さらに、東京地判平成19年12月6日判タ1258号69頁(モリテックス株主総会決議取消訴訟事件)は、すでに数多くの評釈もありますが、委任状勧誘と利益供与に関する著名事件であるため、ここでも取り上げることといたしました。