雨をかわす踊り

雨をかわして踊るなんて無理。でも言葉でなら描けます。矛盾や衝突を解消するイメージ・・・そんな「発見」がテーマです。

千葉女流王将破れる

2006-07-30 18:31:55 | 将棋・スポーツ
NHK杯将棋トーナメント1回戦注目のカード、中田功七段対千葉涼子女流王将。ご存知のように女性出場枠はひとりだから、このカードは自然と注目が集まる。結果は中田の美しいほどの完勝だが、千葉さんが本来の力を出せなかったのが残念。千葉さんは昨年、NHK杯の司会をしていたときに解説の男性棋士陣を唸らせる鋭敏な洞察力を披露していたのに。

「将棋は間違えた方が負ける」と僕の同僚がよくいう。「間違える」ということは正解(最善手)があるということだが、だからといってそんなに簡単にみつかるわけではないし、時間に制限もある。

といって時間が十分にあればどうこうなるともいえない。プロ棋士の感想戦を聞いていると、相手がしきりに心配していたことをその相手は全く考えていないことがある。

そのため、こうすればああなる、ああなればこうなる、と論理的に仮説を重ねたつもりでも、結局客観的な判断ではなく主観ということにしかならないことがある。

将棋の面白さは(将棋だけの専売特許ではないが)、そういう、客観か主観かわからない自らの判断力を突きつけられるところだ。

千葉さんの失敗は、安全策として客観的な情報にのみ依存したことではなかろうか。NHK杯はどうしても短期で持ち時間も少ないから、守りを磐石(穴熊)にしようとしたようにみえた。確かに穴熊は、データでみたら勝つケースが多かった。そのデータに固執しすぎたキライがある。

中田はそれを見透かしたような戦形をとり、自玉は戦火から遠く退き、かつ攻撃の的を相手玉からは離さず、危なげない完璧な勝利をもぎ取った。

本来だったら千葉さんはああいうミスはしないのでは。


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