sptakaのブツブツDiary

sptakaさんは、毎日ブツブツ発言しています。

福田文昭さん(73)報道カメラマンの訃報

2020-02-03 23:04:30 | ブツブツ日記
福田文昭さん(73)報道カメラマンの訃報
 山口百恵の結婚スクープを撮った。田中角栄の法廷写真を撮った。世紀のスクープである。他にも何百のスクープも撮った。先代貴ノ花が銀座のホステスと同棲結婚の写真も撮った。三越の疑惑で渦中の愛人竹久みちも撮った。
 元は女性セブンのカメラマンであり、後に新潮社のFOCUSのカメラマンになった。第一線を退いてからは、赤ちゃん写真館を撮り、動物記も撮った。晩年は冤罪事件を支援して、あちこちで衝突し、官僚にファックスを送り付けて「不正をするとぶっ殺すぞ」と叫ぶと、それが恐喝事件となって逮捕された(起訴猶予)。いい年のオヤジになって悪ふざけが過ぎると思ったが、そう状態のときにはしゃいで、うつ状態では引きこもりのときもあったらしい。
 晩年には、あの山口百恵が生まれて小学校入学の頃まで母子と住んでいた豊島区東長崎のアパートに自身も引っ越しして住んでいたという、妙な執着もあった。
 百恵は横須賀出身だといわれていたが、それは小学校就学後で、それまでは豊島区にいた。母親は知られるようにお妾さんで、でも父という鉄工所だかのオヤジは甲斐性のない人で、そこにいたとき母は廃品回収をしながら百恵を育てた。後に都合によって横須賀に移って、そこからデビューしたのだが、行きがかり上、百恵の生涯も追うことになった。
 すでに知られるように、中3でデビューして21歳で三浦友和と結婚した。その宣言のきっかけが、福田さんのスクープでもあった。当時は深夜に張り込んでいても、該当人物が現れると、35ミリの広角レンズで目の前に接近して連写ストロボで、ノーファインダーで有無を言わさず写真を撮った。
 友和が前に出て私を制したが、その後ろに隠れるように着いていた百恵を撮影したと、福さんは言っていた。「何でそんなことをするんだ」と誰もがすごむ。「アナタたちはスターですから、その交際は報道に値します」と、同時は堂々と抗弁して、「申し訳ないがいきなり撮影させていただきました」と捨て台詞も吐いた。そしてそれは雑誌に掲載され、二人はその通りに結婚して、このカップルは今でも理想の夫婦で表彰され、還暦過ぎた芸能人夫婦の代表にもなっている。
 週刊誌の編集部は、雑誌の企画でこういうアイデアが出て、どのカメラマンに撮影させるか意思を確認して仕事を与えた。サラマンカメラのような兵隊要員では、スクープは撮れない。自分にその意思があって、張り込み撮影する価値がどうあるのか、納得しなければ仕事はできない。その意味で彼の中では、百恵のスクープも、法廷の角栄の違法な隠し撮りも、同じ立ち位置の被写体であったと思うのだ。それが週刊誌カメラマンの立場であって、それがどう嫌われ、マスゴミといわれても、今でもこうした張り込み写真報道は、必要であって、ある時には「文春砲」とおだてられたとしても、内容は全く同じである。ある意味で百恵は福田さんの被写体になったからこそ、引退後のこれまでの評価がさらに上がっていったのではないかと思われる。こういう種族は、危な過ぎて、とてもじゃないがNHKや朝日では扱え切れないということである。
 一年ほど前に、豊島区のトキワ荘周辺で、書店のスペースで個人の小さな写真展を開いていた。かつて撮った飼い主と犬の写真を展示して、百恵スクープの裏話などをしていた。晩年の様相だった。地元に支援があれば、応じて過去の記録を展示するようなこともしていた。それからわずかな時間しか経過していないのだ。その書店のご主人にしても、それ以降赤塚不二夫さんの写真展をやったのですが、いきなりプッツンと連絡が取れなくなりました。富士見荘というアパートが住んでいたところですが、それが昨秋に取り壊しになって、立ち退きになっていました。「次に住むとこ探さないと」と言っていましたが、さあその後は何をしているのか。身近にいた人でも消息を知らなかった。
 昨年12月に、内臓を疾患してそのまま亡くなったようだ。もう少し長生きできればと今になって思うが、残念だ。今では誰もが好感度デジカメで、張り込みの車内から望遠で該当人物を隠し撮りするだけの時代になったが、実は広角ノーファインダー写真の方が、どれだけ面白い写真に仕上がるものかは、分かっているけれど誰もやれなくなった。その場の騒ぎが怖い。それはつまりマスコミの敗退でもある。福田さんのようなスクープ写真は、今の時代でも同じように必要なものなのだが、それを撮れる人がいなくなってしまったのだ。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 吐け吐け!とカルロスゴーン... | トップ | 野村克也の人生とは、亭主元... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
福田文昭さん (ライターやすきち)
2020-04-07 05:01:27
福田文昭さんが亡くなられたというのは本当でしょうか?
取材と私的な勉強会で何度かお会いしたことがあり、案じておりました
Unknown (大久保純子)
2020-08-06 00:33:15
福田さんの事、お書き下さり、ありがとうございました。
現在、私はブラジルに住んでおり、20年になります。お亡くなりになった事、存じ上げませんでした。お知らせ下さり、本当にありがとうございます。
日本にいた時、写真の勉強会やら何やらで大変良くして頂きました。
田中角栄さんに関しましても、ずいぶんと追っていらっしゃいましたよね。お葬儀の車を路肩で見送られた時、シャッターが切れなかったので、撮られたくなかったんだろうと頭を下げた話など、ずっと被写体を追い続ける姿、現場ならではの貴重なお話がとても懐かしいです。
心よりご冥福をお祈り致します。
ブラジル・サンパウロより

コメントを投稿

ブツブツ日記」カテゴリの最新記事