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バイオ・微生物実験好きな管理人による、研究仕事、日常、実験技術や理科系ネタのブログ

菌のお顔拝見

2006-07-22 22:33:06 | 様々な微生物

菌は培地で培養すると特徴のある外見の集落(コロニー)を作ります。
写真はBacillusの一種で、標準寒天培地で培養一日目ですが、
まるで足が生えているようになっていたので、昼休みにちょっといたずらしました。
こういうのって、足みたいだ・・・と思うとずっと固定されてしまうのですよね。


こちらはまた別のBacillus
花柄とか蝶柄にみえて可愛らしいw


培養することで特徴的な外見になる=こいつの名前は「A」だ
とは一概に言えません。
おそらくBacillusだろう、とか、これはグラム染色陰性菌だな、とか、その辺りまでは目星がつけられます。
あとはこっちはまん丸にコロニー作ってるから球菌かな、こっちは歪だから桿菌、かなとか。
(勉強と経験が足りないだけかも

特に外見に特徴がない菌は沢山あります。
培地の種類によってコロニーの形状が全く異なることもあります。
特に貧栄養培地上の見かけと、富栄養培地上での見かけは驚くほど異なることがよくあります。
厳しい環境ではつつましく生きていたのに、豊かになると豪遊しちゃう(増えまくりな)菌もいれば、厳しい環境で並みの生き方をして、豊かになると駄目になっちゃう(全然生きられない)菌もいます。
繰り広げられる菌社会、菌模様。

ここまでは細菌の話ですが、これがカビになるとまたわがままな奴が多いんです。
温度は30℃くらいじゃないと嫌だとか、
栄養豊富なら子孫作らねぇぜ(胞子生産しない)ってやつとか、
生きてる植物じゃないと嫌だとか、
もうね、君らなんなの?
少しはAspergillusPenicilliumを見習え!!!
(繁殖力旺盛。どんな時でも子沢山。低温にも強い。)
と言いたくなるほどカビのお守りには手を焼いているspirillumでした。

菌と人間のいたちごっこ。

2006-06-23 21:32:35 | 様々な微生物
いつのまにかこんなに日にちが経ってます(汗
毎日忙しくてブラジル戦も睡魔に負けて見ていない非サムライspirillumです。こんばんは。

今日は気になるニュースを見かけたのでその話を。
埼玉医大で院内感染?入院患者から多剤耐性緑膿菌検出 (読売新聞) - goo ニュース


薬剤耐性菌は、抗生物質や殺菌剤などがある環境条件でも生きていられる細菌です。
生きていられるというのは、それらの物質を積極的に排出したり分解したりする能力を持っているからこそです。

もともとそういう能力を持っていない、人体に影響を及ぼす細菌が耐性を持つことがあります。

一つ例をあげると・・・・・

一種類の菌の中で、少し環境に強い、身体の丈夫な生まれたとします。
身体の丈夫な菌は、低濃度の薬剤中でも生きながらえることが出来ました。

長時間同じ薬剤に浸っているうち、その菌はその薬剤を異物として排出する器官を備えるようになりました。
積極的に特定の薬剤を排出できるようになったので、もう少し濃度が高くなってもその薬剤では死ななくなってしまうのです。
これが薬剤耐性菌が生まれる過程(大雑把)です。
これまでに問題視されてきた薬剤耐性菌のうち、有名なものはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA;Methicillin-Resistannt Staphylococcus Aureus)があります。
MRSAでは、耐性を獲得した菌には、その耐性をつかさどる遺伝子情報があり、その遺伝子情報は通常の菌にも伝播することがわかっています。

薬剤耐性菌は、健康な人には特に悪さもせず、感染(保菌)していることには気付かないのですが、免疫力のない人にこの菌が感染すると、たちまち髄膜炎などを起こしてしまうというものです。
病院は消毒薬や抗生物質を日常的に使っています。
耐性菌の出現がまだ広く知られていなかったころ、病院では毎日毎日同じ消毒薬を使い、同じ抗生物質を投与し、そのため薬剤に慣れてしまった菌が出現しました。
健康な看護士や医師や回復力のある患者からは、耐性菌を保持していると気付かず、抵抗力の少ない患者にそれが感染してしまいます。
これを院内感染といいます。


今回は多型耐性緑膿菌の院内感染もありうるが、抗生物質投与による人体内での耐性化が原因かもしれないとのこと。


菌と人間のいたちごっこ。
最後に勝利するのはどちらだと思いますか?
細菌はその構造がシンプルなので、進化に要する時間は短いですよ


水虫になった

2006-06-06 19:59:13 | 様々な微生物
手指に切り傷が耐えないspirillumです。お疲れ様です。


サイキンのオハナシのmoakoさんのところで、「もやしもん」(かわいいキャラの菌が見えるという農大学生の、すごくためになるコミック。使用している紙は再生紙。印刷しているインクは大豆インクなんてちょっとエコロジー。)の占いを紹介していたので試してみた。

あなたは
トリコフィートン・メンダグルフィテス[Trichophyton mentagrophytes]
です




・・・・・・・・・・・・・・水虫かよっ(T_T)


くそう。よりによって白癬菌とは・・・・やるな、私(笑

なになに・・・・

「あなたは、自分だけの王道楽土を築くのが夢です。それは茨の道ですが、あなたは決してくじけません。粘り強く積み上げていけば、いつか野望は果たされるでしょう。」


なるほど、粘り強くわがままを通す奴なんだね。

なるほど。



・・・・・・否定できません。orz

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


せっかくなので、トリコフィートン・メンダグルフィテス[Trichophyton mentagrophytes] について少し学術的情報を調べてみた。
(by「標準微生物学第9版」医学書院、p352-p353)

メンタグルさんは表在性真菌症(表皮・表層にとどまる真菌症)の原因菌。
症例全体の10~30%はメンタグルさん。ちなみに1位(60~80%)はT.rubrumさん。
本来は動物寄生真菌で、人畜共通感染症。

確か前にも水虫について記事にしたことがあるような気がします。
そのとき確か、24時間以内に皮膚を洗えば殆どが感染しないで落ちるとかなんとかデータを発見したんです。
なので、放置の時間が24時間以上、長ければ長いほどすれば、皮膚の角質層を分解して中に入り込める隙を与えるのだと思われます。
24時間かかっても角質は分解できないんだろうなぁ。
確かに粘り強くないと感染は出来ないでしょうね。


ガンバロ~っと。(?)

桜の病原菌

2006-03-31 20:11:25 | 様々な微生物

関東圏では桜が満開ですね。
私が住んでいる土地には、相当な規模の桜並木がありまして、しかもものすごく長寿で大きいのですが、病気にもならない様子。

ところで、植物の病気にはカビ(糸状菌)と、細菌によるものがあります。
桜の病原菌について調べてみることにしました。

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・萎ちょう病 Verticillium dahliae 糸状菌
350種以上の植物に感染して萎凋性の病害を引き起こす土壌伝染性糸状菌。

・かわらたけ病 Coriolus versicolor 糸状菌

・がんしゅ病 Cylindrocarpon sp. 糸状菌
アカマツ・クロマツ苗立枯、ブナ苗立枯、スギ苗立枯もこの属の菌。

・こうやく病 Septobasidium kameii 糸状菌

・こぶ病 Pseudomonas syringae pv. 細菌
野菜の腐敗にも関わっていたりする菌。
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この他にも5病原菌ほどある様子です。
色々な微生物が病原菌になっていますね。
でもやっぱりカビが多い。
以前も紹介したことがありますが(カテゴリ「植物の免疫機構と微生物の戦略」参照)、カビはその感染機構に複雑で巧妙なものを持っています。
どんなに硬い植物の細胞壁でも、隙あらば栄養源にしてやろうという気概が感じられます。

細菌が一つありますが、実はこの菌は細胞壁を分解する能力を持っています。
なので、この病気にかかった野菜は溶けてしまいます。
キュウリとかよく溶けますね。キャベツとか。
細胞壁を溶かすことが出来るので、栄養源に届きやすいわけですね。

んな感じで微生物も頑張っているし、それに対して精一杯抵抗している植物の方もすごいメカニズムを持っているんです。
面白いですねー。

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植物性乳酸菌、動物性乳酸菌

2006-03-28 20:31:25 | 様々な微生物
最近忙しいのと仕事の環境状況が悪いのとで病んでいるようなspirillumです、こんばんは。

今日は、乳酸菌には植物性乳酸菌と動物性乳酸菌がある?という話題で。

乳酸菌とは、ヨーグルトに含まれているものと限定されているわけではありません。
乳酸のように有機酸を糖を分解して生成する細菌の総称を言います。

どうやらその総称に分類があるらしい。(と最近気づいた)

植物性乳酸菌=植物由来の有機酸生成菌
動物性乳酸菌=牛乳由来の乳酸生成菌

・・・?
かなり大雑把ですね。

まーとりあえず、大雑把なのはいいとして、植物由来の乳酸菌は、発酵食品である漬物(ぬか漬けとかキムチ)とか、そういうものに生息しています。
動物性乳酸菌はヨーグルトですね。
ところで、動物性乳酸菌が乳糖、オリゴ糖をエネルギー源とするのに対し、植物由来の乳酸菌はブドウ糖や果糖、麦芽糖など様々なものをエネルギー源として酸を生成します。
また、植物性乳酸菌は丈夫で、ほかの微生物とも一緒に生息することができます。

有機酸を生成するのですが、乳酸のみを生成するホモタイプ、乳酸と酢酸を生成するヘテロタイプがあります。

Lactobacillus sp.
Bifidobacterium sp.
よくヨーグルトに含まれる乳酸菌。

Bacillus coagulans
よく機能性がある菓子の中に入っている。「有胞子性乳酸菌」という表示がされている。
胞子をもつため、水分含量の少ない菓子など、過酷な条件でも耐えることができる。

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・・・すみません、力尽きました。
とりあえず自分用メモとして残しておきます。

ゴタゴタワタワタ中

2006-03-22 19:42:04 | 様々な微生物
HDD取りに行きました。


・・・・1日後には再び

「おぺれーしょんしすてむなっとふぁうんど」


って、黒画面に白字で出てきたとです。


再修理に出しました。(涙)
・・・大至急とかかかれてました。



身内のチラシ作成頼まれてるんだよー。
勘弁してくれよー。

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仕事もワタワタ。
シャーレ200枚に混釈培養操作、頑張りました。
明日朝から研究所長と面談なんですが。
まとめの資料なんてまだ用意できていないんですが。
データでていて統計処理しないといけないんですが。
くそー統計なんて大嫌いだ。
QC(クオリティーコントロール;品質管理業務)をやっている方尊敬しますだ・・・。
lone_lynxさん教えてくだしゃい・・・

次世代燃料が日本海に

2006-02-21 19:37:38 | 様々な微生物

先日次世代燃料を作る未知微生物 16srRNA系統図とは? で、
「メタンハイドレード」という次世代燃料を微生物が生成している可能性がある、という話をブログで記事にしましたが、
このメタンハイドレード、日本海に大量に眠っているらしいです。
メタンハイドレードは凍ってるのに燃える不思議な物質。
これを微生物が生成しているというのですから、なかなか未知の微生物はやりますな。
日本海には沢山の未知な微生物が眠って(生きて?)いるかも。
わくわくしますね。

“燃える氷”巨大なガス田、新潟沖に?…日本近海で初 (読売新聞) - goo ニュース

東京大学、海洋研究開発機構などの研究チームは20日、高密度のメタンガスが氷に閉じ込められ、“燃える氷”と呼ばれる「メタンハイドレート」が、新潟県上越市沖の日本海海底深部に、深さ100メートルの柱状に存在していると発表した。
 メタンハイドレートの一部は海底に露出しており、研究チームは、その規模から、海底下深部に巨大な天然ガス田があるとみている。

 メタンハイドレートが海底まで露出した例は、メキシコ湾、カナダ・バンクーバー沖などであるが、日本近海で見つかったのは初めて。

 研究チームは、魚群探査機によって、気泡として浮上するメタンガスの濃度が濃い位置を特定。上越市の直江津港北西約30キロの海域(深さ900メートル)を中心に、無人潜水艇で調査した結果、メタンハイドレートが海底面に幅100~200メートルにわたって点在していることを2か所で確認した。

 さらに、メタンハイドレートの露出した海底を、同機構の海洋調査船「かいよう」の短い鉄パイプで掘削したところ、最長で2・6メートルのメタンハイドレートが採取できた。

 メタンハイドレートが存在する海底は、他の海底に比べ電気抵抗が著しく高いことが知られる。メタンハイドレートを採取した下部にも、メタンハイドレートと同じ電気抵抗を示す物質が深さ100メートルまで続いていることもわかった。

大食漢の細菌

2006-01-16 19:12:14 | 様々な微生物
あけましておめでとうございます。(おそい)
年末にコメントいただいていた皆様すみません。実家に帰省してしまいまして、返信がかけずにそのまま・・・となってしまいました。年初めに出足が悪くて申し訳ないです。

とにかく、今年は大変な年になると予想です。とりあえず、本年も宜しくお願いします。

さて、今年第一報目は、大食漢の細菌です。
ダイオキシンひと飲みスーパー細菌 京大グループ発表 (朝日新聞) - goo ニュース

体長の10分の1にも及ぶ「大きな口」をあけて物質をのみ込む特殊な細菌の遺伝子を、ダイオキシンを分解する能力がある別の細菌に組み込んでその力を倍増させることに、京都大大学院農学研究科の村田幸作教授(応用微生物学)らのグループが成功した。16日発行の米科学誌ネイチャーバイオテクノロジー(電子版)に掲載された。

 ほとんどの細菌は、体外にある高分子の物質を酵素で低分子に分解してから取り込む。ところが村田さんらは、体の表面に大口(体腔(たいこう))をあけて高分子物質を丸ごとのみ込んで分解する土壌細菌を発見した。

 スフィンゴモナスという細菌の仲間。この細菌から、大口の装置を担う主な五つの遺伝子を取り出し、別のダイオキシン分解細菌に組み込むと、大口からダイオキシン類を取り込み、従来型の半分の時間で分解・除去する「スーパー細菌」になったという。

 グループは、ほかの細菌にも応用できるとみており、重金属などの有害物質を浄化したり、有用物質を効率よく作ったりするさまざまな「スーパー細菌」の開発につなげたいという。

gooブログについているお絵かきツールを初めて使用して、きったない絵を描いてみました。
しかも構造とか分子の大きさとかすごくイメージ的でとってもアバウトです。
その辺ご承知の上、ご覧下さい。
通常、細菌にはポーリンと呼ばれる孔が細胞表面に開いていて、ある一定の分子の小ささにならないと細胞内に取り込むことが出来ません。
そのため、細胞外に栄養素を分解する酵素を分泌しているんですね。
さて、水田で見つかったSphingomonas sp.(スフィンゴモナス属)さんはそのポーリンを自由自在にデカクすることが出来るというわけです。

スフィンゴモナスの一族は、いろいろなことが出来るんですよねー。
環境ホルモンのビスフェノールやダイオキシンの分解能力をもっており、バイオレメディエーション(微生物を使用して環境浄化を行う)で将来を有望視されている細菌にはスフィンゴモナス一族が多いのです。
今回はその大口を開ける能力が、ダイオキシン分解能力を持つ別の細菌に遺伝子的に受け継がれたということですが、ダイオキシン分解能力を持つ細菌がスフィンゴ一族かは書いてません。でもその可能性が高いかな?

それにしても「くわっ!」と口をあける細菌てなんだかいやだな・・・。
大食漢というより口裂け女?

微生物輸出入制限にも限界

2005-11-02 19:39:04 | 様々な微生物
しょうゆ・みそ作る好塩菌、黄砂に乗って飛来 (読売新聞) - goo ニュース

しょうゆやみそなどを作るときに活躍する「好塩菌」の仲間が、黄砂に乗って中国奥地から日本に飛来している可能性の高いことが、東洋大工学部の宇佐美論教授(応用微生物学)らの調査でわかった。
 「好塩菌」は、ふつう塩分3~15%の土などに生息する微生物。東京周辺の畑や道ばたなど360か所から土を採取したところ、ほとんど塩分がないにもかかわらず、132か所で好塩菌が見つかった。

 好塩菌は、菌20万個に1個程度の割合で含まれており、硬い殻で覆われた胞子状になっていた。本来は日本におらず、中国内陸の塩湖周辺など海水より塩分濃度の高い場所で生息している種類で、黄砂に乗って飛来したとみられる。

 中国は生物資源の国外持ち出しを厳しく制限しており、近ごろは菌であっても入手困難になっている。同大大学院生の越後輝敦さんは「中国奥地に行かなくても、好塩菌を採取して研究できるのは素晴らしいこと」と話している。


10月31日のニュースでした。

このニュースによれば、砂などの支持体があれば、一緒に微生物がくっついて飛ばされてくる可能性があるわけで、例えば植物病原性のカビなんかも一緒に飛んでいるかも。
現在は植物に有害な微生物は、外国から持ち込まないという制限がされています。
でも、人が制限していても、自然現象は待ってはくれないのですね。
外来植物も厳しく取り締まられていますが、実際は飼料に混じっていた種が道端にこぼれ、普通に育っている例があったりします。
これは人の取り締まり方が充分ではなかったことが原因でもあります。

だからってどうしろ、どうしなきゃいけない、ってわけではないんですが。

ただ、SARSとか鳥インフルエンザとか、今私たちを脅かしている微生物達は、来るべき時が来たら蔓延してしまうんだろうな、と。




なんか話題がクライ・・・・・orz




えーっと、4日に有給取って学会行くつもりだったんですけど、いけなくなっちゃいました!(T∀T)
代わりに上司が行きますよ!
行きたかったですよ!
えーん・・・・・・・・・
moakoさんにも会いたかったのに・・・・。
頑張ってくださいね、moakoさん!

新微生物「ハテナ」

2005-10-15 22:22:28 | 様々な微生物
不思議な微生物、藻食べて植物に大変身 名は「ハテナ」 (朝日新聞) - goo ニュース
光合成のもとを食べて植物に大変身――。緑藻の仲間を細胞内に取り込み、光合成能力を獲得する不思議な単細胞生物を、筑波大の岡本典子さんと井上勲教授が和歌山県と福岡県の砂浜で見つけた。「ハテナ」と名付けた。ハテナは、植物の祖先が太古に歩んだ進化の道筋を、再現しているとも考えられている。速報が14日発行の米科学誌サイエンスに掲載された。

 ハテナは鞭毛(べんもう)虫の一種で、大きさは100分の3ミリ程度。無色のものは口のような捕食器官を持ち、特定の緑藻の仲間を細胞内に吸い込む。この藻は細胞内で共生、緑色になったハテナからは「口」が消え、光合成をするようになっているらしい。

 緑色のハテナは、緑色と無色の二つの細胞に分裂して増え、共生する藻は緑色細胞にだけ受け継がれていた。もう一方の無色細胞にはやがて捕食器官ができて、藻を取り込むようになる、と考えられている。

 一般の植物で光合成を担っている葉緑体は、太古には独立した藻類だったとの学説が有力。ハテナの発見は、植物の祖先が藻類を取り込んでいった様子をうかがわせるものだ。

 《堀口健雄・北海道大学大学院理学研究科助教授(系統分類学)の話》葉緑体を持たない生物が藻類を細胞内に共生させ、コンブやワカメなどに進化していく初期段階の現象と考えられ、かつてもこうした生物が存在した可能性がある。共生藻を取り込んだか否かで細胞構造を柔軟に変化させるこうした生物がいるとは、だれも予想しなかった。画期的な発見だ。


おお~!と思わず叫んでしまったニュース。
これは面白い生物ですね。進化論に物議を醸し出すことマチガイナシです。

井上 勲 教授の藻類画像データのページ
とても充実したページです。
こういう研究は本当に興味深いですね。
学問の最先端を自分で切り開いていくことが出来ます。

私も自分の仕事でそういうことに繋がっていくと良いなぁ。