長い石段を登っていると、道の横で葉を茂らせる枝に目が止まりました。
枝先に小さなサクランボを稔らせています。
おぉ! そうですか。 数週間前に、この辺りでお花見ができたようです!
しかし、私はこのサクランボを見て、少々驚きました。
と云うのも、ヒマラヤの桜は冬に花を咲かせると思い込んでいたからです。
東京の小石川植物園にヒマラヤザクラがありますが、その木は12月に花を咲かせます。
熱海にもヒマラヤザクラがありますが、その木は昭和43年にネパールのビレンドラ元国王から贈られた種子を育てたもので、この木も毎年12月に花を咲かせます。
なので私は、ネパールの桜は12月に咲くものと思い込んでいました。
とは言っても、ネパールは雨期と乾季しかない筈なので、話はそんなに単純ではないでしょうが、
私は、この木を見て初めて、ネパールにも数種類の桜がある可能性を理解しました。
それにしても、我ながら、見る目ができてきたらしいと思うと、嬉しくなります。
2011年にアメリカを横断したとき、木をもっと知りたいと願って植物園通いを始めましたが、その成果が現われてきたかもしれません。
木を見て、木が分かると、こんなにも旅が楽しめるんですね!
そう、いいんです、唯我独尊、自我自賛で。
自分を褒めて、もっと元気になりましょう。
そんな時に空からポツリと水滴が落ちてきました。
あれ? と思って見上げると、午前中あんなに晴れていたのに、いつの間にか空は雲に覆われ、シトシトと雨が降り始めました。
桜の木の横に、旅行者に飲み物などを供する東屋があったので、そこで雨宿りさせてもらうことにしました。
30分ほども雨は続いたでしょうか。
1~2歳の女の子が窓に手をかざし、屋根からの雨で遊び始めました。
一緒に雨宿りをしていたトレッカー達は皆、この微笑ましい光景に笑顔を見せていました。
雨が止むのを待って、梨の花が咲く石段へ歩を進めました。
そんな石段の横で農家の小父さんが葉を切り集めています。
「それを何に使うんですか」と聞いてみると、
「バッファローズ ライス」(牛のご飯)の答えが返ってきました。
今回のトレッキングで、この木の葉を採取する村人の姿をよく目にしました。
調べてみると、インドから東南アジアにかけて分布する、クワ科のFicus racemosa (ウドンゲノキ)ではないかと思いますが、確信はありません。
2014年9月22日注 :後日 Ficus auriculata と判断しました。
そんな登山路に突然、真紅の花を咲かせたヒマラヤシャクナゲの大木が現れました。
これこれ、これですよ、私が今回のトレッキングで見たかった花は。
噂には聞いていましたが、本当にでかい!
今回のネパール旅行で、是非にでも会いたかった花がヒマラヤシャクナゲです。
カトマンドゥの「風の旅行社」へ伺った時、ゴレパニ周辺にヒマラヤシャクナゲの群落があると教えてもらったことが、最終的に、私にこのルートを選択させたのです。
それにしても、見事な大木です。
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