先程のセブンシスターズ・カントリーパークの駐車場に戻って来ました。
今度は、駐車場の隅にセブンシスターズ・カントリー・パークの案内図を見出しました。
その案内図で、セブンシスターズの断崖へと向かうトレイルを確認しました。
そしてその時、ポツリと小雨が落ちてきたので、レインコートを片手に歩き始めました。
周囲は牛の放牧地のようです。
カックミア川が草原の中を緩やかに蛇行しています。
私は昔訪ねた、北海道の暑寒別岳の中腹に広がる雨龍湿原を思い出しました。
しばらく進むと、草原の中に羊を見出しました。
先程、車から見た羊の放牧場と同じエリアです。
歩む先には、幾つもの沼が現れます。
水が澄んでいるのは、腐敗する有機物が少ないからでしょう。
カックミア川の河口に近づくと、小石の重なる海岸のあちらこちらに、ツノゲシが黄色い花を咲かせていました。
雨具なしでは歩けない程になりましたが、私は雨の中の散策も嫌いではありません。
雨に歩けばこその情緒も楽しいものです。
ガイドブックなどで紹介されるセブンシスターズを、写真で見慣れた光景で望む為には、川を対岸に渡らなければなりませんが、河口付近は見た目以上に深そうで、靴を履いたまま渡れる場所は見当たりませんでした。
ガイドブックの写真を追体験する旅でもないので、靴を脱いでまで、川を渡ることはせずに、ピュアな黄色い花を咲かせるツノゲシの海岸を、白い断崖の頂きに向かって歩き始めました。
白い断崖を登る途中で振り返ると、湿原に浅瀬のような沼が横たわっていました。
足元を見ると、白亜の地層を草が薄く覆い、有機物の堆積は殆どありません。
断崖の縁では、碧い海を背に、黄色い花を咲かせるツノゲシが根を張っていました。
みごとに強く逞しい花です。
もう一度振り返ると、増水した川から溢れ出た水が、丘の裾の海を白く濁していました。
あの丘の上から、セブンシスターズの、白い断崖の連なりが見えているはずです。
私の立ち位置から見下ろすと、白亜の壁が海に面して並び、白いドレスのレディが、舞踏会の音楽に合わせ、青い海の絨毯へと踊り出そうとするかのようです。
人気のないセブンシスターズの丘から下る時に振り返ると、取り残された道標が緑のベールにポツリ突き刺さっていました。
帰りはカックミア川の堤防を歩きました。
駐車場に戻る途中で、雨の川に色とりどりのカヌーを浮かべる子供達の姿を認めました。
みんなツノゲシのように、厳しい自然の中で、逞しく育ってゆくのでしょう。
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