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悠久の時を刻み続けるツバキ

2017-09-15 13:31:37 | 氷見に椿古木を訪ねる

 

 老谷の大ツバキを見終えて、時間を確認すると17時を過ぎていました。

 

 急いで老谷川に沿った道を下り、岩瀬で県道76号に入り、久目の紹光寺を訪ねました。


 紹光寺には目通し140㎝の古木があるはずです。


 しかし、大黒さんにお話しを伺うと、ツバキは2年前の平成25年に枯死したそうです。

 



 次に、久目の前田家を探しました。


 前田家は明治期まで造り酒屋をしていた旧家だそうですが、久目の集落をいくら探しても見つかりません。


 尋ねるべき人にも出会えなかったので、場所が分かる久目神社へ向かうことにしました。


 久目神社は2010年3月の旅で一度訪ねています。

 



 静かな境内に人影はなく、8年前に訪ねた時と変わらぬ様子で、ツバキが紅色の花を枝に飾っていました。
 

 

 

 久目神社から再び県道76号を岩瀬に戻り、行願時を訪ねました。


 本堂裏の丘に林が広がり、林の中に幾本ものツバキが花を咲かせていました。


 夕暮れ時の寂しさに包まれた林で、枝々に花を灯すツバキの風情が心に残りました。
 

 


 時計の針は既に18時を回っていましたが、もう一ヶ所欲張ることにしました。


 岩瀬から県道29号を南下し、坪池の集落を訪ねました。


 坪池では宝住家墓地と巻家墓地が目当てでしたが、宝住家墓地を探し出すことはできませんでした。


 しかし坪池の集落から、更に山の奥へ農道を進んだ先の、巻家墓地のツバキが見事でした。

 



 車一台がやっと通れる程の細道の右手に、こんもり茂るツバキは23本が株立ち状になっています。


 ツバキの下に数多くの石塔が並び、青磁の花立てに菊の花が供えられていました。

 



 道路際に三本の檜が並び、法面を守っています。

 



 墓の後ろへ回ると、大きな斜度を伴って、下の耕作地へ落ち込んでいました。

 



 花を見ると花糸が低い位置で分れますので、ユキツバキの血が混じっているのでしょうか。

 



 既に18時半に近く、周囲は薄暗くなり始めていました。


 どこか遠くの谷底から、人の息吹を感じさせる車の走行音がかすかに聞こえてきました。


 人里を離れ、風のそよぎのない丘の上に夜が忍び寄ります。


 悠久の時を刻み続けてきたツバキが今、闇の中の眠りに付こうとしていました。

 

 

 

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