チョムロン・コーラの谷を挟んだ尾根の上に、チョムロン村が見えてきました。
雪の世界から下りて来たばかりの目に、GH(ゲストハウス)のテラスに飾られたマリーゴールドが眩しすぎます。
そんなとき、とある農家の庭先に見知らぬ果物を見かけました。
木に白い花が咲いています。
傍にいた小母さんに「これは何ですか?」と尋ねると「トマトです」の答えが返ってきました。 (帰国後の調査でナス科のタマリロと分かりました)
ホッホ~! トマトが木に稔るなんて初めて見ました。
やがて、谷底に吊り橋が見えてきました。
この橋を渡ったのは、ほんの三日前ですが、その間に随分と永い旅をしてきたような気がします。
そうそう、吊り橋を渡っているのは途中から道連れになった日本人のKさんです。
もう2時間ほども一緒に歩いて来たでしょか。
吊り橋を渡りながらチョムロン・コーラを見上げました。
谷の奥に白い一筋の滝を落とし、今日のチョムロン・コーラは優しげな表情を見せています。
昔々、北国の街で、蝉が鳴く季節に、こんな谷で沢登をして遊んだことを想い出しました。
Kさんは私の長男と同じ歳だそうです。
Kさんがインドの旅行中に一ヶ月も熱を出して寝込んだ話とか、東京の中野坂上に住んだことがある等のローカルな雑談を交わしながら、一緒にチョムロンを目指しました。
吊り橋を渡った後、長い長い石の階段を登ってゆきます。
坂の途中で振り返ると、さっき下ってきた尾根の中腹で、シヌワのGHが青い屋根を見せていました。
丁度、村の子供達の下校時間となったようです。
坂の途中で出会った少年は、手に真赤なシャクナゲの花を携えていました。
家で待つお母さんへのお土産かもしれません。
チョムロンには4時半頃に到着し、Kさんと一緒に宿を定めました。
私の部屋はチョムロン・コーラやシヌワを望む明るい二階の角部屋でした。
Kさんと交代でシャワーを浴びて、ティーを注文し、ゆったりした時間を過ごしました。
部屋の窓から、穏やかに暮れてゆくヒマラヤの谷を眺めながら、長かった一日が終わってゆきました。
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