柴田記念館は東大植物学教室の柴田教授が、業績に対して授与された学士院恩賜賞の賞金を寄付し、大正8年に建設されました。
当初は植物生化学の研究室として使われていましたが、2005年以降は展示・講演などに使われています。
柴田記念館は開園日の木曜日を除く午前10時30分~午後4時に無料開放(入園料は必要)されています。
柴田記念館では小石川植物園後援会が発行する解説書やグリーティングカードなどが販売され、その収益は園内の植物名ラベルや案内板の寄贈等に活用されます。
室内には大きなテーブルとイスが設けられていていますので、この場所で自由に解説書や図鑑などを閲覧することができます。
二年前の、東京に大雪が降った2014年2月15日には此処で、後援会会員向けの講演会が開かれたことが懐かしく思い出されます。
柴田記念館を出て、元来た道を戻ります。
戻る途中、紅葉並木入口の染井吉野から右へ入ると、葉を落とした葡萄が枝を広げる棚があります。
この葡萄は、遺伝学の基礎を築いたメンデルが実験に用いた葡萄の枝を、1913年に二代目園長の三好先生が譲り受けたものだそうです。
つまりこの葡萄は100歳を超えています。
葡萄棚の横には、「万有引力の法則」を発見したニュートンの生家に植えられていたリンゴの分株が枝を広げています。
以前、当ブログではこのブドウとリンゴの話題をご紹介しています。
興味のある方はクリックしてみて下さい。
ニュートンのリンゴの場所から西を見ると、温室の建て替え工事が行なわれていました。
再公開は平成30年度の予定だそうです。
紅葉並木の入口から、桜園に向かって歩を進めます。
右手に広がる草地は立ち入り禁止区域ですが、季節になると藤や野菊や皇帝ダリアなどが訪問者の目を楽しませてくれます。
桜園には染井吉野をはじめとする数種類のサクラが満開の枝を広げていました。
初代園長の松村任三(1856-1928)は、この中の染井吉野の何れかから標本を採取し、1901年(明治34年)にソメイヨシノの学名を付けて『植物學雑誌』第15巻に発表しました。
つまり、初代園長の松村任三はソメイヨシノのゴッドファーザーで、小石川植物園はソメイヨシノ学名の発祥の地ということになります。
桜の園は大勢の花見客でにぎわっていました。
しかし、ここは東大付属の植物園、植物学の研究・教育を目的とする教育実習施設です。
植物園内での喫煙、飲酒は禁止されています。
当然、飲んで歌っての宴席は見当たりません。
しかし、だからこそここでは、音のない荘厳な桜のシンフォニーに包み込まれるような、贅沢な時間を過ごすことができるのです。
咲き急ぎ、散り急ぐ桜の季節に、時の流れが止まったかのような、一刻の刹那が永遠にも思える世界に浸ることができます。
都合が付くのであれば、是非一度は平日に訪ねてみて下さい。
年に一度、貴方の人生の半日程度を、笑顔を取り戻す為に使ってもバチは当たりません。
本当の贅沢とは、下の写真のような一時を過ごすことだとお思いになりませんか。
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