仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「水に眠る」 北村薫

2007-05-10 11:02:50 | 讀書録(一般)
「水に眠る」 北村薫
お薦め度:☆☆☆☆ /
2007年4月22日讀了


北村薫の短篇集。
表題作を含め、10篇の短篇が收録されてゐる。
作者自身による「あとがき」には、次のやうに記されてゐる。
「(前略)これらは、人と人の、《と》に重きを置いて書かれた物語なのである。」

それぞれの作品が味はひ深いものであるが、中でも私の好きな作品は、「植物採集」、「はるか」、「ものがたり」。
「植物採集」には哀しみを、「はるか」には私の理想とする女子高生を、そして「ものがたり」には純粹なるエロスを感じさせられた。

「くらげ」と「矢が三つ」は恐怖小説と云つてもよいだらう。
特に「くらげ」の世界は現在でもふとした時に感じる恐ろしさでもある。

北村薫は連作短篇集はこれまでにもたくさん書いてゐるが、純粹な短篇集はこの作品が初めてだとか。
これには少し意外な氣がした。

最後に特筆しておきたいのが、豪華な解説陣。
なんと11人の作家や編集者たちが、それぞれの短篇に解説をしてゐるのだ。
なかには、私の好きな有栖川有栖、貫井徳郎、若竹七海も含まれてゐる。
北村薫の作品がいかにプロたちにも愛されてゐるかといふことの、象徴的な出來事ではないだらうか。




水に眠る

文藝春秋

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