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小澤征爾・村上春樹『小澤征爾さんと、音楽について話をする』

2014年07月02日 22時26分21秒 | 文学
小澤征爾・村上春樹『小澤征爾さんと、音楽について話をする』(新潮文庫)を読んだ。
基本的に音楽に興味がないので、何を言っているのか良くはわからないのだが、それなりにおもしろかった。クラシック音楽に興味があればもっとおもしろいのだろうなと思った。
ふたりの話を聞いていて羨ましくなった。音楽に詳しければよかったのになと思った。
これまで何度かクラシック音楽に興味を持てたらいいのにと思ったことがあり、少し聴いたり、本を読んだりしたことはあるのだが、そういうのはやはり続かない。なにか内側から燃え上がるものが必要なのだろう。

村上春樹が宇多田ヒカルを知っていることに感動した。
小澤征爾は宇多田ヒカルを知らない。
ふたりで「ブルーズ」について話すのだが、ほんとうにふたりとも「ブルーズ」と言ったのだろうかと不思議になった。僕のまわりでブルースを「ブルーズ」と言う人はいない。もっともブルースについて語り合うことがないのだが、「ブルーズ」と言いそうな人はいない。
簡単に言うと村上春樹の創作ではないかと疑っている。「ロールズロイス」と同じ匂いがする。
小澤征爾って「ブルーズ」って言うのかなあ。言いそうな気もする。確認したい。
でもそういうところも、村上春樹らしくて良い。きれいに編集されていて、「」(かっこ)つけて対話を書いている部分とつけないで書いている部分を書き分けていたり、小澤征爾が餅を食べたり紅茶に砂糖を入れたりする場面をちょっと入れたり、非常に工夫されている。
ここに出てくる小澤征爾は(ほんものを知らないのでわからないが)、結構村上春樹的人物になっているのではないかと思う。

雑誌「考える人」に載った「厚木からの長い道のり」が文庫では最後に収められている。
大西順子というジャズ・ピアニストに興味を持った。たぶん多くの人が興味を持ち、彼女に仕事を与えるべきだと思うだろう。そういうふうにうまく書かれている。
「太陽と北風」(454頁)と書かれているところがあり、「北風と太陽」のことだろうけど、なぜ逆? また「ブルーズ」と同じで本来はそうなの? と思い調べたが、英語でも「北風と太陽」のようだ。村上春樹にもこういうことがあるのだな。

村上春樹もそろそろ誰かにきちんと話を聞いてもらう時期なのではないかと思う。自分の長編小説をひとつひとつ語るようなそんな本を期待したい。
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