日々諸々

西日庵雑記・洗足ベース通信

先日自然派ワインのお店に行ったのです。

2023-07-30 13:46:54 | 日々程々
 30年くらい前にサッカー選手がやり出してからだと思いますが、男性が新奇な髪型をしていても変だという人はいなくなりました。

 自然派ワインが流行り始めた頃から、ワインの好みについて語る人が増えましたが自分の好みがはっきりとある人は減ったような気がします。また誰もが新奇な味わいを変わってるといわなくなりました(変わっているから悪いといっているのではありません)

 そうなったのは、自然派ワインが飲み手の嗜好に革命を起こしたから(そう思っている人は多いと思います)でも、ワインが普及し、些細な違いにこだわり過ぎるのは偏狭で大人げないと人びとが悟ったからでもありません。

 単に飲む人たちに評価基準がなくなったからです。味覚は経験です。お酒を味わうにも多少は研鑽を積む必要があります。経験の積み重ねが各自の基準を作るんです。お店をやっていたとき、お酒を(それがワインでなくても)よく飲まれた方は、ワイン体験が少なくてもワインの味わいに対する理解が深いと感じました。

 若者はお酒を飲まなくなったといわれます。飲まなければ、ある程度経験を積まなければ、基準もできません。主観的な美味い不味いはともかく、スタイルやタイプの好き嫌いがわからない人が増えたのも当然です。

 だからワインの味や香りより、自然派とか生産者とかいった、肩書やブランドが重要になりました。

 ワインに限らず料理も、誰さんが作った野菜だとか、どこどこの魚だとか、A5の牛肉だとか、シェフの調理の巧拙より食材の素性、値段がセールスポイントになりました。

 そして人びとは「嫌い」といわず、何を食べ、飲んでも「美味しい」というようになりました。それはそれで平和でいいことかもしれませんが、私は食文化の将来に暗澹たるものを感じます。

*画像は本文と関係ありません。
ワインは自然派のみというフレンチに行きました。心配した観念先走りのお店ではありませんでした。ワインは好みではありませんでしたが、お料理は、私の嫌いなテーブルでのくどい説明を除けば、とても美味しかったです。人数の都合でコースだったので、再訪しでアラカルトで食べたいと思います。



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