筑紫の国から『花つくし日記』

福岡から情報発信の山野草・庭の花などをテーマにしたブログです。
お花紹介は九州に咲く季節の花がメインですよ。

万葉集/巻7-1212  桜(さくら) 2024年4月

2024年04月07日 | 21.万葉の花

(さくら)を詠んだ歌
万葉の時代も、(さくら)と呼ばれています。

万葉集/巻7-1212  作者/不明

足代(あて)過ぎて  糸鹿(いとが)山の  桜花(さくらばな)
      散らずもあらなむ    帰り来(く)るまで


【意味】足代を過ぎてさしかかる 糸鹿の山の桜花
    そのまま咲いていてほしい ふたたび帰って来るまでは

 ※「足代」和歌山県有田市と有田郡の地かという。
 ※「糸鹿の山」和歌山県有田市糸我町の南の山。
 ※「あらなむ」〈なむ〉願望。あってほしい。

※写真は、福岡で私の写した「山桜」


万葉集には、植物を詠んだ歌が約千五百首もあるんだそうです。
万葉に読まれた植物と歌を少しですが、紹介したいと思っています。

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万葉集/巻20-4476 樒(しきみ) 2024年3月

2024年03月31日 | 21.万葉の花

(しきみ)を詠んだ歌

万葉の時代も、「樒(しきみ)と呼ばれています。

万葉集/巻20-4476  作者/大原真人今城(おおはらのまひといまき)

奥山の  しきみが花の  名のごとや
                 しくしく君に   恋ひわたりなむ


【意味】奥山に咲くシキミの花の その名のようにわたくしは
    しきりにあなたにお逢いしたいと  焦がれ続けるのでしょうか

 ※「しきみ」シキミ科(またはマツブサ科)の常緑小高木(または低木)。
                         仏前などに供える。また〈しきりに見る〉に掛ける。
 ※「名のごとや」〈や〉疑問。
 ※「しくしく」しきりに。うち続いて。
 ※「恋ひわたりなむ」〈わたる〉ずっと~し続ける。


【一口メモ】シキミ(樒)は枝や葉に芳香のある常緑の樹木で、3月から4月に直径2.5~3cmの萼と花弁が10~20枚の花をつけます。

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万葉集 巻8-1424 スミレ/万葉名:須美礼・菫(すみれ) 3月 2024年

2024年03月17日 | 21.万葉の花

 すみれ : スミレ科
万葉の時代から、「須美礼・菫(すみれ)」と呼ばれています。

【万葉集 巻8-1424 山部赤人】
春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ
        野をなつかしみ 一夜寝にける

【意味】春(はる)の野にすみれを摘もうと思ってやってきたのに、野が懐かしくて一夜過ごしてしまいました。

万葉の時代も野原に自生していたようです。写真のスミレも野原に自生しているものを撮ったのですが、現在は園芸種が多く万葉の時代のスミレはどのようなものだったのでしょうか。

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沈丁花 (じんちょうげ)/万葉名:三枝(さきくさ)  花期:3月

2024年03月10日 | 21.万葉の花

 沈丁花 (じんちょうげ) : ジンチョウゲ科
三枝(さきくさ)が何なのかははっきりしていません。
三椏(みつまた)、福寿草(ふくじゅそう)、沈丁花(じんちょうげ)などの説があります。

万葉の時代は、「三枝(さきくさ)」と呼ばれています。

【万葉集 10-1895 柿本人麻呂】
春されば まづ三枝の 幸(さき)くあらば
          後にも逢はむ な恋ひそ我妹


【意味】春(はる)になると咲く三枝(さきくさ)の花のように幸せならば、後で逢いましょう。そんなに恋を焦らずに、ね、君。

・「三枝(さきくさ)」で「幸(さき)く」を導いています。

・「な~そ」は「~しないで」という意味です。


漢字では「沈丁花」と書き、花の香りが沈香、花姿が丁字に似ているところに由来するとされます。特徴はなんと言っても、上品な甘い香りを放つ花です。  花期:3月

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三椏(みつまた)/万葉名:三枝(さきくさ)  花期:3月 2024年

2024年03月02日 | 21.万葉の花

三椏(みつまた)
三枝(さきくさ)が何なのかははっきりしていません。
三椏(みつまた)、福寿草(ふくじゅそう)、沈丁花(じんちょうげ)などの説があります。

万葉の時代は、「三枝(さきくさ)」と呼ばれています。

【万葉集 10-1895 柿本人麻呂歌集より】
春されば  まづ三枝(さきくさ)の  幸(さき)くあらば
                     後(のち)にも逢はむな   恋ひそ我妹(わぎも)


【意味】春にまず咲くサキクサの  〈幸(さき)く〉元気でいたならば
    またのちにでも逢いましょう  恋しがるなよわが妻よ

 ※「春さればまづ三枝の」〈幸く〉を導く序詞。
 ※「三枝」茎・枝が三つに分かれている植物。
                         ヤマユリ、ミツマタ、ジンチョウゲなど諸説あり。
 ※「幸くあらば」無事であったら。
 ※「な恋ひそ」〈な~そ〉禁止。


万葉集には、植物を詠んだ歌が約千五百首もあるんだそうです。
万葉に読まれた植物と歌を少しですが、紹介したいと思っています。

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