「アインシュタイン交点」とある意味対極にあるかなぁ、ということで「わかりやすい」アシモフ作品が読みたくなり本書を手に取りました。
本書は昨年末に実家から持ってきた本の1冊。
![](https://farm6.staticflickr.com/5556/14694037082_ce1c5be388_n.jpg)
奥付見ると昭和59年、私が中学2年の時の発刊です。
そのちょっと前に「鋼鉄都市」を読んで「面白い!!」と思っていた頃、丁度ハヤカワから新刊で出た本書を買った記憶があります。
当時は謎解きというか解決部分にミステリーとして読むと納得いかないところがあり、なんとなく「鋼鉄都市ほどではないなー」と感じていた記憶があります。
‘12年ローカス誌オールタイムベスト274位。1957年発刊
内容(裏表紙記載)
すべてがロボットによって管理される惑星ソラリア―――だがそこで、有史以来初の殺人事件が発生した。密室状況下で人間が殺され、しかもその場にはロボットしかいなかったのだ。ソラリアの要請で、急遽地球から派遣されたイライジャ・ベイリ刑事はロボットのダニール・オリヴァーとともに操作に着手するが、ソラリア社会の因習の壁にはばまれ、袋小路につきあたってしまう。はたして<ロボット三原則>がふみにじられ、ロボットによる殺人が可能になったのだろうか? 「鋼鉄都市」の名コンビが再び登場し、完全殺人の謎を鮮やかに解明する、ファン待望のSFミステリ!
本作でアシモフのイライジャ・ベイリ、ダニール・オリヴァーものは全てこのブログに記事化できたことになります。
感無量....だったりします。
さて感想ですが、昨年「鋼鉄都市」を読んだときは「こんなもんだったかなぁ?」という感想で、あまり期待しないで読んだのが良かったのか(笑)本作はかなり面白かったです。
展開が気になりどんどんページをめくっていく…物語を楽しむ感覚は「文学的」ではないのかもしれませんが快感でした。
イライジャ・ベイリものでは「夜明けのロボット」(1983年刊)の出来が一番いいかなぁと思っていましたが、本作の方がアシモフも若いためか「勢い」があって楽しめる作品になっていると思います。
道具立ても「鋼鉄都市」では三原則とロボット刑事の位置づけ的なものが強調されていましたが、本作ではその辺は所与のものとなっており特殊な環境にある「ソラリア」と「地球」における「人間心理」に焦点が当たっています。
「心理」に関心を持ち続けたアシモフらしい展開ですね。
最近ではその「心理」の掘り下げが「浅い」というような意見もあるようですが、ストレートかつ明確な分強い表現ですし、そのため逆にその背後にある「なにか」を色々と考えられるようになっている気がします。
私は「アシモフやっぱり好きだ」というのを再認識しました。
また本作では初期アシモフでは絶対視されていたロボット三原則にもちょっとした疑義が入り始めています。
ミステリーとしてもベイリのコロンボ的な泥臭い探偵ぶりが楽しめますが、解決場面で意図的に言及しなかった事実と、犯人を追いつめてしまうところがミステリーとしては若干のいただけない感じを昔同様持ちました。
ただ昔読んだ時よりも年を取った分「それもありかなぁ」という気分で「SF」としては「いいんじゃないか」と思えました。
アシモフ、ミステリーも好きなようですがやっぱり本質的にはSF作家なんでしょうね。
とにかく楽しく読める作品だと思うのでお勧めです。
(が、これも絶版で入手困難ですが...)
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奥付見ると昭和59年、私が中学2年の時の発刊です。
そのちょっと前に「鋼鉄都市」を読んで「面白い!!」と思っていた頃、丁度ハヤカワから新刊で出た本書を買った記憶があります。
当時は謎解きというか解決部分にミステリーとして読むと納得いかないところがあり、なんとなく「鋼鉄都市ほどではないなー」と感じていた記憶があります。
‘12年ローカス誌オールタイムベスト274位。1957年発刊
内容(裏表紙記載)
すべてがロボットによって管理される惑星ソラリア―――だがそこで、有史以来初の殺人事件が発生した。密室状況下で人間が殺され、しかもその場にはロボットしかいなかったのだ。ソラリアの要請で、急遽地球から派遣されたイライジャ・ベイリ刑事はロボットのダニール・オリヴァーとともに操作に着手するが、ソラリア社会の因習の壁にはばまれ、袋小路につきあたってしまう。はたして<ロボット三原則>がふみにじられ、ロボットによる殺人が可能になったのだろうか? 「鋼鉄都市」の名コンビが再び登場し、完全殺人の謎を鮮やかに解明する、ファン待望のSFミステリ!
本作でアシモフのイライジャ・ベイリ、ダニール・オリヴァーものは全てこのブログに記事化できたことになります。
感無量....だったりします。
さて感想ですが、昨年「鋼鉄都市」を読んだときは「こんなもんだったかなぁ?」という感想で、あまり期待しないで読んだのが良かったのか(笑)本作はかなり面白かったです。
展開が気になりどんどんページをめくっていく…物語を楽しむ感覚は「文学的」ではないのかもしれませんが快感でした。
イライジャ・ベイリものでは「夜明けのロボット」(1983年刊)の出来が一番いいかなぁと思っていましたが、本作の方がアシモフも若いためか「勢い」があって楽しめる作品になっていると思います。
道具立ても「鋼鉄都市」では三原則とロボット刑事の位置づけ的なものが強調されていましたが、本作ではその辺は所与のものとなっており特殊な環境にある「ソラリア」と「地球」における「人間心理」に焦点が当たっています。
「心理」に関心を持ち続けたアシモフらしい展開ですね。
最近ではその「心理」の掘り下げが「浅い」というような意見もあるようですが、ストレートかつ明確な分強い表現ですし、そのため逆にその背後にある「なにか」を色々と考えられるようになっている気がします。
私は「アシモフやっぱり好きだ」というのを再認識しました。
また本作では初期アシモフでは絶対視されていたロボット三原則にもちょっとした疑義が入り始めています。
ミステリーとしてもベイリのコロンボ的な泥臭い探偵ぶりが楽しめますが、解決場面で意図的に言及しなかった事実と、犯人を追いつめてしまうところがミステリーとしては若干のいただけない感じを昔同様持ちました。
ただ昔読んだ時よりも年を取った分「それもありかなぁ」という気分で「SF」としては「いいんじゃないか」と思えました。
アシモフ、ミステリーも好きなようですがやっぱり本質的にはSF作家なんでしょうね。
とにかく楽しく読める作品だと思うのでお勧めです。
(が、これも絶版で入手困難ですが...)
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私も1年ほど前に「鋼鉄都市」「はだかの太陽」を再読しました。
ミステリとしての出来は「鋼鉄都市」が上だと思いますが、
「はだかの太陽」の設定には改めて衝撃を受けました。
植民惑星ソラリアの住民は、他人と顔を合わさず、テレビ電話で会話。
たくさんの機械(ロボット)を使って労働させ、自分は趣味や研究にいそしんでいる・・・。
要するに家に引きこもってネットやスカイプ使いまくり、
掃除はルンバにやらせてる現代人の姿では?
アシモフの先見性すげーと思いました。
ご無沙汰です。
コメントありがとうございます。
「はだかの太陽」は「鋼鉄都市」よりもガチガチのミステリーの枠から離れて書かれている分生き生きしているように感じますね。
ロボットに奉仕されているソラリア社会について作中で奴隷制に支えられた古代ギリシャに例えていますね。
話としてはありがちな持って行き方な気もしますが....。
ご指摘のとおりネット に頼り、ルンバやらに頼る現代を予見していたような感じもあります。
人間のやることはそれほど変わらないんですねぇ。
「アシモフ」はディックなどと比べてその「わかりやすさ」によりいまいち評価が低いようですがまだまだ読まれるべき作家な気がしております。(^_^
連休明けに新訳版が発売予定になってます。Kindle版も出るかな?
おはようございます。
ちょっと調べましたが新訳で出るんですね。
訳者が「アシモフといえば」の小尾芙佐さん。
欲しい....かもしれない。
情報ありがとうございます!(^_^.)