lurking place

ニッポンのゆる~い日常

日本列島全土を「模擬攻撃」 中露爆撃機の挑発飛行

2018-03-17 17:15:27 | 日本
【外交安保取材】

日本列島全土を「模擬攻撃」 中露爆撃機の挑発飛行


http://www.sankei.com/premium/news/180317/prm1803170013-n1.html



国会で安全保障に関する論戦が低調だ。審議中の平成30年度予算案には長射程巡航ミサイル導入の関連費用が計上され、安倍晋三首相(63)が専守防衛について「純粋に防衛戦略として考えれば大変厳しいという現実がある」と問題提起するなど、議論の素材には事欠かないはずだが、聞こえてくるのは「森友文書」ばかりだ。しかし、その間にも日本が非常にやっかいな隣国に囲まれ、厳しい安全保障環境に置かれていることを示す出来事は次々と起こっている。


(※3月7日にアップされた記事を再掲載しています)


 「つい最近も、ロシアの爆撃機がずーっと沖縄まで飛んで来て、日本列島を、何らかの目的に…ある面では爆撃の訓練の行動を行う、私たちにはそう取れる…」

 小野寺五典防衛相(57)は2月22日、都内で開いた自身の国政報告会でそう述べた。小野寺氏が触れたのは国政報告会の前々日、ロシア軍のTU95爆撃機2機が北海道から沖縄まで、日本列島の東岸をなめるように長距離飛行した事案だ。

 防衛省はこうした事案に際し、他国軍の意図や目的を分析はするものの、その内容には言及しないのが通例で、小野寺氏が「爆撃の訓練」と言及したのはかなり異例だ。



問題のTU95爆撃機はロシア軍の主力戦略爆撃機であり、約2500キロという超長射程かつ核弾頭も搭載可能な巡航ミサイルを運用している。北海道から沖縄までの長距離飛行は「日本全土をいつでも爆撃できる」という能力の誇示だと捉えるのが自然だ。小野寺氏は2月27日の記者会見では、日本が国際社会の対露制裁に加わってから「このような活動が活発化している印象を持っている」との分析も示した。



 ロシア軍の挑発的な飛行は冷戦期の旧ソ連時代から頻繁に確認されてきた。伊豆諸島付近までの長距離飛行は「東京急行」と呼び習わされたほどで、今に始まった事象ではない。そして近年はロシア軍だけではなく、中国軍の爆撃機にも「模擬攻撃」を思わせる挑発的な飛行が確認され始めている。

 例えば昨年8月24日には、中国空軍のH6K爆撃機6機が沖縄本島-宮古島間の宮古海峡を東シナ海から太平洋に抜けた後、北東に針路を変え、紀伊半島沖まで進出した。この地点まで中国軍の爆撃機が進出したのは初めてだった。


「あまり話題にならなかったが、日本は相当、厳しいことをやられた。四国には防空レーダーがなく、あの空域は防空の空白域だ。そうした専門的な知識を持った軍隊が、わが国の防空網の欠損をあえて突いてきたということだ」。元航空支援集団司令官の織田(おりた)邦男元空将は、そう指摘する。



 さらに昨年12月18日には、2機のH6K爆撃機がスホイ30戦闘機などに随伴され、対馬海峡を通って日本海に進出した。この際は、爆撃機が翼下にミサイルを搭載していたのも確認された。「長剣10(CJ10)」や「KD20」と呼ばれる巡航ミサイルとみられる。

 その射程は1500キロとも、2200キロともいわれ、短めに見積もっても、中国大陸沿岸部から発射して名古屋まで届く。昨年8月、12月の進出位置から半径1500キロの円を描くと、沖縄を含め、日本全土がすっぽり収まることが分かる。こうした中国軍機の飛行は、日本に対する威嚇以外の何物でもない。


「私どもは周辺各国、特に中国、ロシアに対して、しっかりとした認識を持つべきだ」


 小野寺氏は2月27日の記者会見で強調した。中露の巡航ミサイルの脅威が話題にもならない一方で、航空自衛隊の長射程巡航ミサイル導入には「周辺国にいたずらに緊張感をエスカレートさせる」(希望の党の玉木雄一郎代表)などの批判があった。それこそ緊張感が足りないのではないか。 

2018.3.17 17:00















  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

報道特注【やっさん森友のすべてを語る!緊急撮って出しSP!】

2018-03-14 08:22:04 | 動画
報道特注【やっさん森友のすべてを語る!緊急撮って出しSP!】




報道特注【森友問題緊急撮って出しSP!】





  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

半島危機に過去の「教訓」生かせ

2018-03-07 20:53:45 | 正論より
3月7日付    産経新聞【正論】より



半島危機に過去の「教訓」生かせ   福井県立大学教授・島田洋一氏


http://www.sankei.com/column/news/180307/clm1803070005-n1.html



≪示唆に富むキューバとイラク≫


 「核の脅威」への対処をめぐって世界を揺るがした1962年のキューバ危機と2003年のイラク戦争は、アメリカの対北朝鮮政策を考えるに当たり、とりわけ示唆に富む。


 ソ連がキューバに核ミサイルを搬入・設置中との情報がケネディ大統領に届いたのが1962年10月16日早朝。「世界を震撼(しんかん)させた13日間」が始まった。11月6日の中間選挙までわずか3週間という時期であった。以後、米統合参謀本部は一貫して、キューバの軍事施設に対する全面空爆を主張する。ミサイル基地のみを標的とした「外科手術的爆撃」では、キューバ空軍による報復でフロリダなどにかなりの被害が出かねない。

 核ミサイルの実戦配備までまだ2週間はかかるとみられ、今なら通常戦力だけで作戦を遂行できる、先送りするほど核戦争の危険が増すとテイラー統参本部議長は強調した。当初これに同調したロバート・ケネディ司法長官は、キューバが「先に手を出した」形を作るため、米艦の撃沈などの秘密工作を行うよう進言している。


 一方、政権内の「ハト派」は、先制攻撃はキューバ内のソ連軍将兵(約4万人)に多数の死傷者を生む、西ベルリンで報復を招くなどを理由に、海上封鎖で核ミサイルの追加搬入を阻止し、「キューバ不侵攻宣言」およびトルコに配備済みの米核ミサイルの撤去を交換条件に妥協的解決を図ることを主張した。ケネディは概(おおむ)ねハト派の意見を容(い)れ、ただしソ連が取引に応じない場合、ミサイル基地に限定し外科手術的爆撃を行うとの方針で臨む。フルシチョフが取引に応じたため、危機は終息した。



 さて現下の北朝鮮情勢と比べてみよう。まず北の核ミサイルは独自開発かつ本国への設置であり、第三国への「持ち込み」核の撤去というキューバ型の取引が成り立つ余地はない。一方、独自開発だけに、北の基地にロシアや中国の支援部隊がいる可能性はなく(いれば安保理決議違反)、米側にとり攻撃のハードルはその分低い。




 ≪軍事力の全面発動が犠牲減らす≫


 フロリダへの報復被害を抑えるため軍事施設全般への空爆が必要という論理は、フロリダをソウルに置き換えれば、今日にも当てはまる。ケネディから「撃ち漏らし」の可能性を問われた統参本部議長は「100%はあり得ない。必要な期間波状攻撃を繰り返すのみ」と答えている。軍の回答としては、それ以外にないだろう。



 なお韓国の在留外国人は約200万人。6割近くがソウルおよび近郊に住み、中国人が最も多くベトナム人、アメリカ人と続く(2016年。韓国法務省)。中国の対韓投資額も増えている。半島有事に際し、中国は北に「火の海にする」対象は米軍基地に限るよう強く要求するだろう。


 ケネディもニクソン同様、ホワイトハウス内の会議を秘密録音していた。「まずは海上封鎖」との意向を大統領が示して退室後、軍首脳らが「小出しにやれば大失敗する」「のらくらやるな。ミサイルを除去しに行けが結論だ」と不満を口にする様子が記録されている。統参本部は、北朝鮮に関しても「軍事力を発動するなら全面空爆で」との立場を取るだろう。


 2003年3月17日、サダム・フセイン親子に「48時間以内の国外退去」を求めた「最後通告」演説において、ブッシュ(子)大統領は、「戦争で確実なのは犠牲だけだ。しかし、被害と戦争期間を減らす唯一の道はわが軍の力の全面発動である」と述べ、その通り全面攻撃を行った。


 当初計画では南北からイラクを挟撃するはずだったが、北のトルコが米軍の基地使用を拒否したため、南のサウジアラビアの基地が圧倒的重要性を持つに至った。ブッシュは回顧録に「我々がかつて行った最重要の要請だったが、NATO(北大西洋条約機構)同盟国たるトルコはアメリカを見捨てた」と憤りを記している。


 一方、サウジからは、今度は湾岸戦争時(1990年)のように「サダムを生き延びさせることはないのか」と覚悟を問う照会があった。「今回は片を付ける」とチェイニー副大統領が確約し、サウジの納得を得たという。




 ≪尖閣諸島防備を一段と強めよ≫


 朝鮮有事に関し、アメリカは韓国にトルコの影を見ているだろう。その分、日米の緊密な意思疎通と協力が一層重要となろう。


 なお、キューバ危機が進行中の10月20日、中国軍が東西2カ所でインドに侵攻した。虚を突かれたインド軍は潰走する。ガルブレイス駐インド米大使は日記に、「ワシントンは完全にキューバ一色だった。一週間に亘(わた)り、一片の指示もないまま、私は戦争への対応を迫られた」と記している。ケネディがようやくネール首相宛てに「全面支持」書簡を書いたのが28日(キューバ危機終息の当日)。武器を積んだ米軍機がインドに到着し始めたのが11月2日。すでに中国は占領地を固めていた。


 歴史の教訓は明確である。朝鮮有事に際しては、尖閣諸島周辺の防備を一段と強めねばならない。


(福井県立大学教授・島田洋一 しまだ よういち)























  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする