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ニッポンのゆる~い日常

学問と自己錬磨への熾烈な欲望なき民族に堕した日本 吉田松陰の「リアリズム」に覚醒せよ

2018-01-29 09:55:51 | 正論より
1月29日付    産経新聞【正論】より



学問と自己錬磨への熾烈な欲望なき民族に堕した日本 吉田松陰の「リアリズム」に覚醒せよ 


文芸評論家・小川榮太郎氏


http://www.sankei.com/column/news/180129/clm1801290004-n2.html



 とりわけ、水戸学の大家、会沢正志斎らとの邂逅(かいこう)は転機となつた。帰国後、『日本書紀』『続日本紀』を直ちに読み始め、“身皇国に生まれて、皇国の皇国たるを知らずんば、何を以て天地に立たん”と嘆声を挙げてゐる。

 これが松陰の「日本」発見である。それは、例へば本居宣長の発見した「日本」とは異なる。宣長は『古事記』に漢心(からごころ)以前の日本の心の質朴さを、『源氏物語』にもののあはれを見いだしたが、松陰は『日本書紀』に、古代日本史における歴代天皇の雄大な国際経営を発見したのである。


 日録によれば、帰国後半年の間、松陰の読書は『詩経』『名臣言行録』『孟子』と漢籍に戻り、再び『日本逸史』『続日本後紀』『三代実録』『職官志』『令義解』『日本外史』、そして再度翻つて『史記』『漢書』を繙(ひもと)き、日支の歴史・精神の比較研究の様相を呈してゐる。ところが、かうした日本国といふネーションの自覚の過程が、松陰にあつては単純な排外主義にはつながらないのである。寧ろ、九州遊学、佐久間象山らとの交際による正確な国際情勢認識と共振してゆく。




≪明治政府が継承した建国思想≫


 水戸学も開国論も松陰は鵜呑みにしない。鵜呑みにしてゐないから、正志斎と会つた後、自ら国史の猛勉強を始めるのである。開国論も同じである。同時代の知識人らと同様、彼もまたアヘン戦争に強い危機を覚える。ではどうすべきか。松陰の場合、尊王はそのまま能動的開国論に展開する。外国語や先端技術の積極的な選択の主張となる。『日本書紀』の記す半島・大陸進出が航海通商政策のヒントとなる。かうして尊王と近代ネーションとが、松陰の中で一つの思想へと育つてゆくのである。


 これは幕末思想の中でも際立つて統合的な性格の思想だつたと言へる。実際、この思想的統合を明治政府を形成した弟子たちが継承してゐなかつたなら、脆弱(ぜいじゃく)な明治国家といふ仮普請が短時日に列強に伍(ご)してゆくまでに成熟するのは困難だつたと、私は思ふ。

 それにしても、なぜ松陰にこの独創が可能だつたのだらう。恐らくそれは、松陰の学問が単なる知的構想ではなく、彼自身がどう建国事業に参与するかといふ、己の生の意味そのものを追求する営みだつたからではなかつたか。




≪国の為にできることはなにか≫


 彼は一藩の微臣である上、罪を得て獄中生活を繰り返してゐた。生きて、政治的な結果を作り出すことが不可能な立場にゐた。ならばどうすべきか。このジレンマは松陰に、無力な自分を最大限活かすにはどうすべきかを厳しく省察することを要求し、自己省察が苛烈になるにつれ、松陰の世界観や時局観もまた正確になつてゆく。


 松陰が最後、老中・間部詮勝の暗殺を企てたとき、高杉晋作、久坂玄瑞ら直弟子は時機ではないとして反対する手紙を出す。それを読んだ松陰が「僕は忠義をする積り、諸友は功業をなす積り」と慨嘆したのはよく知られてゐる。


 功業は結果だが、松陰はその結果を作れない立場にある。しかし一人の人間に、匹夫だらうが、獄に婁がれてゐようが、国の為(ため)にできることがあるとすれば、それは何か。諸友に先駆けて死ぬことによる覚醒の促しではないか。これが松陰が錬磨と迷悟とを重ねた揚げ句、辿(たど)り着いた思想であり、結果を見れば、悲しい程時宜を得たリアリズムだつたのである。



 今、学問と自己錬磨への熾烈(しれつ)な欲望なき民族に堕した日本には、果敢なリアリスト松陰もまた出現しようがない。今の日本に歴史のダイナミズムを体で生き抜くやうな真のリアリストが出現すれば、逆にアナクロニストとして失笑されるだけであらう。

 中国の台頭を支へる若手愛国エリートたちと交際するにつけ、既に初老にして浅学・菲才(ひさい)の私の焦慮は、只(ただ)ならない。(文芸評論家・小川榮太郎 おがわえいたろう)










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安倍首相の危ない訪韓、卑劣な反日テロ警戒

2018-01-28 22:11:54 | 国際時事
安倍首相の危ない訪韓、卑劣な反日テロ警戒 

室谷克実氏「韓国は常識では考えられない手薄な警備」


http://www.zakzak.co.jp/soc/news/180127/soc1801270003-n1.html


安倍晋三首相は来月、平昌(ピョンチャン)冬季五輪開会式に出席するために訪韓する。「従北・反日」の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談し、慰安婦問題をめぐる「日韓合意の厳守」を確認するとともに、北朝鮮の軍事的脅威に対する「日米韓の連携強化」を強く申し入れる。韓国と北朝鮮の選手が共同入場行進で掲げる「統一旗」に、島根県・竹島(韓国名・独島)が描かれていないなど、やや現実的な対応もみられるが、懸念されるのが韓国の警備態勢だ。米国要人への襲撃事件も発生しており、最高度のテロ警戒が求められそうだ。



「韓国警察庁 平昌冬季五輪の治安対策を点検」

 聯合ニュース(日本語版)は5日、このような記事を配信した。開会式が開かれる2月9日は、李哲聖(イ・チョルソン)警察庁長官が現場で総指揮を執り、選手村とすべての競技場に十分な警備人員を配置し、24時間体制で警備に当たるという。

 大会期間中は、警察特攻隊員を配置するほか、新型装甲車、ドローン抑止装置、サーモグラフィーなどの対テロ装備を配備。外郭地域の検問所39カ所にバリケードを設置し、テロ防止に注力するという。

 世界各国のアスリートやVIPが集まる「平和の祭典」だけに当然の対応だが、韓国では過去に、驚くような警備態勢の緩みが露呈している。



 2015年3月、ソウル市中心部で、マーク・リッパート駐韓米大使(当時)が、左派系政治団体代表の男に果物ナイフで襲撃された。リッパート氏は右頬からあごにかけて長さ10センチ超、深さ約3センチの傷を負い、約80針を縫う大けがを負っている。

 襲撃現場となった世宗(セジョン)文化会館は、韓国大統領府(青瓦台)や外務省、在韓米国大使館の近くで、厳重警備が敷かれていた。



 昨年11月、ドナルド・トランプ米大統領が訪韓した際は、約220の左派系団体が「反米・反トランプ」の集会を計画し、米国大使館周辺で一部が強行された。鉄壁の警備が行われていたはずだが、晩餐(ばんさん)会を終えてホテルに戻るトランプ氏が乗った大統領専用車がデモ隊に道を塞がれ、反対車線を逆走する事態が発生した。


 要人警護を行うSPを20年以上務めた元警視庁警備部の金井祐一氏は「韓国の警備態勢は考えられない。日本では要人の移動ルートは極秘だが、トランプ氏のケースでは情報が漏れていた可能性がある。日本では重要施設周辺でのデモや集会は認めない。韓国のように路上で行うなど、あり得ない。安倍首相の安全を確保するには、日本から同行するSPの人数を多くするしかない」と話す。



 韓国では、長年突出した「反日教育」が行われている。日韓間で問題が起きると、市民団体などが日の丸を燃やし、日本の首相に似せた人形の首を切り落とすなど、常軌を逸した行動をとっている。

 安倍首相の訪韓判断を受けて、「安倍首相の平昌五輪出席を歓迎する」(毎日経済新聞、25日)、「韓日関係への追い風を期待する」(ソウル新聞、25日)という報道もあるが、中には「韓日関係が今以上に悪化するのか、または関係改善の糸口となるのか」(朝鮮日報、24日)と懸念する声もある。


「従北」の文政権を支持する左派系団体は、「日米韓の離間」を狙っているフシがある。そして、韓国は、日本の初代内閣総理大臣、伊藤博文を暗殺したテロリスト、安重根(アン・ジュングン)を「英雄視」している国家である。


 『韓国リスク』(産経新聞出版)を最近上梓した、ジャーナリストの室谷克実氏は「トランプ氏の乗った専用車がデモ隊に取り囲まれたニュースには驚いた。韓国にとって『最高の国賓』といえるのに、明らかに手薄といえる警備態勢であり、常識では考えられない。むしろ、(警備する側が)『恐ろしい目に遭わせてやろう』と思っていたのではないか。安倍首相の同行SPを増やしただけで、対応できるような国とは思えない。そもそも、行くべきではない」と話している。

2018.1.27










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