気ままなひとこと

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「冷静と情熱のあいだ」Rosso / Blu 読了

2013-02-03 14:39:43 | 読書
実に久し振りに恋愛小説を読みました。最近とんと縁遠くなっていた分野でしたが、ひょんなきっかけから読むことになりました。イタリア語講座のクラスメートの一人が3月からイタリアへ語学留学するのですが、私も3月にフィレンツェに旅することを話したところ、彼女の大好きな小説がフィレンツェを舞台にしているとして紹介してくれたのです。

とてもユニークな構成なのですが、夢中になって二日間で一気に二冊を読み切りました。はなしは、女の立場(江國香織)と男の立場(辻仁成)から描いた二冊からなる一つの恋愛小説です。雑誌に一章ずつ交互に連載され、後日それぞれが「冷静と情熱のあいだ Rosso」(江國香織)と「冷静と情熱のあいだ Blu」(辻仁成)として別々に刊行されたという実に変わった企画の小説です。私は雑誌に掲載されたように、Rossoの第一章、Bluの第一章、と男女編を交互にという読み方をしてみました。二冊を並べて交互にというのはチョット忙しかったですが (^-^)、不思議な体験でもありました。



ミラノで生まれ育った女と、ニューヨークで生まれ育った男、帰国子女の二人が東京の大学
で出会い、別れ、卒業して5年後の時点から夫々の独白として小説が始まる。女はミラノへ戻りアメリカ人ボーイフレンドと同棲、男はフィレンツェでルネッサンス絵画の修復工房に。そんな二人が20才の時に交わした約束「彼女の30才の誕生日にフィレンツェのドゥオーモのクーポラの上で会おう」の日に向かって展開するストーリー。

ドラマチックな再会の後、それでも一緒になろうと言い出せない二人(読んでいて歯がゆい)、再び別々の人生に戻ろうとする二人を見ていて、「こういう恋愛もあるんだろうな」と思いながら読み終えようとしていました。Rosso(女編)の最終13章は女が一人でミラノへ列車で戻るところで終わっていたし、Blu(男編)も最終13章で彼女を見送って寂しげな男の独白で終わりそうでした。その途端、「ぼくは自分の中で小さな情熱が巻き返しの反撃に出るのを感じる。」 から最後のどんでん返しの動きになるのですが、これは男性作家のほうがハッピーエンド好みなのかなあ・・・とちょっと大衆小説的な終わり方ではありましたが、非常に惹き付けられる作品でした。この年になって恋愛小説にこれほど熱中するとは自分でも驚き、まだ心は青春かな・・・(笑)


最後にタイトルですが、「冷静と情熱のあいだ」の表紙の上に Calmi Cuori Appasionati とあります。これはイタリア語で順に、冷静、ハート/心/思い遣り、最後が情熱という意味です(全て複数形ですが)。つまり、冷静と情熱の間には、思い遣りの心があるというのが著者二人のメッセージなのでしょうね。イタリア語を勉強していなかったら何の関心も示さずに終わってしまったタイトルだし、表紙の表示だったでしょう。イタリア語を勉強していてよかった!

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