ある朝の寒さ
私は目を覚ます
早過ぎる黒の風景
季節の変わり目
新しい空気の訪問
挨拶を忘れて
再び眠りにつく
浅い夢の中
いかつい雲が流れていた
平穏な海面の上
寒さが育って
私は目を覚ます
布団を一枚増やして
今度は挨拶を忘れず
再び眠りにつく
(2013年 2月 発表)
ある朝の寒さ
私は目を覚ます
早過ぎる黒の風景
季節の変わり目
新しい空気の訪問
挨拶を忘れて
再び眠りにつく
浅い夢の中
いかつい雲が流れていた
平穏な海面の上
寒さが育って
私は目を覚ます
布団を一枚増やして
今度は挨拶を忘れず
再び眠りにつく
(2013年 2月 発表)
地下から出て来る
ゆっくりと少しずつ
聞き慣れない音色
すっきりとした黒ではなく
どんよりとした不快さ
すき間から入り込んで
滲んでゆく
善悪の表裏一体
誰でも悪魔になれる
気づかないうちに
欲望に忠実に
傷つけることに躊躇せず
当たり前のことのように
狂い出した血
救おうと思いながら
滅ぼしている
感情のずれ
天地のずれ
陰陽のずれ
バランスが崩れ始めた
もう少しだけ
もう少しだけ
でも
人の心を信じたい
(2013年 2月 発表)
グラスに見える夕焼けに
作り笑いを浮かべて嚙み締める
杯を重ねて積もるやるせ無さ
気持悪くても
歯止めのきかない夜がある
ゆらりゆられて苦い悲しみ
忘れられれば春は来るかい
今日の日は雨上がりの風情に溶けて
まだ見ぬ太陽に祈りたい
(1996年 「詩集 輝きの下へ」より)
地下道の人ごみを足速に抜けて
階段を駆け上がる
横断歩道の前 赤信号
少し上を向きながら
大きく 大きく
無邪気な雲まで吸い込む
すうっと通りかかった薫風は
柔らかく 穏やかで
そんなひとときが
たまらなくいい
(1996年 「詩集 輝きの下へ」より)
目覚まし リンリン鳴り響く
セットしたこと 少し後悔
身を乗り出して スイッチオフ
今日は休みだ まだ寝れる まだ寝れる
正午のサイレン
うとうとしながら ゲットアップ
怠さが全身覆ってらあ
何もする気になれないデイ
ずーっと ぼーっとしていよう
たまにはこんな日 良いものだ
時間の流れに身を委ねれば
無気力空間 浮遊する
今日という日の答えなど
どこにもない 気にしない
今日一日の充電が
以後の活力 スイッチオン
(1996年 「詩集 輝きの下へ」より)