平成20年度 二級建築士設計製図試験 その2
前回は作図における時間配分の重要性について書いた。
つまるところ合格をものにするには、エスキスを60分以内で完成しなければその可能性は低くなる。ということだ。最悪の場合90分というのが限界となるということだ。
90分の場合は見直し等の時間は取れないということで、ただでさえ緊張感から平常心を失っている受験者が、見直しの時間を取れないというのも致命傷なのだ。ミスや勘違いは必ずあり、見直せば簡単に防げるのにその時間が取れないということになるわけだから、事は重大だ。多くの受験者と接してきた私の感覚で言えば、15点程度のミスが発生していると考えておいたほうがいいだろう。
90分以上エスキスに時間を掛けてしまった場合は、早々に試験場から退席したほうがいいであろう。12月の合格発表まであらぬ期待を持って仕事に望んでいても結果は見えている。発表時に沢山の言い訳が思いつくだけだ。
作図力としては、3時間以内で所定の図面一式をトレースできる力が無ければだめだという事で、しかも図面らしい図面にしなければならないのである。
図面の雰囲気から素人っぽさが感じ取れる図面もまず合格はない。
汚い図面などは論外である。
特に今年はきれいであることや、プロらしさといったところが例年以上にポイントになるだろう。大手資格学校は例年以上にこの辺の強化に力を入れているからだ。一口で言えば図面力ということだ。
JAEICの採点基準のメインにもこの項目は載っている。
ただ今までは、この試験が絶対試験であるとしてるが為に減点項目のみが注目されていたのだが、試験制度が明らかに資格者の資質にまで及んで論議された以上ぼやけた基準ながら相対的な図面の表現力は大きなふるいとなってくると考えたほうがいいだろう。そういった意味では、ヘタな図面は合格しないのだ。と言う気持ちで取り組むべきだろう。
建築士試験では多くの情報やノウハウが大手資格学校を中心として氾濫しているにも関わらず、相変わらず試験音痴な受験者や経済的な理由で資格学校に通えない受験者は、あまり役にも立たない市販の試験製図参考書に頼って独学の道をさまよっている状態だ。
はっきり言えば、I社やS社の参考書に頼っていては、書いてある事全てを忠実に実行できたとしても、合格の可能性は50%程度だろう。
これでは独学者は受かるわけがない。運に頼るだけだ。しかも才能があり努力を惜しまなかった人にだけその運がやってくるのだ。
・努力すれば受かるなどと思うのは大間違いだ。
・的を得ていない努力はいくらしても結果は得られない。
・どんな試験にもノウハウはある。
・知っている人と知らない人、その差は努力だけでは埋らない。
大手資格学校の調査では独学者の設計製図試験の合格率は10%を切っているとのことらしい。私の感覚でも10%というのはおそらく当たっていると思う。
つまりこの時代独学受験者は無謀な受験者といえるわけだ。
しかし、心配は要りません。
そんな無謀な冒険者を今年もしっかりと 私が 応援します。
などととても長い前置きになりましたが、受験者の状況と本年度の受験での作図での注意事項を書いてみた。が、何より大事な事は、しっかりとした想定課題で事前準備と作図錬度を上げておくことが何よりも大事な事なのだ。(錬度などという言葉は無いので、創ってみた。)
以下に今年の想定課題を創ってみた。やる気のある受験生は早速取り組んでいただければ幸いだし、私は一通り想定課題を披露させていただいた後で、順次解釈や解説を掲載していくつもりである。多くの受験者の参考になることを期待しているのだが・・・さてどうなる事やら。
平成20年度 二級建築士設計製図試験 想定課題
「高齢者の集う趣味(絵手紙)室のある二世帯住宅(木造2階建)」
1、ある地方都市の住宅地において、自然に親しみながら、絵手紙創りを趣味とする高齢者(親夫婦の知人)の集う二世帯住宅を計画する。
計画に当たっては、次の①~⑤に特に注意する。
①趣味室と庭は一体的に利用できるようにする。
②1階の居間及び屋外テラスは一体的に利用できるようにし、来客者に遠慮する事なく家族団らんの場となるよう配慮する。
③落ち着いた環境で創作活動が出来るよう、庭を囲む道路境界線や隣地境界線には出入り口となる部分を除いて生垣を設け植栽をする。
④耐震性に配慮した住宅(構造)とすること。
⑤高齢者の集う場所は極力段差を少なくする。やむを得ず段差を設ける場合は150ミリ以下とし、手すり等を設けること。
以上を設計条件とした。解釈に混乱の無いよう日本語に配慮したつもりである。
このくらいの設計条件は想定内としなければならないが、図面表現ではかなりの差がでる。受験者はこの条件の意味するところと解釈を間違えてはならない。そして何処まで図面に表現できるかが合否に直結するという事を心得ておくべきだ。
おそらくここまで書いても正確に理解できる受験者は何人いるだろうか・・・・。独学者では3人に一人程度だろうか、しかし、資格学校通学者は通っているうちに10人中9人程度は理解できるようになっているはずだろう。こんなところにもその差はあるのだ。独学者よガンバレ!
敷地・構造・延べ面積・家族構成・要求室・屋外スペースと全て作成するつもりだったが、いろいろ書いて長くなってしまったので、・・・・
今日は、ここまで。で許されよ。
前回は作図における時間配分の重要性について書いた。
つまるところ合格をものにするには、エスキスを60分以内で完成しなければその可能性は低くなる。ということだ。最悪の場合90分というのが限界となるということだ。
90分の場合は見直し等の時間は取れないということで、ただでさえ緊張感から平常心を失っている受験者が、見直しの時間を取れないというのも致命傷なのだ。ミスや勘違いは必ずあり、見直せば簡単に防げるのにその時間が取れないということになるわけだから、事は重大だ。多くの受験者と接してきた私の感覚で言えば、15点程度のミスが発生していると考えておいたほうがいいだろう。
90分以上エスキスに時間を掛けてしまった場合は、早々に試験場から退席したほうがいいであろう。12月の合格発表まであらぬ期待を持って仕事に望んでいても結果は見えている。発表時に沢山の言い訳が思いつくだけだ。
作図力としては、3時間以内で所定の図面一式をトレースできる力が無ければだめだという事で、しかも図面らしい図面にしなければならないのである。
図面の雰囲気から素人っぽさが感じ取れる図面もまず合格はない。
汚い図面などは論外である。
特に今年はきれいであることや、プロらしさといったところが例年以上にポイントになるだろう。大手資格学校は例年以上にこの辺の強化に力を入れているからだ。一口で言えば図面力ということだ。
JAEICの採点基準のメインにもこの項目は載っている。
ただ今までは、この試験が絶対試験であるとしてるが為に減点項目のみが注目されていたのだが、試験制度が明らかに資格者の資質にまで及んで論議された以上ぼやけた基準ながら相対的な図面の表現力は大きなふるいとなってくると考えたほうがいいだろう。そういった意味では、ヘタな図面は合格しないのだ。と言う気持ちで取り組むべきだろう。
建築士試験では多くの情報やノウハウが大手資格学校を中心として氾濫しているにも関わらず、相変わらず試験音痴な受験者や経済的な理由で資格学校に通えない受験者は、あまり役にも立たない市販の試験製図参考書に頼って独学の道をさまよっている状態だ。
はっきり言えば、I社やS社の参考書に頼っていては、書いてある事全てを忠実に実行できたとしても、合格の可能性は50%程度だろう。
これでは独学者は受かるわけがない。運に頼るだけだ。しかも才能があり努力を惜しまなかった人にだけその運がやってくるのだ。
・努力すれば受かるなどと思うのは大間違いだ。
・的を得ていない努力はいくらしても結果は得られない。
・どんな試験にもノウハウはある。
・知っている人と知らない人、その差は努力だけでは埋らない。
大手資格学校の調査では独学者の設計製図試験の合格率は10%を切っているとのことらしい。私の感覚でも10%というのはおそらく当たっていると思う。
つまりこの時代独学受験者は無謀な受験者といえるわけだ。
しかし、心配は要りません。
そんな無謀な冒険者を今年もしっかりと 私が 応援します。
などととても長い前置きになりましたが、受験者の状況と本年度の受験での作図での注意事項を書いてみた。が、何より大事な事は、しっかりとした想定課題で事前準備と作図錬度を上げておくことが何よりも大事な事なのだ。(錬度などという言葉は無いので、創ってみた。)
以下に今年の想定課題を創ってみた。やる気のある受験生は早速取り組んでいただければ幸いだし、私は一通り想定課題を披露させていただいた後で、順次解釈や解説を掲載していくつもりである。多くの受験者の参考になることを期待しているのだが・・・さてどうなる事やら。
平成20年度 二級建築士設計製図試験 想定課題
「高齢者の集う趣味(絵手紙)室のある二世帯住宅(木造2階建)」
1、ある地方都市の住宅地において、自然に親しみながら、絵手紙創りを趣味とする高齢者(親夫婦の知人)の集う二世帯住宅を計画する。
計画に当たっては、次の①~⑤に特に注意する。
①趣味室と庭は一体的に利用できるようにする。
②1階の居間及び屋外テラスは一体的に利用できるようにし、来客者に遠慮する事なく家族団らんの場となるよう配慮する。
③落ち着いた環境で創作活動が出来るよう、庭を囲む道路境界線や隣地境界線には出入り口となる部分を除いて生垣を設け植栽をする。
④耐震性に配慮した住宅(構造)とすること。
⑤高齢者の集う場所は極力段差を少なくする。やむを得ず段差を設ける場合は150ミリ以下とし、手すり等を設けること。
以上を設計条件とした。解釈に混乱の無いよう日本語に配慮したつもりである。
このくらいの設計条件は想定内としなければならないが、図面表現ではかなりの差がでる。受験者はこの条件の意味するところと解釈を間違えてはならない。そして何処まで図面に表現できるかが合否に直結するという事を心得ておくべきだ。
おそらくここまで書いても正確に理解できる受験者は何人いるだろうか・・・・。独学者では3人に一人程度だろうか、しかし、資格学校通学者は通っているうちに10人中9人程度は理解できるようになっているはずだろう。こんなところにもその差はあるのだ。独学者よガンバレ!
敷地・構造・延べ面積・家族構成・要求室・屋外スペースと全て作成するつもりだったが、いろいろ書いて長くなってしまったので、・・・・
今日は、ここまで。で許されよ。
1点教えて下さい。
矩形図の室名忘れ(2箇所)及び部材名の引き出し線忘れ(すべて)はかなりの減点もしくは失格になるでしょうか。
寸法及び寸法線・切断位置は記入しています。