「二級建築士設計製図試験を考える」
・・・・工房への搬出入路から見えるもの・・・・2
今回の試験では、工房への搬出入路の要求はありましたが、工房への出入り口の要求はありませんでした。しかし、結果としては外部から工房への出入り口を設けざるを得ない事になります。
ただ、外部から倉庫へ入りそこから工房へ材料を搬入するという場合は減点されないと考えています。ただし、その場合は倉庫の要求面積は6㎡でしたので、倉庫を搬出入経路とする場合は通過動線距離に要求有効巾1200㎜を乗じた面積が余分に倉庫として計上されている必要があるでしょう。
当初は玄関土間を経由する搬出入路でも減点はないだろうと考えましたが、やはり玄関土間経由は課題要求に不適切と判断され減点されると考えるべきでしょう。どのくらいの減点であるかどうかは試験元が決める事ですので全く解かりませんが、私のスケールでは70点を合格ラインと考えると最低でも5点くらいは覚悟する必要があるだろうと想います。
・住宅部分と店舗兼ギャラリーには、それぞれ独立した屋外からの出入口を設ける。
結果的にはこの文章で全てを説明していた事にもなるのですが、この文章を読んだだけで、その意味を正確に把握するのは非常に難しいです。試験元は独立という言葉に二重の意味を込めて書いたわけです。まさかこんな言葉に二重の意味が込められているなどとはこの段階では私を含めほとんどの受験者が解からないのです。
しかし、この段階で気づかなくてもまだ正確に読み込む機会はあったのです。
試験元はそこを見落とさないようにわざわざ「独立した」という言葉を入れたわけです。そしてもう一つのヒント(正確には手がかりとなる言葉)を用意していました。
試験では修飾語には特に注意が必要です。今回でも留意文③はこんな表現でも全く問題は無かったと思います。
・住宅部分と店舗兼ギャラリーには、それぞれ屋外からの出入口を設ける。
これで充分なのです。そしてこの文でも結果的には工房への出入口を設けなければ減点になる項目が存在しているのです。試験元は「独立した」という文言を入れる事によって、より正確に課題の趣旨を伝えたわけです。言い換えればまちがえる受験生が多くでることが予想されるために、わざわざ「独立した」というヒントを加えたつもりでいるでしょう。
「独立した」という言葉の二つの意味は次のように考える必要があったわけです。
一つは、位置や場所として独立する。という事。もう一つは用途としても独立するということなのです。
つまり、「住宅部分の出入口は、住宅の用に供するための出入口ですよ」、「店舗兼ギャラリーの出入口は、店舗兼ギャラリーの用途に供するための出入口ですよ」というわけなのだ。
この意味を理解した瞬間、工房への用途に供するために住宅部分の玄関を使う事は設計条件の留意文違反という事になる。という事が判明し、留意文④に店舗兼ギャラリーの内部経由禁止がある以上、何らかの形で工房への出入口又は工房への搬出入路に対する受け入れ口を造らなければならないことになるわけです。
今回の試験では、ここまでの解釈ができれば、解答には充分だったわけですが、試験元としては自らが作成した文章(文言)の矛盾を解決する必要もありました。(一応国家試験ですので、どんな理由があっても不適切な表現があれば、設問から削除しての採点になる可能性があります。)
文章の矛盾は「店舗兼ギャラリーの独立した屋外からの出入口」です。用途も独立するわけですので、工房への利用に使うとなれば、独立性に欠けてしまいます。
結果として、課題文での言いまわしは工房への搬出入路のためのように感じさせる説明になっていますが、出入口には搬出入路のための出入口という説明はどこにも明記されていない状態で工房への出入口を造ることになるわけです。
この瞬間に店舗兼ギャラリーの出入口は位置も用途も独立した出入口となったわけです。
一つの問題をしかける為に随分と手の込んだ仕掛けをしたもんだとつくづく思います。
さて、留意文③を読んでその事に気が付かなかった受験者は、なんとなく工房に出入口をつけ正解した場合と、住宅部分の玄関を経由してしまい減点回答になってしまったという二つに分かれたのでしょうか?、実はそうではなかったのです。試験元はもう一度工房への出入口を設けるチャンスを与えているのです。そしてこの事が更に、住宅部分を工房経路とした場合の減点を決定的にさせているのです。それは、もう一つのヒント(正確には手がかりとなる言葉)に伏線がありました。
まだまだ続きますが、・・・・今日は、ここまで。
・・・・工房への搬出入路から見えるもの・・・・2
今回の試験では、工房への搬出入路の要求はありましたが、工房への出入り口の要求はありませんでした。しかし、結果としては外部から工房への出入り口を設けざるを得ない事になります。
ただ、外部から倉庫へ入りそこから工房へ材料を搬入するという場合は減点されないと考えています。ただし、その場合は倉庫の要求面積は6㎡でしたので、倉庫を搬出入経路とする場合は通過動線距離に要求有効巾1200㎜を乗じた面積が余分に倉庫として計上されている必要があるでしょう。
当初は玄関土間を経由する搬出入路でも減点はないだろうと考えましたが、やはり玄関土間経由は課題要求に不適切と判断され減点されると考えるべきでしょう。どのくらいの減点であるかどうかは試験元が決める事ですので全く解かりませんが、私のスケールでは70点を合格ラインと考えると最低でも5点くらいは覚悟する必要があるだろうと想います。
・住宅部分と店舗兼ギャラリーには、それぞれ独立した屋外からの出入口を設ける。
結果的にはこの文章で全てを説明していた事にもなるのですが、この文章を読んだだけで、その意味を正確に把握するのは非常に難しいです。試験元は独立という言葉に二重の意味を込めて書いたわけです。まさかこんな言葉に二重の意味が込められているなどとはこの段階では私を含めほとんどの受験者が解からないのです。
しかし、この段階で気づかなくてもまだ正確に読み込む機会はあったのです。
試験元はそこを見落とさないようにわざわざ「独立した」という言葉を入れたわけです。そしてもう一つのヒント(正確には手がかりとなる言葉)を用意していました。
試験では修飾語には特に注意が必要です。今回でも留意文③はこんな表現でも全く問題は無かったと思います。
・住宅部分と店舗兼ギャラリーには、それぞれ屋外からの出入口を設ける。
これで充分なのです。そしてこの文でも結果的には工房への出入口を設けなければ減点になる項目が存在しているのです。試験元は「独立した」という文言を入れる事によって、より正確に課題の趣旨を伝えたわけです。言い換えればまちがえる受験生が多くでることが予想されるために、わざわざ「独立した」というヒントを加えたつもりでいるでしょう。
「独立した」という言葉の二つの意味は次のように考える必要があったわけです。
一つは、位置や場所として独立する。という事。もう一つは用途としても独立するということなのです。
つまり、「住宅部分の出入口は、住宅の用に供するための出入口ですよ」、「店舗兼ギャラリーの出入口は、店舗兼ギャラリーの用途に供するための出入口ですよ」というわけなのだ。
この意味を理解した瞬間、工房への用途に供するために住宅部分の玄関を使う事は設計条件の留意文違反という事になる。という事が判明し、留意文④に店舗兼ギャラリーの内部経由禁止がある以上、何らかの形で工房への出入口又は工房への搬出入路に対する受け入れ口を造らなければならないことになるわけです。
今回の試験では、ここまでの解釈ができれば、解答には充分だったわけですが、試験元としては自らが作成した文章(文言)の矛盾を解決する必要もありました。(一応国家試験ですので、どんな理由があっても不適切な表現があれば、設問から削除しての採点になる可能性があります。)
文章の矛盾は「店舗兼ギャラリーの独立した屋外からの出入口」です。用途も独立するわけですので、工房への利用に使うとなれば、独立性に欠けてしまいます。
結果として、課題文での言いまわしは工房への搬出入路のためのように感じさせる説明になっていますが、出入口には搬出入路のための出入口という説明はどこにも明記されていない状態で工房への出入口を造ることになるわけです。
この瞬間に店舗兼ギャラリーの出入口は位置も用途も独立した出入口となったわけです。
一つの問題をしかける為に随分と手の込んだ仕掛けをしたもんだとつくづく思います。
さて、留意文③を読んでその事に気が付かなかった受験者は、なんとなく工房に出入口をつけ正解した場合と、住宅部分の玄関を経由してしまい減点回答になってしまったという二つに分かれたのでしょうか?、実はそうではなかったのです。試験元はもう一度工房への出入口を設けるチャンスを与えているのです。そしてこの事が更に、住宅部分を工房経路とした場合の減点を決定的にさせているのです。それは、もう一つのヒント(正確には手がかりとなる言葉)に伏線がありました。
まだまだ続きますが、・・・・今日は、ここまで。