京都社会保障推進協議会ブログ

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資格証明書問題資料―小池議員の質問主意書関係

2009年02月10日 10時34分11秒 | 資料&情報
 昨年12月26日、国民健康保険法の一部改正により保険料の滞納により世帯主が被保険者証を返還した場合、その世帯に属する15才までの被保険者があるときは、世帯主に対し有効期間を六月とする被保険者証を交付することが決まりました。その後、参議院議員小池晃さんの「質問主意書」にたいする閣議決定が1月20日にされ、資格証明書を公布された世帯であっても「世帯に属する被保険者が医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申出を行った場合には、当該世帯主は保険料を納付することができない特別な事情に準ずる状況にあると考えられることから、緊急的な対応として、当該世帯に属する被保険者に対して短期被保険者証を交付することができる」とされています。
 全国の社保協はじめ各団体の粘り強い働きかけにより改善された運動の大きな成果です。
 

 国民健康保険法の一部を改正する法律案
  
  法律案
  要綱



 厚労省の通知文書です。


国民健康保険法の一都を改正する法律の施行について
保発第1226001号 平成20年12月26日
 国民健康保険法の一部を改正する法律(以下「改正法Jという。」が、衆議院厚生労働委員長から議員提案され、平成20年法律第97号として公布され、平成21年4月1日より施行することとされたところである。改正の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、その旨御了知の上、貴都道府県内の保険者等に周知を図り、運用に当たっては十分留意の上、遺憾なきを期されたい。
                  記
第一 改正法の趣旨
子どもの心身ともに健やかな育成に資するため、被保険者資格証明書に関し、15歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある被保険者に対する取扱いを見直すものであること。
第二 改正法の内容
世帯主が国民健康保険法(昭和33年法律第192号)第9条第5項の規定により被保険者証を返還した際に、その世帯に属する15歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある被保険者(同条第3項に規定する原爆一般疾病医療費の支給等を受けることができる者を除く。第三の(2)において同じ。)があるときは、世帯主に対し、その者に係る有効期間を6か月とする被保険者証を交付すること。(国民健康保険法第9条関係)
第三 施行期日等
(1)施行期日
改正法は、平成21年4月1日から施行する。(改正法附則第1項関係)
(2)改正法の施行の日において、改正法による改正前の国民健康保険法の規定により被保険者資格証明書の交付を受けている世帯主の世帯に属する15歳に達する日以後最初の3月31日までの間にある被保険者があるときは、改正法の施行後速やかに、世帯主に対し、当該被保険者に係る有効期限を6か月とする被保険者証を交付すること。(改正法附則第2項関係)
(3)市町村又は特別区は、国民健康保険の保険料について、減免制度の十分な周知を図ること等を通じて滞納を防止するとともに、特別の理由があると認められないにもかかわらず滞納している者からの実効的な徴収の実施を確保するため、必要な措置を請じなければならないこと。(改正法附則第4項関係)
(以上)


 国保法の一部改正を受け1月8日に日本共産党小池議員が質問主意書を提出し、以下の答弁を引き出しています。


小池晃議員の「質問主意書」と「答弁書」

  質問主意書
  答弁書




 小池議員の質問主意書には、資格証明書の交付について重要な内容が含まれています。内容を検証するために資料を掲載します。


 質問主意書にある10月30日付通知文書は以下のとおりです。

 保国発第1030001号
雇児総発第1030001号
平成20年10月30目
都道府県民生主管部(局)長 殿
各 都 道 府 県
  指 定 都 市   児童福祉主管部(局)長  殿
  児童相談所設置市
厚生労働省保険局国民健康保険課長
厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長
被保険者資格証明書の交付に際しての留意点について
 国民健康保険における被保険者資格証明書(以下「資格証明書」という。)の運用については、下記のとおり、その留意点をまとめたので、その内容を御了知いただくとともに、貴管内市町村等関係者への周知徹底について遺憾なきよう配慮されたい。
 なお、本通知については、社会・援護局保護課と調整済みであることを申し添える。

1 資格証明書の交付に係る一般事項
  資格証明書については、事業の休廃止や病気など、保険料を納付することができない特別の事情がないにもかかわらず、長期にわたり保険料を滞納している方について、納付相談の機会を確保するために交付しているものであり、機械的な運用を行うことなく、特別の事情の有無の把握を適切に行った上で行うこと。
 一方、国民健康保険においては収納率の向上はその保険運営上極めて重要であり、悪質な滞納者については、従前どおり、滞納処分も含めた収納対策の厳正な実施に努めること。
2 子どものいる滞納世帯に対する資格証明書の交付に際しての留意点
  子どものいる滞納世帯に対する資格証明書の交付についても、1のとおり、機械的な運用を行うことなく、特別の事情の有無の把握を適切に行った上で行うことが必要であるが、先般協力をいただいた資格証明書の発行に関する報告の結果をみると、その運用には差異が見られるところである。
 このため、特に子どものいる世帯については、資格証明書の交付に際してよりきめ細かな対応が求められることから、以下の事項に留意して取り扱うこと。
(1)事前通知及び特別事情の把握の徹底
   資格証明書が交付されることについて、滞納者が理解することなく行うことがないよう、可能な限り文書だけでなく、電話督促や戸別訪問等の方法により滞納者との接触を図り、その実態把握に努めるとともに、滞納者に対し滞納が継続すれば資格証明書の交付を行うこととなる旨の周知を図ること。
 その際には、納付相談の奨励に加え、生活保護や多重債務問題等の庁内相談窓口の周知も併せて行い、滞納者が相談を行いやすい環境を整えることや、相談機会の確保に努めること。また、他部門に相談のあった滞納者の事例について、情報共有ができるよう、庁内の連絡体制の整備に努めること。
 また、資格証明書の発行に際しては、市町村の実情に応じ、別添の他市町村の取扱いも参考に、より公正な判断が行われるよう努めること。
(2)短期被保険者証の活用
   短期被保険者証を経ずに、資格証明書を交付するのではなく、資格証明書の交付までには、可能な限り短期被保険者証を活用することにより、滞納者との接触の機会の確保に努めること。
(3)養育環境に問題のある世帯に対する対応
   子どものいる滞納世帯に対しては、特に、(1)のとおり、家庭訪問等により実情把握に努めることとするが、その際、市町村の児童福祉担当部局の助言を得っっ、家庭内が著しく乱れている等の実態がみられるなど養育環境に問題のある世帯を把握した場合には、市町村の児童福祉担当部局や児童相談所と密接な連携を図ること。
 資格証明書発行後においても同様の対応を図ること。
(4)緊急的な対応としての短期被保険者証の発行
   世帯主が市町村の窓口において、子どもが医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、保険料を納付することができない特別な事情に準ずる状況であると考えられること、資格証明書が納付相談の機会を確保することが目的であることにかんがみ、緊急的な対応として、その世帯に属する被保険者に対して、速やかな短期被保険者証の交付に努めること。
(以上)


 参議院決算委員会での質問主意書にある質疑の内容は以下のとおりです。


平成20年11月17日参議院決算委員会議事録より

○仁比聡平君 続きまして、お手元に資料をお配りしたかと思いますけれども、国民健康保険の資格証明書とそれから保険料の問題について、あとの時間お尋ねしていきたいと思うんですね。
 この間、私どもも求めてまいりましたが、実態調査が行われまして、十月三十日に、資格証の交付世帯が全国で三十三万七百四十二世帯、その中で子供さん方がいる世帯が一万八千二百四十世帯、子供の数にして三万二千九百三人という、こうした子供たちがいわゆる無保険という状態になっているという衝撃的な実態が今大きな問題になっているところでございます。
 これを受けまして、全国の多くの市町村でこの事態を解決するための取組が起こっていますけれども、なお市町村の受け止めに差異があるというふうにも私は感じているんです。
 そこで、今日は、この実態調査とともに、厚生労働省が出されました通知、この意味について大臣によく伺っていきたいと思っております。
 この問題では、私は現場の実態を示して何度も担当課と改善を求めてきたんですが、今日も一つだけ例を挙げますと、大臣も御出身の福岡で、私もそうですが、ある小学生の男の子が、虫歯で歯医者さんに通院をし始めたんですよね。で、三か月来たんだけれども、それで来なくなって、病院から連絡をしても家庭の事情で行けませんという返事のまま一年半たちまして、学校の歯科の検査、これで絶対に行きなさいともう言われて、病院にやっとこさ来たときには全部の歯が虫歯になって、歯槽膿漏それから口腔内感染症、全部の歯を抜歯しなければならないと、小学生でもう全部の歯を抜かなきゃいけないという、そういう事態になってしまったというわけです。
 この家庭の事情といいますのは、お父さんの失業です。これによって、窓口での十割、全額負担ができなくなってしまった。こうした形で、子供さんのいる世帯から保険証を取り上げてきたその国保行政そのものが今正面から問われていると思うんですね。
 こうした事態を受けまして、私がまず感じますのは、病気になったときにまず行くのは病院のはずなんじゃないのか、国民皆保険というのはそういうことなんじゃないのかということなんです。
幾人ものお医者さん方から、市町村の担当者に保険証を取り上げていいかどうかの判断が付くのかと。保険証の交付だったり、その短期だったら期間ですね、この必要性の判断というのは本当は医者しかできないんじゃないのか。だけれども、これまでは、お医者さんが医療の必要がある、病院に来てもらわないと大変なことになると言っても保険証が出されないという、そういう事態が続いてきました。 
 今回お配りをしております通知の二枚目、緊急的な対応というところで、短期被保険者証を速やかに交付するということを市町村に求める通知を出しておられるわけですが、私が申し上げたような背景事情も含めて、大臣から、この緊急的な対応というものがどのようなもので、どういう趣旨でこういう通知をなされたのか、是非お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) その前に申し上げておきたいんですけれども、まず、この資格証明書を始めとする話、まずは滞納している状況がどういう状況であるかということをまずきちんと把握する。そういう意味で、とにかく窓口に相談に来てもらう、またこちらから行く。家庭がどういう状態であるか。特別な事情があって払えない。そういうときには様々な減免措置があるわけですから、そういうことをやっていただきたい。
 それから、これはもう市町村の福祉部門との連携、保険部門だけではなくて、これが極めて重要で、児童福祉関連の諸施策もこれに対応させる。そういう中で、今おっしゃった緊急的対応の短期被保険者証を発行する。これを発行することによって、またそこでいろんな相談もできます。
 そういうことで、とにかく緊急措置として、そういう状況であればこれを発行すると、そして子供たちの健康を守っていく。そういう趣旨でこの緊急的対応をやりなさいということであります。
○仁比聡平君 この通知文そのものを読めば分かるといえば分かるんですけれども、この通知文が正面からすべての自治体に受け止められているんだろうか、理解されているんだろうかという点がいささか私に疑問に思う向きがあるものですから、ちょっと大臣に更にお尋ねをしたいんですが、この緊急的な対応としての短期被保険者証の発行については速やかな交付に努めていただきたいというふうになっております。
 従前は、滞納がある場合、あるからこそ資格証の発行になっているわけですが、例えば私が相談を受けた事案でいいますと、六十万円ほど滞納をしていると。子供が階段から転げ落ちて顔面骨折、どうしたって病院に行かなきゃいけないと。窓口に行ったら、それでも二分の一は払ってくれないと保険証は出せませんと、一点張りなんですよ。三十万円なんていうお金が払えるんなら、もうこうした滞納なんかはしていないわけですよね。そういう機械的な対応が現実にあるわけです。
 ここに言う緊急対応としての速やかな交付というのは、これは、そういった滞納額との関係では一体どうなるのかという点はいかがでしょうか。大臣、どうぞ。
○政府参考人(水田邦雄君) お答えいたします。
 今回の対応につきましては、申出があれば出すという趣旨でございまして、半分払うとかいうことではなくて、申出があれば出すということでございます。
○仁比聡平君 その点を是非自治体にも周知をいただきたいと思うんですね。
 元々保険証というのは、けがや病気になったときに役所に取りにいくものではなくて、そういった病気やけがのリスクに備えて日常的に持っている、だから安心というのが当たり前であって、それが国民皆保険制度の本来の姿だと思うんですよ。ところが、現実にはそうなっていないからこそ、こうした子供たちの無保険と言われる状況が深刻になっているわけです。
 今の局長が御答弁いただきました世帯主の申出ですが、ここについては、医療の必要性あるいは一時払いが困難であるという、この二点についての申出があればという、それが要件だということで理解してよろしいですか。
○国務大臣(舛添要一君) 一時払いが困難であるという申出さえあれば結構で、医療の必要性という要件は必要ではありません。
 そして、これ十月三十日に直ちにこの通知を発出しろと私が言ったのは、今言ったような、私も北九州なんで、そういうことがあるのは極めてこれは残念ですので、きめ細かい対応をするようにする、もし、徹底してこの趣旨を、今のように熟知していないところがあれば更に指導してまいりたいと思います。
○仁比聡平君 今大臣がおっしゃっていただいたとおり、医療の必要が生じていることを何か示す必要はないんだというお話で、これつまり、少し裏返しますと、市町村で、あるいはその窓口の担当者において医療の必要があるのかないのかということを判断することはそもそもができないということだと思うんですが、いかがですか。確認でございます。
○国務大臣(舛添要一君) それはお医者さんじゃないですから分かりません。申出があれば即出すと、こういうことが趣旨でございます。
○仁比聡平君 そういった緊急的な対応の趣旨を是非徹底していただきたいと思っております。
 それで、先ほどの答弁の中で大臣がおっしゃった、そういった短期保険証の緊急的な発行というような事態に立ち至る前の納付の相談などの問題なんですが、時間がありませんから全面的には伺えないんですけれども、この通知の一枚目の一番冒頭の一般事項、まあ原則的な厚労省の認識を示しておられるところかと思いますけれども、ここにおいて、資格証明書は「機械的な運用を行うことなく、特別の事情の有無の把握を適切に行った上で行うこと。」というお話がございまして、その趣旨を先ほど大臣はおっしゃったんだと思うんですが、この機械的な運用というのは一体どういう状況を指して機械的だと言うのかというのを少し確認をしたいと思うんですけれども。
 私、この質問に先立って勉強をさせていただく中で、一年滞納すれば、事情も確認せず、あるいはろくに確認せず資格証を発行する、通常の保険証を返還を求めて資格証を発行する、こういうやり方のことだという、そういうような御趣旨の発言も伺ったんですが、大臣、そういったことでよろしいでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) まさにそういうことではなくて、機械的にただ何か月だからどうだ、一年だからどうだということじゃなくて、どういう事情であるかと、どういう特別な事情があって払えなくなっちゃったんですかと、それをきめ細かく聞いて対応しろというのがその意味であります。
○仁比聡平君 きめ細かくその事情を聞いて、つまり特別の事情を聞いて対応しろという、その大臣の趣旨はよく私も分かりました。
 私が一年と申し上げましたのは、一年滞納を続けてしまったとき、そのときには保険証の返還を求めると、つまり資格証の発行に切り替えるということが、現場ではこれ義務付けられているという受け止めでずっと運用されているという現実があるからなんですよね。それで一年以上という言葉をちょっと出したんですが。まあそういう意味では、一年でも、あるいは大臣がおっしゃった半年でも構いません、一定の期間滞納があるから、そうしたら直ちに資格証に切り替えるという考え方ではないんだというのが大臣の先ほどの御趣旨ですね。
○政府参考人(水田邦雄君) そもそもその資格証明書を出すことの意味というものは、これは、できるだけ窓口で被保険者の方等の接触の機会を増やすということが本来の趣旨でございます。したがって、この制度の中身をよく理解していただいて、支払能力がある方については支払っていただくということを説得もしますし、それから本当にお金のない人であれば生活保護につなげるとか、様々な手段があるわけでありますので、そういった対話の機会というものをそもそもつくるためにこの資格証明書制度が設けられているわけでございます。
 したがって、一年間出さなかったがゆえに即、その辺を確かめもせずに出すと、資格証明書を出すということは想定していないところでございます。
(以下 省略)


 これらの国会論戦や運動のいっそうの広がりの中で、質問主意書の答弁に書かれている内容につながっていきます。

 特に質問主意書の答弁で「世帯主が市町村の窓口において、当該世帯に属する被保険者が医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申出を行った場合には、当該世帯主は保険料を納付することができない特別な事情に準ずる状況にあると考えられることから、緊急的な対応として、当該世帯に属する被保険者に対して短期被保険者証を交付することができることとするもの」との内容を明らかにした点と合わせ、「留意事項通知やそれに関する厚生労働大臣などの答弁を踏まえると、国民健康保険料(税)の滞納が一年をこえた世帯について、当該世帯に属する者が糖尿病の治療を継続しているなど医療を受ける必要が現に生じており、かつ、医療機関に対する医療費一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には保険料の納付ができない特別な事情に準ずる状態にあるので国民健康保険被保険者証の返還を求めることはできないのではないか。」との質問に対し、答弁書では「御指摘のような申出がなされた場合には、市町村において、一についてで述べた考え方も踏まえ、被保険者証の交付又は返還請求の是非を判断すべきものである。」として、医療を受ける必要がある被保険者に対する保険証の返還の是非についても、市町村はその事態を受け止め判断することを求めている点です。



(以上)









 

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