京都社会保障推進協議会ブログ

京都社保協のニュースや取り組み案内、タイムリーな情報・資料などを掲載していきます。

社会保障まるごと学習会・第2弾

2012年11月05日 14時24分26秒 | 学習会の案内

消費税増税の中止!社会保障制度改革推進法の撤回求め!

社会保障まるごと学習会を開きます

テーマ  「税と社会保障の一体改革」の正体(仮)

講 師  渡辺 治先生(一橋大学名誉教授)

と き   2012年11月18日(日)午後2時~

ところ   登録会館2階ホール

               (中京区烏丸通御池上ル東側2軒目・地下鉄烏丸御池駅下車1分)

参加費  無 料

             民主・自民・公明3党談合で、消費税増税と戦後勝ち取ってきた社会保障制度を根底から崩壊させる「社会保障制度改   

             革推進法」が成立しました。しかし、世論は増税が決定してからも、反対の意見が過半数を超えるなど民意とはかけ離れ

             た政治に国民の怒りは増しています。

             いま、一体改革の正体を明らかにして消費税中止、社会保障制度改革推進法を撤回させる道を大いに語っていただき

             ます。多数のご参加をお待ちしております。

 


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2012年11月02日 15時00分27秒 | 介護保険不服審査請求

第34回総会63人の参加で議論

消費税増税中止・社会保障制度改革推進法撤回

にむけて、学習・宣伝・署名に全力をあげよう!

9月27日、ラボール京都で京都社保協第34回総会を開催しました。会場には加盟21団体、12地域社保協から63人が参加して、民主・自民・公明3党の談合で決まった消費税増税・社会保障制度改革推進法の実施を止めようと、熱気にあふれた学習・交流・討論を行いました。

総会は魚山副議長の司会ではじめ、冒頭に林光一副議長から開会あいさつを行いました。

  林副議長は、社保協というのは社会保障の推進に向けて各団体が活動しているが、そのことが生活弱者をはじめ、いろいろな面で困っておられる方の唯一の拠り所であり、いま最もそれが求められている時局であると思っています。そういう意味でこの総会では今までの活動、これからの運動を議論し、議案を審議いただきたいと結びました。

続いて、佛教大学教授の岡祐司氏から「消費税増税と社会保障の危機を考える」というテーマで、記念講演をいただきました。以下はその概要です.

(文責:社保協事務局)

記念講演「消費税増税と社会保障の危機を考える」

岡祐司氏(佛教大学教授)

今の政治経済情勢は、新自由主義改革の反転攻勢

今の消費税増税と社会保障の危機という一体改革の局面は、全体的な政治経済情勢から言うと民主党政権のもとでの新自由主義改革の反転攻勢、パソコンに例えれば財界はじめ支配層がフリーズしかかったものを再起動している状況、やられっぱなしという風に見えるかも知れないが、構造改革と言われる新自由主義改革を強烈に進めたい財界の側からみれば、この間国民の運動だとか世論に押されて、思うように「改革」が進んでいないのが現状だ。

民主党への政権交代とは何だったのかというと、いわゆる新自由主義改革=小泉構造改革を強烈に進めることが自民党ではできなくなってきた。つまり新自由主義改革プラスアメリカ追随型の政治では政権交代が絶対起こりえなかったという状況です。

そして構造改革勢力の急速な巻き返しのなかで野田政権が誕生し、マスコミが、苛立つ財界やアメリカの代弁をする中で「税と社会保障の一体改革」に進んでいったということです。

一体改革の本質は社会保障費の抑制と消費税の基幹税化

「税と社会保障の一体改革」の本質は、端的に言うと1つは、増大するであろう社会保障需要に対して未然に対応策を打って、多少増大しても公的保障が拡大しないような仕組みをつくっておく。第2は仮に社会保障が増大しても、それが大企業を中心にした企業負担に直結しないような財政の仕組みをつくっておこうということです。

消費税の増税は、今後の日本の税制改革をめぐって消費税を基幹税化していく、これを基本の税金にしていくという流れです。単に5%が10%になるという話しだけではなくて、所得税とか法人税ではなくて消費税そのものを基幹税化していくという流れだということです。そういう点でも非常に問題の多い改革です。

一体改革とは消費税増税と法人税の一層の減税

消費税の増税というのは、法人税率の切り下げとセットになっている。今回の、「税と社会保障の一体改革」の起源は2008年の経団連の提言にある。しかし、経団連の提言は2008年に突然出たわけではなくて、やはり小泉構造改革に対する不満。小泉時代は、小泉だとか竹中のような歳出削減は徹底してやる、しかし消費税の増税はやらない。歳出カットをすれば十分だ.

というところが主流を占めていた。財界の方はそれだけではだめだ、お金を出す方は削減してきたが、お金を取る税体系の方の改革をしていない。それでは社会保障の機能強化にはならないということで、「税・財政・社会保障制度の全体を見通して歳出構造の改革と税体系の改革を同時かつ一体的に進める」。これが消費税の増税、法人税の一層の減税です。

消費税の増税によって社会保障の機能強化が必要

一方、社会保障をめぐっては、これだけ格差・貧困が広がり、地方が疲弊してくれば一定の社会保障需要は発生する、そうすると社会保障の機能を強化してある程度それに応えざるを得ないのではないかという議論がある。構造改革による新自由主義改革の矛盾が非常にはっきりしてくると、社会保障に対する需要が増えてくる。その時に一定程度社会保障が、例えば量的に拡大しているとか、ある程度の役割とか機能を持っているということを見せる必要がある。そのためには、社会保障を動かす。そうすると社会保障の財源が必要になってくる。ところが、法人税とかはぐっと落としていっているから、もう見込めるのは消費税しかないということで、消費税をむしろ基幹税化してそこで社会保障需要に応えるような機能強化をさせていこうということです。

社会保障のあり方、考え方を解体する一体改革

そうなると実は、社会保障のあり方とか考え方そのものを大きく転換させる必要があります。それがこの間の一体改革の議論です。消費税を基本的には社会保障財源に当てるということになると、ほとんど国民の負担ですから国民の相互扶助的な負担、保険料もそうですね。ほとんどそうなってしまって、いわば社会保障・社会保険を成立させている根幹にある国家の負担と資本の負担を外していくという流れです。つまり、社会保障そのものを考え方も含めて大きく解体すると。

この間、議論されているのは世代間所得再分配ということ。つまり、社会保障というのは世代と世代の支え合いだったという間違った理屈を持ってくるということです。高齢者の世代を若い世代が支えているとか、相対的に高齢者が得をしていて、若い世代が損をしているんだという世代間対立をあおる議論です(社会保障制度改革推進法第1条・第2条)。共助・公助、そして家族相互および国民相互の助け合いの仕組みを通じてやっていく。つまり、社会保障とか社会福祉は国民の間の助け合いなんだと、ここに議論を落としてしまうというか、転落させるような話しです。

財政赤字だから消費税を上げなければならないのか?

よく財政赤字の問題が言われ、だから消費税だと言われますが、消費税を10%にしたところで、日本の財政赤字にとっては焼け石に水なわけですね。この間、歳出に占める一般税収の割合というのはますます下がっている。この減った主な原因というのは、やはり法人税の減税とか富裕層の所得税の減税です。基本的に所得税・法人税を大幅に減らしてきて、歳出の方が大企業向けの開発に使われてきたことが財政赤字の主要な原因だということです。富裕層にきちっと課税をして税収を上げ、法人税率の課税を強化し、さらに法人の内部留保に対して過剰資金だということで適正に課税して税収を上げて、雇用を改善し国民生活を安定させて、国内の需要・消費を一定喚起して景気を安定させるという方向性を選ぶのか、消費税を増税して法人税の減税を行って、内部留保にも手を付けず、過剰資金をさらに増やしていき、そして雇用者報酬を減らしていってデフレスパイラルどころか生活悪化、業者が本当につぶれていくようなスパイラルをつくっていくのかということが大きな争点になっているということです。

国家財政の歳出目的は本来福祉目的である

いずれにしても、①一体改革の中で強調されているような自助・共助・公助で、歳出の中で社会保障を別枠にしてやるということではない。そもそも国家財政の目的そのものが、一般歳出の目的が基本的には福祉目的でなければならないということ。だいたい社会保障にもし消費税を当てるとして、じゃそこだけ取り出した一般財政というのは何に使うのかということになろうかと思います。一般歳出の全てが本来は福祉目的であって、むしろ法人税だとか所得税とかその他の税制を含めて、それが広い意味で福祉目的に使われる。

財政民主主義を徹底して、応能負担原則を

②財政民主主義の徹底。応能負担の原則をもう一度再生するということ、過剰資金に適正に課税をするということ、富裕層と法人大企業の大変やさしい減税策を止める。それから国民の最低生活水準ですね。この間、全労連が熱心に取り組んでいますが、国民最低生活費用、最低生計費を明らかにして最低賃金を引き上げて暮らせる賃金をつくっていくと。そして、雇用です。この間の、雇用者報酬の減少とかいうのは明らかに雇用破壊の効果なので、正規雇用を増やし、雇用確保をしていって安定的な生活の道をつくる。国際的な視野から見たら決して日本の法人の負担が途方もなく重いというわけではない。むしろ、かなり低いグループに入っていると言えます。そういう意味で国際的視野から法人税をきちんと課税するとか、あるいは様々な金融通貨取引税等を強化するという税制の適正化が必要だということになろうかと思います。

一体改革は消費税の基幹税化と福祉の後退

今回の一体改革というのは、単なる税率アップではない、むしろ、今後消費税を基幹税としてしまおうという流れで来ている。名目として社会保障機能強化で来ているけれども、社会保障そのものは給付の削減とサービスの営利化・市場化路線を変えているわけではありませんから、機能強化はおこらないということです。むしろ、極めて限定的な給付と個人負担が増える状況になりますから、社会保障のあり方そのものが問われるということになろうかと思います。ちょっと短い時間でしたので、全てを報告しているわけではありませんが、政党の構図は別にして、やはり我々は今新自由主義的な改革に対して真正面から運動すると、そして我々は新たな福祉国家構想と言っていますけれども、これに対抗する社会構造というか、改革の構図を打ち出していく必要があるということを感じています。

南事務局長が活動報告と方針案を提案

 総会は、西京社保協の鍛冶貝事務局長が議長を務め、議案の審議に入りました。南事務局長から、①昨年度の活動のまとめ、②今年度の活動方針を提案。続いて稲村事務局次長が2011年度決算と2012年度予算を提案、矢野監事が監査報告を行いました。討論では、6団体・2地域社保協から発言がありました。内容は次のとおり。

6団体・2地域社保協が発言

 ①京都生活と健康を守る会連合会の大本さんは、生活保護への攻撃がつよまっていて、来年度予算で生活保護基準の引き下 げが検討されている。国民生活に大きな影響を与える。生存権裁判は、大阪高裁で原告敗訴の不当判決だったが、最高裁に上告して、最後まで闘うので署名や街頭宣伝への支援を。

②京都障害者の生活と権利を守る連絡会の松本さんは、障害者自立支援法を廃止して総合福祉法をつくる運動をしてきたが、総合支援法になり裁判での基本合意や骨格提言が生かされていない。障害者の権利保障の考え方を入れるとか1割負担をなくすようさらに改善を求めて行きたい。

③年金者組合の長田さんは、今年介護保険の見直しで保険料が2割アップとなった。年金は下げられ、支出はどんどん増えていくという状況に我慢できないと、介護保険不服審査請求の運動に取り組んだ。京都府全体で1154人が提出してがんばっている。

④右京区常盤野社保連の田阪さんは、学区で8団体1オブザーバーの構成で社保協運動を進め、いろいろな取り組みをしている。なんでも相談会は常盤野以外の4学区に広がっている。ぜひ各団体の学区にある班や分会の力で草の根で学区単位の社保協運動をつくっていこう。

⑤保育運動連絡会の能塚さんは、昨年来、保育新システムに反対一色で運動してきた。世代交代が進む中、若い世代が関心を持てる工夫をしている。10月から学習会と反対署名をスタートし、11月には国会議員要請を行うので支援を。

⑥高齢者運動連絡会の重本さんは、9月29日にラボール京都で京都高齢者大会を開くので、出席をと要請。

⑦北社保協の葛西さんは、ここ3年くらい総会を開いてないが、事務局会議は毎月・街頭宣伝も毎月行ってきて、12月に総会を開く。プレ企画として11月13日に格差と貧困をテーマにしたシンポジウムを開く。

⑧京都商工団体連合会の益田さんは、社会保険料や国保料の滞納が増えており日本年金機構などが納付誓約不履行で直ちに差押えを行ったり、本人だけでなく連帯義務者の配偶者に世帯主の給料や財産を差し押さえると通告している。国税徴収法では納税緩和措置もあるので、それも適用して無理な差押えや徴収強化に対する運動を強める。国保は法的に納税緩和措置がないので、社会保障としての国保を充実させるために学んで、知って、知らせるという運動を広げたい。

討議の後には、事務局次長の藤岡孝之さんから新しい役員体制が提案され、全員拍手で承認されました。最後に、閉会あいさつを梶川副議長が行い、岡先生のお話しを聞きながら「自己責任」、「弱肉強食」というのがもう一度本格的に頭をもたげた。私たちが本当に運動の中からしっかりと闘い抜いていく。1つ1つの運動を練り上げて横につなぎ、地域でつないで先程学区でつなぐという話しもありましたが、社会保障の大きなうねりを私たちの側から作りだしていくという、社保協の役割発揮のときではないかと結んで総会を終わりました。

新役員体制

議  長     津田光夫(保険医協会)

副議長      魚山栄子(新婦人)       尾崎 望 (民医連)            梶川 憲 (総評)           松本隆浩(医労連)

事務局長    南 博之 (自治労連)

事務局次長  稲村 守 (総評)            藤岡孝之 (民医連・新)         坂田政春 (医労連)            西浦 哲 (福保労)

            西山英利 (自治労連)

運営委員    池添 素 (京障連)           井手幸喜 (京保連)             浜松 章 (保険医協会)            長田 豊 (年金者組合)

          佐藤陽子 (自治労連)       珊瑚雅統 (京建労)            杉山 勉 (高運連・新)        益田真理 (京商連・新)

           多田哲子 (府職労連・新)     中村東輝子 (生健会)         中本邦彦 (京都国公)        浜辺勝美 (歯科保険医協会)

           南 隆一 (市職労)           柳生剛志 (医労連)            森脇芳男 (全厚生労働組合OB)

 監  事    岩田正勝 (府患者同盟)      矢野芳彦 (京都国公)

 事務局  北山善敬