Senboうそ本当

広東省恵州市→宮崎県に転居。
話題は波乗り、流木、温泉、里山、農耕、
撮影、中国語、タクシー乗務、アルトサックス。

《2017 变形计》 第十三季  “青春的痛点” 05-06期

2017年06月07日 | テレビ番組(中国)

今年も4月から放映スタートした人気TVシリーズ《变形计》。5月13日、20日、27日で計6本放送された“青春的痛点”を3回に分けてたっぷり紹介します。今回は5月27日に放映された最終話。わずか1ヶ月で「不良少年たち」が「好青年」に・・・こんなのヤラセだと思いますか? 私はこの番組を通じて中国の庶民の “良心” を強く感じます。


貴州の田舎にやってきたのは马艺华(ma yi hua)のお母さん。马建降(ma jian jiang)と一緒に山道を登っていきます。この番組の「お約束」で、最後に家族が突然現れて少年たちのリアクションをいただくというもの。わが子がいったいどんな環境で生活しているのか、母親としては気が気でありません。


山道に不慣れなお母さんを けなげにサポートしていた马建降ですが、山頂で待つ両親のことを思うと心が焦ります。お母さんには申し訳ないけど 「僕は先に行ってるからね」と宣言するなり山道を駆け上がっていきます。山道の途中「コンクリート」と「竹の柵」が施されているところにさしかかると「前はこんなの無かったのに」と驚いています。


ちょっと時間を遡って、都会の小学校の教室。放課後、马建降は同級生の女の子 博納(bo na)を気遣います。彼女だけいつも家族の迎えが遅く、待ちぼうけをくらっています。おせっかいな話ですが、彼女の両親がもっと子供に寄り添う時間を作ってくれないか・・・と強く思いました。


晩御飯を自分たちで作って 両親を驚かせよう。これは马建降と博納、2人で考えた作戦です。彼女はお金を用意してなかったので 马建降の全財産(100RMB)を使うことになりました。本当はこのお金で実家に常備薬を買って帰るつもりだったのですが・・・自分が言い出した計画なので 引っ込みがつきません。


野菜を刻んで、中華鍋で炒めて。とても小学3年生とは思えない手際の良さ。すっかり準備が整いました。


まもなく博納の両親が帰宅。お父さんはフランス人。これは余計な解説ですけど、サプライズと言うのは半分は嘘だと思います。理由は簡単、家の中に撮影スタッフが大勢いますが当然事前に博納の両親から了解を取っているはずです。(帰宅して家の扉を開けたら知らない大人がいっぱいいた・・・これだともっと固い表情になる) 子供たちは「作戦成功」と思ってるでしょうけど、両親は「それを演じている」のです。だから半分だけ本当で半分は嘘。

 


楽しい食事が進んで、いい雰囲気に。いよいよ马建降が本題を切り出します。「お仕事たいへんだろうけど、もっと博納をかまってあげて・・・」 でも博納のお母さんは「オトナにはオトナの事情があるの」といった反応。「私だって せいいっぱいの愛情と時間を注いでいるのに・・・」 残念ながら両者の話はすれ違いで終わりました。
でもよく考えたらお母さんの反応は誠実さの証でもあると言えます。もしもあの場面で「アナタの言う通りね、これからは博納との時間をいっぱい作るように努力するわ・・・」と返答していたら、番組としてはすっきりするかも知れませんが できもしないことを約束→結果として何も行動が変らない としたら、家族間の溝がますます深くなるだけです。正解は1つだけではないと思いますが、この問題は親子が時間をかけてしんぼう強く取り組まないと解決できません。


場面は貴州の山村。ヤギが1頭 行方不明です。皆で手分けして捜索します。

ここでこの番組の構成についてひとこと。「田舎」と「都会」で同時進行している話なので、番組途中で何度も場面が切り替わります。そればかりか時間軸も変則的。突然3日前に飛ぶことなんかもあり、油断なりません。なんでそんな編集になるのか? 私が思うには「その方が面白いから」です。普通に時間経過に沿って編集すると、次の展開が予想できてしまうので やや退屈に仕上がってしまいます。かといってやり過ぎると支離滅裂になってしまいます・・・この番組は編集も洗練されてるってことです。


行方不明だったヤギが見つかりました。どうやら足を滑らせて転落死したようです。お腹の中には子供が。家畜としての市場価値は2000RMB以上あります。少年たち3人の日当150RMBと比較すると損失の大きさが実感できると思います。


この事故をきっかけに、少年たちも加わって山道に安全対策を施すことになりました。まずは竹林で手ごろな長さに竹を伐採。


竹を縦横に組んで安全柵を設置。


仕上げにセメントをこねて、足元を部分的に舗装。小さな子供も安全に通れるようにと、肉体労働に汗する少年たち。この時彼らは「自分のために」ではなく、「誰かの役に立ちたい」という気持ちになっています。
(この日は1箇所の安全対策を行っただけで、他にもたくさん危険な箇所が残ってます。) 

前半(05期)はここまで。

 

ここからは後半(06期)


都会の小学校ではいよいよサッカーの試合が始まりました。選手には選ばれなかった马建降(ma jian jiang)ですが ピッチの外で応援します。


そしてハーフタイム、監督がマイクを持って場内アナウンス。「貴州の山村から参加した少年、本来なら出場の資格はありませんが 今日は特例として出場させることにしました・・・」 “僕も出たい” という生徒は他にもいっぱいいます。その子たちの気持ちも考えると、こういう手続きが必要なんです。


得点場面には絡むことができませんでしたが、初めてユニフォームに袖を通すことができた马建降 いい表情しています。


いよいよ最終日。本人は忘れていましたが この日は马建降の誕生日でもあります。いつも通りに教室の扉を開けると教室はきらびやかなパーティー会場に。両親からのビデオレターまで用意されていました。




誕生パーティーの終盤になって 先生が今日がお別れの日であることを告げました。


場面は変って貴州の田舎。马建降の隣には马艺华(ma yi hua)のお母さん。このシーンが 前半(05期)の最初のシーンに繋がっているわけです。


山道の途中から単独で登り 一足先に到着。家族と談笑する马建降

 
少し遅れてから 马艺华(ma yi hua)の母親が到着。 いますぐ駆け出していって抱きつきたい、という気持ちとは裏腹にじっと母親の姿を見守ります。 


马艺华も母親も 相手が変化したことにすぐ気付きます。马艺华は表情が明るくなったばかりでなく、相手のことを気遣うことができるようになりました。母親は 子供と少し距離を置いて接することができるようになりました。 上の場面は 雨水を煮沸した飲用水を「だいじょうぶ、お腹をくだすのは最初だけだから・・・」と言って 母親に差し出す马艺华。自分が体験したカルチャーショックを 母親に少しでも分かってもらいたいのです。


みんな揃ってにぎやかに食卓を囲みます。あとは2人の少年の家族の到着を待つばかり。この時すでに康秭弋 (kāng zǐ yì)の両親が山の中腹でぜーぜー言いながら山頂を目指していました。


小屋の入り口にたどり着いた母親。感極まって目には涙が溢れています。その姿を見て康秭弋も感動します。


少年たちは伝統的な民族衣装で正装。みんなで揃って記念撮影。


「両親の言うこと よく聞くんだぞ」 马建降のお父さんも涙ぐんでます。


2人の少年が立ち去り、刘思琦(liu si qi)だけが取り残されました。もしかして、うちの家族は来ないんじゃないか? 不安がふくらみます。


ずいぶん遅くなりましたが やっと刘思琦の家族も到着。これで少年たちの变形计は終了です。

さきほど马艺华と母親が再会する場面でも触れましたが、修正が必要なのは少年たちばかりではないというのが 番組のウラ側に隠されたもう一つのテーマ。刘思琦の父親は娘を甘やかすばかりで、娘の精神的な成長を考えずに振舞っていました。马艺华の母親は、離婚して片親になって以降 過剰に子供に干渉したことで親子関係の歯車を狂わせてしまいました。
親子が完全に分かれて暮らす “1ヶ月” という時間は、自分たちの関係を冷静に振り返り 見直すにはちょうどよい時間のようです。おまけに今回は、長く険しい山道を登っていかなければわが子に再会できないというアトラクション付き。父親も母親もこの山道を進みながら さまざまなことを考えるわけです。そんな険しい山道だからこそ 少年たちも、わざわざ自分を迎えにこんな僻地まで来てきてくれた家族の行為に感動するんです。

 

日本からでも下記アドレスにアクセスすれば無料で番組視聴ができます。ただし中国語で。

2017 变形计》 第十三季  “青春的痛点”   (05-06期)  この回だけですでに4200万回視聴されています。
http://www.mgtv.com/b/312654/3950114.html

 

 


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