さて、第963回は、
タイトル:瞳のなかの王国(全3巻)
著者:岡野史佳
出版社:白泉社 花とゆめコミックス(初版:'92~)
であります。
初版が92年って……古いなぁ。16年も前だし。
……と言うか、岡野さんの作品は好きな作品がたくさんあるにも関わらず、目録見るといままで一度も紹介したことがないとは思わなかったなぁ。
てなわけで、先々週に引き続き、マンガネタですが個人的に岡野作品の中ではトップ3に入る本作。
ストーリーは、
『高校1年生の倉本深青は、朝のテレビで放映されていたイルカショーの話題に興味を引かれ、放課後、その水族館へ足を運んだ。
イルカショーはもう終わっている時間帯だったが、ショーが行われているプールへ向かった深青は、プールでイルカと親しそうにしている少年を見かける。
その少年はおなじ高校の1年生で、遅刻・早退は当たり前、無愛想で不良だと噂の幾見一矢だった。
けれど、水族館でイルカと戯れるときの姿に惹かれる深青は、水族館へ足繁く通うようになり、次第に一矢と、その友達であるイルカのドリー、水族館で働く一矢の従兄やトレーナーの雪乃と言った関係者と親しくなっていく。
そんな中、芸の飲み込みが早く、頭のいいドリーに言葉を憶えさせようとする試みをきっかけに、一矢とドリーを取り巻く環境は大きく変わっていく。
テレビの取材をきっかけにした騒動や、ドリーをより本格的な実験を行うために水族館から移動させる話……そうした中で、一矢は協力する代わりに条件を出した。
ドリーを海へ帰す……それがかなわなければ実験の話を呑む、と。
しかし、それは一矢にとって最悪の結果を生み出し、深青は様々に揺れる一矢の姿を見るに従って、より一矢に惹かれていく。』
平たく言えば、水族館で飼われているイルカのドリーを介して描かれる深青と一矢のラブストーリー……と言うことになるのだが、雰囲気をとても大事にする感性派の私にとっては、ストーリーもそうだが、それ以上に作品の中に描かれる「海」の青さや包容力と言った雰囲気に、十二分に浸れると言うのがこの作品が好きな最大の理由のひとつ。
とは言っても、単に雰囲気だけかと言うとそういうわけではなく、主人公でありヒロインの深青という名前や、タイトルにあるキーワードなどを効果的に作品中に織り込んで描かれており、作品そのものの作りもけっこうしっかりしている。
もちろん、深青と一矢ふたりだけの話ではなく、一連の中で別のメインキャラの話もあって、そうした話がより深青と一矢の特徴を際立たせていたりと、そつがない。
また、ラブストーリーとは言いながらもさぶいぼが立つようなタイプの甘々さ加減はほとんどないし、ラストのハッピーエンドもしっとりと落ち着いたものになっていて、恋愛ものが苦手なひとでもあっさりと読めるのではないだろうか。
ただ、全編通して透明感のある落ち着いた作品なので、盛り上がりには乏しいし、毒と言った要素は皆無。
そういうところはまったく期待しないほうがいい。
逆に、濃ゆい作品ばっかり読んで食傷気味のときの清涼剤としてはいいかもしれない(笑)
とは言え、手に入るかなぁ、この作品……。
岡野さん自体、もう白泉社から別のところに移ってるから古本屋以外で手に入れる術がないのは痛い。
つか、それでなかったらもうダメだしなぁ。
まぁ、読んでみたい、と言う場合には古本屋を気長に探し歩くしかないでしょう。
てなわけで、雰囲気を楽しめる感性派にはオススメの部類に入るんだけど、入手性の悪さとか、盛り上がりに欠ける展開と言った欠点があるので、文句なし……とはやはり言い難いかねぇ。
もっとも、全3巻で短く、あっさり読めるし、いいところもあるので、及第には違いないんだけど……良品とまではぎりぎり言えない、そんなところかな。
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タイトル:瞳のなかの王国(全3巻)
著者:岡野史佳
出版社:白泉社 花とゆめコミックス(初版:'92~)
であります。
初版が92年って……古いなぁ。16年も前だし。
……と言うか、岡野さんの作品は好きな作品がたくさんあるにも関わらず、目録見るといままで一度も紹介したことがないとは思わなかったなぁ。
てなわけで、先々週に引き続き、マンガネタですが個人的に岡野作品の中ではトップ3に入る本作。
ストーリーは、
『高校1年生の倉本深青は、朝のテレビで放映されていたイルカショーの話題に興味を引かれ、放課後、その水族館へ足を運んだ。
イルカショーはもう終わっている時間帯だったが、ショーが行われているプールへ向かった深青は、プールでイルカと親しそうにしている少年を見かける。
その少年はおなじ高校の1年生で、遅刻・早退は当たり前、無愛想で不良だと噂の幾見一矢だった。
けれど、水族館でイルカと戯れるときの姿に惹かれる深青は、水族館へ足繁く通うようになり、次第に一矢と、その友達であるイルカのドリー、水族館で働く一矢の従兄やトレーナーの雪乃と言った関係者と親しくなっていく。
そんな中、芸の飲み込みが早く、頭のいいドリーに言葉を憶えさせようとする試みをきっかけに、一矢とドリーを取り巻く環境は大きく変わっていく。
テレビの取材をきっかけにした騒動や、ドリーをより本格的な実験を行うために水族館から移動させる話……そうした中で、一矢は協力する代わりに条件を出した。
ドリーを海へ帰す……それがかなわなければ実験の話を呑む、と。
しかし、それは一矢にとって最悪の結果を生み出し、深青は様々に揺れる一矢の姿を見るに従って、より一矢に惹かれていく。』
平たく言えば、水族館で飼われているイルカのドリーを介して描かれる深青と一矢のラブストーリー……と言うことになるのだが、雰囲気をとても大事にする感性派の私にとっては、ストーリーもそうだが、それ以上に作品の中に描かれる「海」の青さや包容力と言った雰囲気に、十二分に浸れると言うのがこの作品が好きな最大の理由のひとつ。
とは言っても、単に雰囲気だけかと言うとそういうわけではなく、主人公でありヒロインの深青という名前や、タイトルにあるキーワードなどを効果的に作品中に織り込んで描かれており、作品そのものの作りもけっこうしっかりしている。
もちろん、深青と一矢ふたりだけの話ではなく、一連の中で別のメインキャラの話もあって、そうした話がより深青と一矢の特徴を際立たせていたりと、そつがない。
また、ラブストーリーとは言いながらもさぶいぼが立つようなタイプの甘々さ加減はほとんどないし、ラストのハッピーエンドもしっとりと落ち着いたものになっていて、恋愛ものが苦手なひとでもあっさりと読めるのではないだろうか。
ただ、全編通して透明感のある落ち着いた作品なので、盛り上がりには乏しいし、毒と言った要素は皆無。
そういうところはまったく期待しないほうがいい。
逆に、濃ゆい作品ばっかり読んで食傷気味のときの清涼剤としてはいいかもしれない(笑)
とは言え、手に入るかなぁ、この作品……。
岡野さん自体、もう白泉社から別のところに移ってるから古本屋以外で手に入れる術がないのは痛い。
つか、それでなかったらもうダメだしなぁ。
まぁ、読んでみたい、と言う場合には古本屋を気長に探し歩くしかないでしょう。
てなわけで、雰囲気を楽しめる感性派にはオススメの部類に入るんだけど、入手性の悪さとか、盛り上がりに欠ける展開と言った欠点があるので、文句なし……とはやはり言い難いかねぇ。
もっとも、全3巻で短く、あっさり読めるし、いいところもあるので、及第には違いないんだけど……良品とまではぎりぎり言えない、そんなところかな。
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