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ええじゃないか

2014年03月20日 | セレネ美術館

いよいよ、江戸時代も終わりに近づいてきました。

そのころおこった不思議な出来事といえば、「ええじゃないか」ですね。

幕末も幕末な慶応3年(翌慶応4年が明治元年になります)の出来事で、発祥地を巡っては

名古屋、豊橋、京都説などがあります。

空から、ありがたいお札が降ってきて、慶事の前触れと民衆が熱狂的に踊り狂い、

たちまち東海、近畿、四国に広まったといいます。

(ええじゃないかは、西の方の言葉で、東海ではそうした言葉は言わなかったそうです。)

慶応3年8月にはじまり、同年12月に『王政復古の大号令』が発せられると止んだといいます。

まるで誰かの陰謀を疑いたくなるようなタイミングですね。

その「ええじゃないか」はもちろん浮世絵にも描かれております。

 

豊饒御蔭参之図 歌川芳幾 慶応3年1867年

ほうねん(画中の題字のふりがながそうなっています)おかげまいりのず  うたがわよしいく

 

制作年は、まさにええじゃないかの年ですね。その情報の早さがうかがえます。

実際ええじゃないかより、浮世絵で描かれたええじゃないかの方が早く伝わったそうです。

ところで「ええじゃないか」「御蔭参り」は本来別物。

御蔭参りは江戸時代60年に一度(計3回)おこった伊勢神宮への自然発生的な集団参拝をさします。

数百万人が訪れたとか。

勤め先を勝手にぬけだしたり、子供が親に内緒で出かけたりという、

すごい現象でした。

それでも安全に旅ができるのが日本のすごいところ。犬がお参りした例もありますしね。

 

さて、本作品に描かれるのは、のどかな田舎の風景。空には「太神宮」とかかれたお札が舞っています。

その下に40人弱の人々がいて、お札を編み笠で受けようとしたり、手でとろうとしたりしています。

そのしぐさが踊りのように見える人から、のりのりで踊っている(ようにしかみえない)人まで

様々ですが、踊っているのは描かれている人数の半分くらいですね。

残りの人はその様子を楽しそうに見たり、大口をあけて笑ったりしています。中には不思議そうな顔の人も。

画面には「天照皇太神宮」とかかれたのぼりも描かれており、伊勢への参拝の人もいる様子。

人々の顔はマンガのキャラクターそのもの。お年寄りから、あっけらかんとした子供、

つつましやかな女性、健康そうな男性と、まさしく老若男女いろいろな人が表情豊かに描かれていますが、

服装を変えれば、このまま昭和のマンガに描かれていてもおかしくありません。

 

作品から受ける印象は、狂奔というよりは

おだやかな村祭りの大規模なものという感じですね。

実際はもっと熱狂的だったのでは、という意見もありますが、どうでしょう?

絵師は現場を見てこの絵を描いたわけではありませんが、わたしはこの絵のごとくだったのでは、

という気がしています。当時の人々の生活を思えば。

それに、現代日本においても、サッカーで日本が勝利した際にみられた熱狂的な現象と言えば、

交差点が青になると、すれ違う人とハイタッチしながら渡るというものでしたしね。

 

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

セレネ美術館HP

 

 


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