吉左右は、2006年に開業し、昨年とても話題になったお店。濃厚魚介豚骨ラーメン/つけ麺の専門店。夫婦お二人で切り盛りするこじんまりとした小さな店だが,行列の途切れないお店だ。営業時間も昼の四時間だけ。
真夏の暑い日に行ったので,待ち時間は恐ろしいほど長く感じられた。が,回転率が良いので,実際にはそんなに待っていない。10人待ちで20分くらいだった。 ラーメンとつけ麺の二種しかメニューがない。どちらがオススメか尋ねたら,『うちはラーメンとつけ麺しか作っていないので,どちらもオススメなんです』とのこと。たしかにその通りだ… 気分的につけ麺だったのでつけ麺を注文。
出てきたつけ麺は,さすが吉左右と言うべきか,かなり洗練された仕上がりになっていた。 麺はかなり白い。白くてやや太い中太麺。つけ麺の中では細麺の方だ。麺だけ食べても感動できた。スープは『濃厚魚介豚骨』のお手本とも言うべき洗練されたバランスの良いスープだった。スープの中にうまみやエキスが十分に入りこんでいて,かなり濃厚なのにくどくなくて,脂っぽくないのだ。もちろん『あっさり』とは程遠いスープなのだが,変にギトギトしていないのだ。原価率はかなり高そう… スープの中にはメンマとネギとトッピングの玉子が入っている。煮玉子は逸品。あとスープに黒ごまが入っていて,それが非常に香ばしかった。かなり良いゴマを使っているのでは…
麺とスープの相性は抜群。もちろん麺そのものも絶品。
(スープに浮いている黒いのが『黒ゴマ』!)
多くの人がすでに指摘しているように,極めて完成度の高いハイレベルのつけ麺だった。青葉と大勝軒をブレンドしたような直球ど真ん中って感じ。ただ,近年流行の濃厚魚介豚骨という枠組みに収まりすぎていて,やや地味な感じがした。悪く言えば「個性がない」みたいな。いつか吉左右ならではのつけ麺を食べたいかな。
*何にでも言えることだろうけど、ある形が創造されると、それを真似る人がたくさん出てきて、技術的な発展が生じる。そして洗練されていく。だが、その完成と共に、その枠組みそのものが揺らいでいく。そして、新たな形が創造される。吉左右は、一つの形の完成形ともいえるものだが、新たな創造への手がかりには乏しい(優等生のマイナスの側面かも)。ただ、これは決して吉左右を貶めることではなく、むしろ讃えるべきことである。きちんと現在のラーメン技術をしっかりと受け継いでいる、ということを意味するからだ。だが、やがてきっと『自分の味』という点で苦悩するだろう。その苦悩の先にあるものが見てみたい、と思うのは欲張りなことだろうか?
麺屋吉左右
東京都江東区東陽1-11-3
03-3699-5929
11:30-15:00
日曜日OFF