重い病を抱えた者同士の少年少女の純愛物語。
こういう悲恋ものにありがちな、過剰な演出がないところも
凄く好感がもてる作品でした。
しかし冒頭の少女と女医さんの会話よぉぉ(笑)
薬を変えて減らそうという女医さんの提言に、少女が言うことにゃ~
「たったそれだけ?キース・リチャーズみいたいに薬漬けにして」・・・
はは、隣にいる母親としては笑えないセリフですよね。
しかしキース伝説はこういう芸術作品にまで影響を及ばせているんですね。
こういうブラッキーなジョークも随所に散りばめております。
女医さんや母親にサポートグループへの参加を勧められるのですが、
いやいや参加したこのサポートグループで少年と出会います。
一番印象的だったシーンが、少年の男友達の失恋の腹いせに、
元カノの家に卵を投げつけるシーン。
飛んで来る卵に何事かと、慌ててウチから出て来た元カノの母親に少年は、
「お嬢さんがひどい女なので復讐に来た」と。
んで、「僕らはこう見えて、3人で脚が5本と目玉4つ、肺が2セット半。
卵が2ダースあります。中に入った方が賢明かと」と続く。
このシーンはちょっと凄いな。
笑えるけど、ちょっと切なくて。
その男友達が別れる前に、彼女とのキスシーンがあったんだけど、
それをイヤそうに見てた少女の顔もとても最高だったなぁ。
「えー、くったーよぉー・・しにブルキー」みたいな表情で(笑)
アムステルダムの美しい景色も素晴らしかったし、
意地悪なアル中の作家役のウィレム・デフォーはさすがでしたね。
少女役のシェイリーン・ウッドリーと少年役のアンセル・エルゴートは初めてですが、
細やかな表情や演技が素晴らしくて、今後が楽しみな役者さん達です。
少女が後半部で呟いた「お葬式は死者のものではなく、生きる者のためだ」。
という言葉が今でも優しく残っています。
ホントに大事な人を失った人には響く言葉ですよね。
残された者はどうしても生きて行かないといけないから。
素敵な嘘に隠れた優しい言葉。
この言葉だけで僕は、また良い映画に出会えた気がします。
街では下品な大人たちがどっかの芸能人の不倫ネタを、
げらげらと高笑いで酒の肴にしてるけど、
家帰って少しはこういう映画でも観てもらいたい。
やっぱり下品と良識は違うと思うから。