佐藤直曉の「リーダーの人間行動学」 blog

リーダー育成のための人間行動と人間心理の解説、組織行動に関するトピック

リーダーの暗示学153――部下の思い込みを消滅させるリーダーの暗示

2005-05-11 06:36:23 | リーダーの暗示スキル
 Coモン図工房さんのブログで、ドラえもんの秘密のツールについての説明がありました。ドラえもんは、時間のルール(過去→現在→未来)、社会の様々なルールや、自分の役割を変える、秘密のツールをもっている。ドラえもんというのは、既存のルール、ツール、ロールを変えることができることを示し、その変化のおもしろさを教えてくれるというロールを果たしているのだそうです。つまり、既存の制約や条件や枠組みを固定的なものと考えず、バネにすれば、新しい発想が出てくるのだということです。私の言葉で言えば、これは心の枠、思い込みの打破ですね。
 
 
「思い込みは人間行動を縛る」
 私がかつてある企業のプレゼンテーション研修を請け負ったときですが、非常にプレゼンを苦手にしている人がいました。
 
 小学校のとき、人前で話をして失敗したらしく、それ以来、人前で話すのが苦手でどうしようもないというのです。
 
 しかし、彼のプレゼンを聞くとそんなに下手ではありませんでしたね。むしろ、うまい。それに構成が非常によかった。それで私は彼に優秀賞を推薦しました。それ以来、彼はすっかり自信がついたようで、行動が変わってきました。
 
 しゃべる技術は、研修前も後もたいして変わってはいないでしょう。それでも自信があるとないとでは、行動が変わってしまう。

 この例のように、思い込みが邪魔になっているケースは多い。そして、やりようによっては、堅く信じた思い込みも打破できます。もちろん、それには条件があります。
 
 思い込み、つまり固定観念ですが、これを打破する一つの方法は、その観念を明るい日の下に引きずり出して、実態を認めさせることです。本人がふと「ひょっとすると、そうなのかな」と思ったら、もうしめたものです。
 
 この人の場合は、衆人環視の元で、「君はうまい」とほめ、また、まわりの人間がそう認めた。それで、すっかり彼の悪しき固定観念が溶けてしまったわけです。


「認め方の技術を追求する」
 思い込みというのは、潜在意識下にあるだけに、たちが悪い。自分は歌が下手だと思い込んでいると、上手に歌おうと努力します。しかし、上手であろうと努力するほど下手に歌ってしまう。
 
 努力というのは、意志とも言い換えられます。意志でうまく歌おうと思ってもだめなのです。それでは潜在意識の観念と矛盾してしまい、かえって逆効果になる。意志は潜在意識に勝てません。

 そこで、意志によらないで、潜在意識下にある思い込みを溶かしてしまう、あるいはすりかえてしまうのが、私の言う、リーダーに求められる暗示スキルです。ふつう暗示というと、自己暗示のことを言うようです。この方が簡単です。しかし、私は、リーダーの技術を追求する立場ですから、部下の心をリードするための暗示を研究しています。
 
 観念のすりかえに関するテクニックについては、いろいろあります。それらについては、近々本を出しますから、それを読んでいただくとして、そういうテクニックを使う以前に、まず、「いかに部下(仲間)を認めるか」、認め方を研究していくんだと決意し、実践されていくのがいいと思います。
 
 私は、以前、人をほめる練習を毎日したらいいと書きました。これは、人を認める訓練の最初のステップだと考えております。初心者はこのあたりから実践していけば、人間観察の能力や、人間の反応や心理に対する理解が進んでいきます。

 そして、どう認めてあげるのがその人のためになるか、理解できるようになり、指導力が身についてきます。もちろん、平行して、人を観る目を鍛える必要があります。これは人間学といったことで、アプローチに枠はない。小説を読んでもいいし、落語を研究するのもいい。道は無限です。
 
 今風ではないかもしれませんが、少しずつでもいいから、自分がこれはいいぞ、おもしろいなと思うことをこつこつやって、経験を蓄積していくことが大事です。
 
 若い人に言いたいのですが、ハウツウものを何冊読んでもだめなのです。本を読めばわかった気になりますが、その理論をすぐ自分の状況に適用して、体験を蓄積しないとだめです。
 
 どんな優れた理論も、実践しない限り応用力がつきません。身につきません。最近はロジカル・シンキングとかレゾナンス思考とか、あるいはコーチングなどといった理論が流行しているらしいのですが、要はどれだけ自分で実践するかです。頭でっかちにならないように。

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