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ダメな議論 (飯田 泰之)

2006-12-10 16:03:49 | 本と雑誌

 最近の「新書」のトレンドに乗った本です。

 正しいものを追求するより、不要・無用のものをはじいて有効性の確率をあげようという姿勢は、いかにも功利主義・現実主義的な印象を受けます。
 が、そうは言っても、玉石混交の議論・解説・意見が蔓延しているという現状を踏まえると、著者のアプローチも確かに有益ではあります。

 著者は、自らの「問題を解釈するに当たっての基本姿勢」を

(p93より引用)
①問題を適切に分割し
②個々のターム(用語)の定義を明確にし
③パートごとにデータによる検証を行う

というものだと自己分析しています。

 そういう著者自身の「分析的思考」のプロセスをHow Toの形で開陳した本だとも言えそうです。

 著者は、まず、人々が誤った解釈を正しいものと信じたり、意味のないもしくは有害な提言を受け入れたりする理由・仕掛けについて説きます。
 簡単に言えば、それは、

(p51より引用) 気分にかなうという理由で納得し、
 →何となく常識化
 →動かしがたい空気となり
 →思考や言論が支配される

というプロセスだと言います。

 そして、次に、誤った議論や怪しい解説を見抜くための5つのチェックポイントを提示します。

  1. 定義の誤解・失敗はないか
  2. 無内容または反証不可能な言説
  3. 難解な理論の不安定な結論
  4. 単純なデータ観察で否定されないか
  5. 比喩と例話に支えられた主張

 本書には、多くの「ダメな議論」の例示・例文が載せられています。それらは、一見もっともらしく耳ざわりのよい論説です。
 著者は、「5つのチェックポイント」を用いて、それらの議論の問題点を顕わにしていきます。

 著者の解説を辿っての私なりの感想ですが、多くの立論において、「定義の明確化」と「論拠データの信憑性の担保」がなされていれば、「論理の展開」によって結論が歪むことはないだろうと思いました。

ダメな議論―論理思考で見抜く ダメな議論―論理思考で見抜く
価格:¥ 714(税込)
発売日:2006-11

コメント
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