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花を売らない花売り娘の物語 (権八 成樹)

2006-09-23 13:04:11 | 本と雑誌

 いつも参考にさせていただいている「ふとっちょパパ」さんのBlogで薦められていたので、気になって読んでみました。
 確かに一読する価値のある本だと思います。

 著者の権八成樹(ごんぱ しげき)氏は、日本IBMに長年勤務し、その後IBMビジネスコンサルティングサービスの要職を勤められた方です。

 変わったタイトルですが、何の本かといえば、全体としては、「マーケティング」の理論/実践を説いている本です。
 マーケティングの入門書としても、豊富な具体例を挙げた非常にわかりやすい解説で出色です。

 たとえば、「商品」について。
 マーケティングの巨匠レビット教授の著作では、「商品」は以下のように定義されています。

(p 81より引用) 「商品の定義は、自社で何を製造しているかによってではなく、顧客customersが何を欲しているかによって定義されなければならない。なぜなら、商品とは人が購入する品物(機能)ではなく、人が自分たちの問題problemを解決solveするためか、人が自分たちの願望を達成するための道具solution(解決手段)だからである」

 これは、「モノとしての製品・商品」そのものではなく、それにより「満たされること」「解決されること」が真のニーズでありウォンツであることを説明したものです。

 この「商品」が今後どういう志向を示してゆくか、権八氏は、それを「3つのコト」にまとめています。

(p 64より引用) 人々の商品への志向(マインドmind)は、高齢化、少子化、個性(個別)化などの社会事象を反映して、
カスタマイゼーションcustomization(自分らしさ、自分向き、個性尊重、かけがえのなさ)
オンデマンドon-demand(いつでも・どこでも、その時・その場で、欲しい時・したい時)
ヒューマン・セントリックhuman centric(簡単便利、ゆとり・癒し・やさしさ、感動・喜び、ユニバーサル・デザイン、健康志向、エコロジー)
 という3つのコト志向に集約されそうです。そして、商品は、これらのコト志向に応えつつ、コトがモノのあり様を催促するというかたちで進化しているように思われます。

 この他にも「サービス」「顧客対応」等々について、実践的な解説が続きます。

 ただ、この本のもうひとつのメッセージは、「ビジネス人生の先輩(権八氏)からの熱く真摯な想い」です。

花を売らない花売り娘の物語―ハイタッチ・マーケティング論 花を売らない花売り娘の物語―ハイタッチ・マーケティング論
価格:¥ 1,000(税込)
発売日:2005-08-24

コメント (2)
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