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顔の傷、男女平等に補償へ・・障害等級見直し案

2010-11-21 | 世の中の出来事いろいろ
厚生労働省の検討会が、先週(11月19日)、労災で顔などに大きな傷跡が残った場合の補償額について、
「女性よりも男性の方が低くなる現行の障害等級を見直し、男女平等にすべき」
とする報告書案をまとめました。

第3回外ぼう障害に係る障害等級の見直しに関する専門検討会資料(厚生労働省ホームページ)
報告書案(PDFファイル)

この見直しは、
「男女で差がある今の基準は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」
とした、今年5月の京都地裁判決を受けたものです(判決概要は一番下を参照)。

現行の労働者災害補償保険法施行規則(1947年施行)では、
顔などに重い傷を負った場合、女性は7級、男性は12級に認定されます。
7級は、
「労災に遭った直前3か月の平均賃金の131日分が毎年支給される」
のに対して、12級は、
「156日分が一時金として支給される」だけです。

報告書案では、
●平成11年の「男女共同参画基本法」の制定
●平成18年の「男女雇用機会均等法」の改正
 (女性に対する差別の禁止→男女双方に対する差別の禁止)
●女性の社会進出が進み、現在の男女の就労実態では、
 男女差を設けることの合理性を裏付ける特別の事情は認められない
などのことから、男性の等級を引き上げ、
性別に関係なく規定するのが妥当である、としました。

【障害等級表(抜粋)】
































改正後
現行
障害等級
身体障害
身体障害
第7級
12 外貌に著しい醜状を残すもの
12 女性の外貌に著しい醜状を残すもの
第9級
13 外貌に相当な醜状を残すもの(新設)
第12級
13 外貌に醜状を残すもの
14 (削除)
13 男性の外貌に著しい醜状を残すもの
14 女性の外貌に醜状を残すもの
第14級
(中略)
10 (削除)
(中略)
10 男性の外貌に醜状を残すもの


同じ障害を負っても、等級の差があることはもとより、
「156日分の一時金」と「131日分が毎年」とでは、
地裁判決で言っているように、「著しい差」がありますね。

そういえば、児童扶養手当も、今年7月までは母子家庭のみが支給対象でしたが、
ようやく、母子家庭、父子家庭ともに支給対象になりましたね。

性差別というと「女性差別」をイメージしがちですが、
意外と制度面での「男性差別」も多々残っているのでは?、という気がします。

これまで「当たり前」のように思われてきたことでも、
再考すべきことはたくさんあるのではないでしょうか?。


【京都地裁判決(2010年5月27日)】
京都府の男性(35)が、精錬会社に勤めていた1995年11月、
作業中に、溶けた金属が作業服に燃え移って大やけどを負い、
顔や胸などに跡が残った。
園部労働基準監督署は、2004年4月、労働者災害補償保険法に基づく障害等級表で
この男性の障害を11級と認定した。

それに対し、男性は、
「女性より低い等級の障害認定しか受けられなかったのは、男女平等を定めた
憲法14条に反する」として、国に障害補償給付処分の取り消しを求めて訴訟を起こした。

判決で、瀧華聡之裁判長は、
「合理的な理由なく性別による差別的扱いをしており、憲法14条に違反する」
として原告側の主張を概ね認め、国に同処分の取り消しを命じた。
同裁判長は、訴えの対象になっている障害等級の男女差について、
「著しい外見の跡(醜状障害)についてだけ、男女の性別で大きな差が設けられて
いることは不合理」、
「障害等級表では年齢や職種、利き腕、知識などが障害の程度を決定する要素と
なっていないのに、性別だけ大きな差がある」と指摘した。
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