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原発事故の被害と補償-フクシマと「人間の復興」-

2012年03月17日 | 読書日記など
『原発事故の被害と補償-フクシマと「人間の復興」-』
   大島堅一、除本理史・著/大月書店2012年

帯に書かれてあります。下「」引用。

「東電の責任逃れを許してはならない
被害の「全面補償」と
エネルギー政策の転換へ
子どもたちのの今、そして未来のために」



最大の環境汚染事件。下「」引用。

「福島原発事故による放射能汚染は、日本が経験してたなかでも最大の環境汚染事件と言ってよい。住民の避難などにともない、すでにさまざまな被害を発生しており、その補償を行ないことは、きわめて重要な課題となっている。福島原発の事故被害に対する補償額は、少なくとも数兆円に及ぶと考えられる。これ以外に、事故収束費用や除染費用があり、これらはさらに巨額にのぼる可能性がある(第3章参照)。」

使用済み燃料プール。下「」引用。

「さらに、原発内に使用済み燃料プールが四つもあり(1~4号機)、その冷却機能が失われた。プールに貯蔵されていた使用済み燃料の数は、1号機で392本、2号機で615本、3号機で566本、4号機で1535本にのぼてっおり、原発に装荷されている量よりも多かった。原子炉に加えて、使用済み燃料プールも冷やしつづけなければならないが、プールが破損すれば、これも大量の放射性物質を環境中に放出することにつながる。」

「事故収束・廃炉費用」 下「」引用。

「原発事故のコストの第1は、事故収束と廃炉(原子炉の廃止)の費用である。東京電力は、今回の事故を受け、福島第1原発1~4号機の廃炉を表明している。
 東京電力は、事故の当面の収束について、いわゆる工程表を発表している。この目標は、「原子炉および使用済燃料プールの安定的冷却状態を確立し、放射性物質の放出を抑制すること」である。そのための課題として、1. 原子炉と使用済み燃料プールの冷却、2. 汚染拡散防止(水、大気、土壌)、3. モニタリング・除染、4. 余震対策、5. 労働者の環境改善という五つの領域が挙げられている。これらは当面の取り組みが中心なので、さらに中・長期的課題を含めれば、核燃料のとりだし、設備の解体・撤去、放射性廃棄物の処分、関連の研究開発、などに費用がかかる。
 2011年5月24日の閣議決定により設置された「東京電力に関する経営・財務調査委員会」(以下、経営・財務調査委と略)は、6月16日以来、10回の会合を開き、報告書をまとめた。そのなかで同委員会は、以上の費用総額について、東電自身が計上している額に、独自に試算した額を追加し、1兆1510億円と見積もっている(東京電力に関する経営・財務調査委員会 2011、pp.79-80)。加えて考慮すべきは、原子炉内の状態が把握できておらず、また、廃炉の完了までに長期間を要するため、とくに中・長期的な費用については、不確実な要素が多いことである。そのため、同委員会の報告書では、第1原発1~4号機の廃炉の過程で発生する放射性廃棄物の中間貯蔵および最終処分のための費用は、検討の対象外とされた。したがって、実際の所要額は、さらに増大する可能性があると指摘されている(同上 pp.82-85)。第1原発5、6号機、第2原発まで廃炉になれば、費用はさらに膨らむことになる。2011年10月、福島県議会は、県内のすべての原発を廃炉するよう求めていく考えを表明していいる(『朝日新聞』2011年12月1日付)。-略-」

中間指針。下「」引用。

「中間指針は、避難者への慰謝料について、交通事故による慰謝料額を参考にして、1人あたり、事故から6カ月までは月額10万円(避難所等にいた期間については12万円)、6 カ月から1年までは5万円を目安としている。ここで、原発事故の避難に関し、なぜ交通事故がモデルケースとなるのか、不思議に思われるだろう。この点について、原賠審の能見善久会長は、第7回の会合(2011年6月9日)で次のようにのべている。「自賠責で総体〔原文のママ。想定カ〕している慰謝料は、けがをして、自由に動けないという状態で入院している、身体的な障害を伴う場合の慰謝料ですので、それと比べると、たとえ不自由な生活で避難しているとはいえ、行動自体は一応は自由であるという場合の精神的苦痛とは同じではないので、おそらく自賠責より少ない額になるのではないかとも考えています」。
 ここから明かなように、中間指針の規定する慰謝料の額とは、避難によって不自由な暮らしを余儀なくされた、といった程度の範囲の精神的苦痛に対するものでしかない(避難生活の苦痛それ自体はきわめて大きな被害ではあるが、避難者の受けた被害全体からすれば一部にすぎない)。しかも、その苦痛は時間の経過につてれ減少するはずだ、と中間指針はのべている。」

自由法曹団の批判。下「」引用。

「中間指針のこうした規定については、批判がだされている。たとえば、全国約2000人の弁護士でつくる自由法曹団は、次のように指摘している。「本件事故は未だ収束しておらず、多くの避難者は、いつ住み慣れた家に戻れるのかの展望をもつこともできず、その苦痛はむしろ日々増しているのであって、半年経てば半分になるという根拠はどこにもない。/被災者は、東電の利潤追求行為の過程で起きた本件事故により、生活と生業の基盤を根こそぎ奪われたのである。このような事態にあって、慰謝料の算定にあたっては、生活上の不利益を金銭的に評価するとて言うだけではなく、被災者の生活再建につながる損害賠償を実現するため、被災者の置かれた状況を包括的に評価しいいたものとなることが求められる。そのような観点から、慰謝料の算定方法が再検討されるべきである」(自由法曹団 2011)。」

無過失責任、無限責任の原則(原賠法)。下「」引用。

「まず一つの目の柱は、原子力事業者の無過失責任と責任の集中である。このうち、事業者の無過失責任と責任の集中である。このうち、事業者の無過失責任から説明しよう。無過失責任とは、故意・過失の有無にかかわらず、損害賠償責任を負うことを意味する。通常のの損害賠償にあっては、被害を引き起こし主体に故意や過失の有無は責任の要件ではいない(原賠法第3条)。
 原子力事業者の無過失責任は、被害者保護の観点から導入された原則である。原子力技術は高度な専門性をもっているため、被害者が電力会社の故意・過失を立証することはきわめてむずかしい。したがって、被害者保護のために、その立証の必要をなくしているのである。
 なお、原賠法では、原子力事業者の責任に限度額を設けず、原子力事故が発生した場合には、事業者は被害について全額補償しなければならない。これは、無限責任の原則とよばれている。」

原子力損害賠償支援機構。下「」引用。

「これにより、原子力損害賠償支援機構(以下、機構)が創設された(図4-1)。機構は東電に対して、資金の交付や貸付、株式引受等の援助を行なう。これによって資金繰りを助け、東電の破綻を回避する。これで東電の株主や債権者は、まったくの無傷ではないにせよ、守られる。-略-」

東電の責任。下「」引用。

「原発の経済的利益は私企業としての電力会社が享受し、その結果として生みだされる巨大な被害は国に押しつけるというのでは、あまりにも都合がよすぎる。福島原発の事故では、政府の責任も重大だが、だからと言って直接的な責任を負うべき電力会社の責任を薄める口実にはならない(政府の果たすべき役割と責任については終章でのべる。」










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