磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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環境と公害 2011AUTUMN

2011年12月15日 | 読書日記など
『環境と公害 2011AUTUMN』
   宮本憲一・編/岩波書店2011年

特集名 地域再生 次の10年を展望する-第28回日本環境会議東京大会



「リレー・エッセイ 原発災害とエネルギー消費社会の転換」永井進。下「」引用。

「また、東京電力に対する規制、制作担当の政府部門である経済産業省、資源エネルギー庁の責任も問われており、今後、東電の責任とともに、多額の国税を投入して歯止めなき核エネルギー政策を推進してきた政府の責任が大きな争点になる。-略-これまでの独占的企業の弊害の除去、そして、原発の停止による国民生活の安全性の確保等の利便性をもたらす。
 一方、原発事故後、東京電力によって行なわれた乱暴ともいえる計画停電の実施は、交通機関や病院なども対象にしたこともあり、主に首都圏の消費者に不安と混乱をもたらし、7月以降の電力使用制限令の下では、大企業を中心に15%削減のために勤務時間をシフト制にするなどの工夫を導入し、家庭も節電行動に積極的に取り組んだ。-略-
 エネルギー政策は、無限の電力消費需要を前提に、いかに供給拡大を進めるかを課題にしてきた。しかし今後は、安全性や環境面での持続可能性に従って、“地域節電所”のように、自然エネルギーの促進を伴った需要管理政策にシフトしていかなくてはならない。-略-」

「原子力事故と国の責任--国の賠償責任について若干の考察--」磯野弥生。下「」引用。

「原発事故の被害に関する賠償責任、さらにこれからの事故の収束そして廃炉までの責任は、第一義的には、同事故を発生させた東京電力賠償責任の完全履行義務を確認し、その上で国の責任について検討することを本稿の課題とする。-略-
「まとめにかえて」
「ここまで述べてきた国の責任が、事故の原因者である原子力事業者、すなわち東電の責任を縮減することではないことを、改めて述べておく、むしろ、かかる責任を遂行してもなお救済できないほどの損害がすでに生じているし、今後もさらに生じるであろうことは明白である。その時に、国の責任が単なる「社会的責任」として予算の範囲内という枠組で救済が低く抑えられる。あるいは範囲が限定されることが問題となるはずである。そのような形での救済切り下げや足きりが、本来あるべき国の賠償責任から認められないことを示しておくことが必要である。「社会的責任」とされているものの本来の責任を検討しておくことが、今後の賠償の内容を考える上でも必要である。
 ところで、今回の事故では、ここに検討してきた情報公表義務や測定義務以外に、警戒区域などの区域設定問題、特定避難勧奨地点や計画的避難区域などの避難区域、子供の被ばく許容線量年間20ミリシーベルト基準の設定問題、原発労働者の被ばく許容線量、農作物の基準、がれきの処理基準としての線量など、被ばく許容線量、除染対策、避難対策など、様々な行政の対応の適法性、それぞれに検討されなければならない。さらに、原子力損害賠償法の理念である完全救済を実現するための、賠償の範囲、賠償の方法なども、緊急に対応しなければならない課題である。-略-」

「原子力損害賠償の論点と課題--原子力損害賠償支援機構法による本格的損害賠償を前にして--」大島堅一。下「」引用。

「支援機構法は、兎にも角にも、原子力損害賠償法に規定された補償契約の限度額を超え、かつ、東京電力の賠償資力を大きく超える被害に対し迅速かつ確実に補償を進めるにあたって、東京電力を債務超過に陥らせいために急遽作った枠組みである。東京電力の市場での大きさを顧慮して、批判的世論をかわしながら政治的に作られたと言えよう。そのため、すでに述べたように、今回の事故被害の賠償にあたって無視できない重大な論点が未解決なままになっている。
 とりわけ、株主、債権者をはじめとする関係者の責任と費用負担を不問に付したことは、事故にかかわる費用(損害賠償費用、事故収束費用、廃炉費用など)が判明するにつれ、より一層大きな問題となってくるであろう。原点に立ち返り、事故原因の究明と関係者の責任のあり方を明らかにし、それに基づく費用負担を求めていくことが必要である。」

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「放射線のリスクをめぐる情報提供やコミュニケーションの現状と課題--福島県を中心として--」村山武彦。

「福島第一原発事故が「東京」に問題提起していること--エネルギーと食料の新たな地域間連携--」根本志保子。下「」引用。

「「東京」の消費者が、まずすべきは自らが消費する食料・食品がどのように生産・供給されているか、それが社会・環境にどのような影響をもたらすのか、消費地と生産地の関係を知ることではないか。今回の原発災害はくしくもそのことを知る契機になつている。加えてエネルギーと食料の生産地・消費地の連携を消費者自らも促進すべきであると思う。消費者は単に価格の安さ、安心といった基準のみで行動するのではなく、地方の安全かつ安定的な生産によって「東京」の消費が支えられることを知り、自らの消費の持続のためにも地方を長期的視野で「買い支える」ことも考慮してほしい。「地方の安全かつ安定的生産」の存続は、「『東京」の生活維持」にとっての一種の安全保障でもある。そのための「安全性の確保」と「エネルギーと食料の新たな地域連携」の仕組みが必要だ。-略-」








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