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司馬遼太郎と三つの戦争 戊辰・日露・太平洋

2005年12月03日 | 読書日記など
『司馬遼太郎と三つの戦争
 戊辰・日露・太平洋』
  青木彰・著/朝日新聞社2004年

司馬遼太郎は歴史作家であり、戦争作家ではないが、
司馬遼太郎と同じ産経新聞記者であった知人が、
司馬遼太郎を通して三つの戦争を語っています。



司馬遼太郎は戊辰戦争を、敵対する二人を主人公にして、
描いている。一人は河井継之助である。
少し長くなりますが、今の時代とも関係がある靖国神社の
ことも書かれてありますので引用します。

「靖国神社を例にとりましょう。
 靖国神社は大村益次郎の発案で始まったものです。戊辰戦争までの侍は、藩主のために死ぬものでした。そうでなければ、ただのムダ死にでしかない。ところが戊辰戦争の官軍の戦死者は、新しく成立しようとしている新国家のために死んだと大村は考えた。
 つまり、新政府の成立という新しい「公」のために死んだ彼らは、「私死」ではなく、「公死」だと考えた。大村は薩長を主力として革命軍のままでは、新政府の軍隊にはなり得ないことを知っていました。いまは主力の薩摩が、やがては革命の障害になることを予見していたのです。
 明治二年、靖国神社の前身の東京招魂社ができます。死者を慰霊するのに神仏儒いずれにもよらない超宗教の形式をとりました。前代未聞のことですが、大村は公の祭祀はそうあるべきだと思っていたようです。さらに、招魂社を諸藩から超越させました。諸藩の死者を一堂に集め、国家が祈念する形をとった。大村にすれば、統一国家はここから始まるということを明示させたつもりかもしれない。大村はまさに「漢」でした。」

しかし、この大村の理想も明治十二年に
くずれさったと著者は書きます。そして司馬遼太郎を引用します。

「司馬さんは、『この国のかたち』に書いています。
「歴史は巨細(こさい)に見なければならない。その後、ただの思想による国民国家思想でさえ、明治二年の段階では、政治家一人が死ぬほどの危険な思想だったのである。
 戦後の新憲法で、九段の招魂社の後進である靖国神社は、一宗教の“私祀”のようなあつかいをうけている。大村の素志、憐れむべしといわねばならない」(「招魂」)」

index

日露、太平洋戦争のことも深く書かれてあります。

「司馬史観」というのは、いろんな人が
いろんなことを語っているらしいです。

目次

その他のところも意味深いところが多かった。
この著者も自身の考えをしっかりもった人物です。
司馬遼太郎と意見の相違もあるところも書いておられます。
しかし、それは当然のことだと思います。

司馬遼太郎は大坂の人です。
大坂も町衆の文化です。
ぼくにはすごく理解しやすい作家でもあります。

この著者は司馬遼太郎記念財団常務理事でもあります。

河井継之助のドラマもあるそうですよ。

来年の大河ドラマ司馬さんですね。楽しみです。(^^)





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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ドラマ (雨漏り書斎)
2005-12-04 12:33:14
河合継之助;以前、高橋英樹が演じたことがありました。NHK大河ドラマの中で。非主人公。

山内一豊;三橋達也と団玲子? やはりNHKでした。



鱧男師匠は、ご存じ?



司馬さん、いつまでも気になる作家です。
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ぼくは師匠ではおまへんm(_ _)m (鱧男)
2005-12-04 20:14:54
いやいや、

そういうドラマも知りません。

すみません。
返信する
司馬史観を廻って (みなみな)
2006-02-12 11:13:51
巨細に並べ見る時系列は



ドラマであり、ライブでもある



そのズレとネジレを楽しむ
返信する
司馬史観とは (鱧男)
2006-02-12 12:44:31
司馬さんは言われていないようですね。



司馬さんをとりあげるときに、言われることのようです。



偏見のない人などはいない。



「色眼鏡で見るな」といわれても、

それぞれの色眼鏡があると思います。



相手の立場になって考えることが大切という

司馬遼太郎は、相手を追い落とすために

書かれている方とは大きな相違点であろうと

思うことはよくあります。



巨細にみるというのは、たしかに大切なことですね。

どうも、特に宗教ではかけていることのようです。



コメント、ありがとうございました。
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