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妖精画談-カラー版- 岩波新書 新赤版 455

2011年01月04日 | 読書日記など
『妖精画談-カラー版- 岩波新書 新赤版 455』
   水木しげる・著/岩波書店1996年

表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「ゲゲゲの鬼太郎の生みの親、水木しげる妖怪博士が捕獲した「ひと味違った妖精たち」(井村君江氏解説)。アイルランド、スコットランドなどケルト地方から、北欧、ドイツ、フランス、ロシアほか、総勢一○○人(?)を越える妖精のかたちと物語をオールカラーで描く。日本の妖怪とまるで違う妖精と、驚くほど似た妖精が一堂に大集合!」



なぜ……。下「」引用。

「妖精集めにはブリッグズ女史の『妖精事典』や井村君江先生の本を大いに参考にさせていただいた。はじめは、井村先生と、妖精と日本の妖怪との比較をろうと考えたが、なかなか年月がかかるのと、必ずしも一致しないものがあったし、『妖精画談』とした。
 私がなぜ妖精にまで手を出すかというと、世界中の妖怪を集めて『世界妖怪総鑑』を作ろうと思っているからだ。
 同時に「目に見えない知性体」をつきとめようと思っている。
 世界中をまわってみて、私は強くそういうものの存在を感ずる。」

グレムリン。下「」引用。

「グレムリンという名は、アングロ・サクソン語の「嘆き悲しむ」という語から来たとか、勇者ベーオウルフに殺された怪物グレンデルに由来するとか諸説があるが、インド北西国境地方にあった爆撃基地の飛行中隊に由来するという説が有力だ。
 それによれば、基地の兵士たちが唯一手にできた本が『グリム童話集』(グリムは人名だが、「陰鬱な」という意味もある)で、それに「ビール呑み」を意味するフレムリンを合成した名前だというのである。」

ハインツェルメルヘン。下「」引用。

「昔、ドイツのケルンの町に住んでいた小人のハインツェルメルヘンたちは、まじめな働き者だったので、この町では雇い人や召使いは必要なかった。パン屋で並べるパンも、彼らに頼めば一晩のうちに焼き上げてくれた。-略-そこで町の人々も、小人を捕らえようと罠をしかけた。
 怒った小人たちはその町を見限って、音楽を奏でながら一団となって町を去って行ったという。町はすばらしい幸運を失ったのである。もちろんそれは、ある特別な人にしか見えなかった(いや、感ぜられなかった)が。」

ポーチュン……。下「」引用。

「ポーチュンという精霊は、農民が骨を折れる仕事をしていると、それを手伝って瞬く間に片付けてくれる。手伝いを好み、害はないが大のいたずら好きで、英国人が暗闇のなかで乗馬していると、ポーチュンたちはしばらく馬と並んで歩き、しまいには手綱を横取りしたかと思うと、馬を道の脇のぬかるみに向け、乗り手を振り落とし、その様を見て高笑いし、逃げるという。」

イット。下「」引用。

「スコットランドのシェトランド諸島には、不定形なイットというお化けが出る。イットは、日本語の「それ」と同じような言葉である。-略-
 日本には残念ながらこのような妖怪はいない。私はいつもイットという言葉を聞くと感心してしまう。」








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