磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

戦争の甘い誘惑

2009年08月27日 | 読書日記など
『戦争の甘い誘惑 War is a force that gives us meaning』
   クリス・ヘッジズ(著)/
     中谷和男(訳)/河出書房新社2003年

図書館の説明文。下「」引用。

「人間にとって「戦争」とは何か? 2002年度ピューリッツアー賞受賞の『ニューヨーク・タイムズ』紙記者が、9・11後の、戦争を扇動しつつある世界に対してつきつける、悔恨と弾劾と警告の書。」

Index



「ナショナリズム」について。下「」引用。

「本書の著者クリス・ヘッジスの言う「ナショナリズム」とは、「国家、人種、民族、宗教、地域、企業、学閥、派閥などといった人間の社会的単位が、ひとつの共通の利害のもとに結集するためのいわば接着剤」である。それは厳密な意味での思想でも主義でもなく、権力者の意思のままに、極めて恣意的に、TPOに応じて変幻自在である。」

プラトン「戦争が終わったのは、死者にとってだけだ」

「戦争はドラッグだ」 下「」引用。

「戦争には独自の文化があることは、前から知っていた。戦闘がもたらす恍惚感は、強力な感染力のある嗜癖(アディクション)である。戦争とは我々にとって、長年にわたって打ち続けてきたドラッグなのだ。戦争を神話に仕立てあげた者達、つまりドラッグの売人とは、歴史家、戦争特派員、映画制作者、小説家、それに国家であり、彼らはあげて戦争の効用を喧伝するのだ。それは、興奮、エロティシズム、権力、人生における上昇志向、それにグロテスクで暗く奇妙で幻想的な美な世界だ。戦争は文化を支配し、記憶を歪め、言語を堕落させ、戦争をとりまくすべてに感染する。性と死にまつわる薄汚いユーモアばかりとなる。
 地球上に存在することの意義という基本的な問題でさえ、人間性が最低のところまで堕ち込んでいくのを目撃すると、もはや考えることすら無意味に感じてくる。-略-」

デイビッド・ヒューム著『人間性論』(一七四九)。下「」引用。

「わが祖国が他国と戦争状態にある時は、敵を残虐で不実、不法で暴力的だと嫌悪し、一方自国や同盟側については常に、公正で穏健、慈悲深いと評価する。敵側の将軍が勝利にある時は、彼を人間として認めることもできない。彼は魔法使なのだ。デーモンと彼は交信している。オリバー・クロムウェルやリュクサンブール公について取り沙汰されるように、彼は冷血漢であり、死と破壊という快楽に耽るのだ。だが我が方に勝利が微笑む時は、彼らの司令官はあらゆる徳性を備え、美徳と勇気と善行の鏡とされる。彼の犯した裏切り行為ですら、戦略上のやむをえないものと見なされ、残虐な行為にしても、戦争には避けて通れない必要悪なのだ。要するに彼の犯した愚行は情状酌量できるものであり、善行の名において正当化され、善行そのものとして評価されることにもなる。日常生活においても明らかに、同じような思考様式がまかり通っているのである。」

『戦争の心理学』より。下「」引用。

「ローレンス・レシャンは著書『戦争の心理学』(一九九二)で、戦争について「神秘的現実」と「知覚的現実」とに分ける。知覚的現実とは、現実のままに出来事を受け入れることだから、戦場に立った途端、神秘の謎に包まれた戦争観などは、たちどころに吹っ飛んでしまう。だがそれでは生き残ることは困難だ。朝鮮戦争やベトナム戦争で立証されたように、一般大衆への神秘的な理想を失ってしまった戦争は、敗北への運命にある。なぜならば、その時戦争は、ありのままの現実をさらけだしてしまうからだ。つまり組織的殺人でしかない。
 とはいえ一方の「神秘的現実」としての戦争の方は、現実を神秘化して、すべてをもっともらしく意味づけようとする。そうなると、敗北でさえも究極の勝利へ向けての一里塚となる。そして敵は人間ではなく悪魔そのものと見なされる。そして自分達は絶対的な善そのものである。一方の敵側は世界観を歪曲し、悪魔である自分を正当化しようとする……。このように一切の現実が神秘化されてしまい、両陣営ともに相手を人間ではないただの物体と見なし、やがては死体となる。-略-」

「神秘的現実」を妄想という人がいても不思議ではないだろう……。

「ナショナリズムというウイルス」 下「」引用。

「ナショナリズムの神話を鵜呑みにするや、人生は変貌する。国家・人種の勝利・栄光を賛歌するようになると、もはや日常生活の瑣末な出来事など、まったく関心の外となる。壮大な歴史ドラマの俳優になりたいと、命をなげうってまで突進する。神話と一体化するためには、自己を抹殺することもいとわない。こうして戦時下の生活は劇場と化す。そこでは全員が俳優となる。戦争を背景にすると、指導者はヒロイックで高貴に見える。敵に撃墜された戦闘機から脱出し帰還するパイロットが、このドラマにひと味添える。
 湾岸戦争やアフガニスタン戦争で経験したように、国家は戦争をテレビのナイトショーに仕立ててしまった。-略-」

『恐怖辞典』アルゲリート・フェイトウィッツ(著)。
アルゼンチンの囚人、マリオ・ビラーニ(女性・物理学者)。
遊園地につれていき、それから強制収容所で娘にあわせるという……。
そして、マリオは残忍拷問者の手に落ちたという。









目次

index






エンタメ@BlogRanking




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。